産業廃棄物収集運搬業許可を取得した後も、事業内容や事業体制に変更が生じることがあります。

例えば、
 ・役員が交代した
 ・本店を移転した
 ・収集運搬に使用する車両を入れ替えた

といった場合には、許可行政庁への変更届が必要になります。

産業廃棄物収集運搬業許可制度では、誰が事業を運営し、どこを事業拠点とし、どのような車両で収集運搬を行うのかといった情報を前提として許可が付与されています。
そのため、許可取得後にこれらの情報が変わった場合には、その変更内容を届け出ます。

変更届の対象となるのは、許可された事業範囲の中で営業を続けながら、役員・所在地・運搬車両など、許可行政庁へ届け出ている情報が変わった場合です。

一方、取り扱う産業廃棄物の種類を追加するなど、許可された「事業の範囲」そのものを広げる場合には、変更許可申請が必要になることがあります。
変更届と変更許可申請では手続が異なるため、変更した内容に応じて手続を選ぶ必要があります。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業許可の変更届について、どのような変更が届出の対象になるのか、また、なぜ届出が必要になるのかという視点から解説します。

なぜ変更届が必要なのか

産業廃棄物収集運搬業許可は、役員構成、事業拠点、使用車両などを前提として付与されています。
許可取得後にこれらの事項が変わった場合には、許可行政庁が把握している情報も変更後の内容に改める必要があります。

産業廃棄物の処理では、排出事業者から収集運搬業者、処分業者へと廃棄物が引き渡されながら処理が進みます。

そのため、収集運搬業者についても、
 ・誰が事業を運営しているのか
 ・どこを事業拠点としているのか
 ・どの車両で収集運搬を行っているのか

が明らかになっていることが求められます。

しかし、事業活動を継続する中では、役員の交代、本店の移転、車両の追加や入替えなどが生じます。
こうした変更を許可行政庁へ届け出ることで、許可取得後の事業体制の変化が許可情報にも反映されます。

届出によって更新される情報は、変更事項によって異なります。

役員変更では、現在の経営関係者を把握し、欠格要件との関係を追える状態にします。
車両変更では、実際に産業廃棄物の運搬に使用する車両が反映されます。
本店所在地の変更では、許可業者を特定する所在地情報が変更後の法人情報に改められます。

変更届は更新申請とも関係します。役員や所在地などに変更があったにもかかわらず届出を行わないまま更新時期を迎えると、更新申請に先立って過去の変更への対応が必要になることがあります。

神奈川県では、更新申請時の書類負担を一部軽減する取扱いについても、必要な変更届が適切に行われていることが前提とされています。
変更が生じるたびに必要な届出を行っておけば、現在の事業体制を許可情報へ反映した状態で次回の更新を迎えることができます。

どのような変更が届出対象になるのか

産業廃棄物収集運搬業許可では、許可取得後に生じた一定の変更について届出が必要になります。

具体的な届出事項としては、次のようなものがあります。
 ・商号変更
 ・本店所在地の変更
 ・役員や政令使用人の変更
 ・一定の株主・出資者の変更
 ・運搬車両や船舶の変更

などです。

神奈川県の変更届手引きでは、法人の本店所在地、法人名称、代表者、役員、株主等、政令使用人、運搬車両・船舶などが変更届の対象として示されています。
また、取り扱う産業廃棄物の一部品目を廃止する場合や、政令市での積替え・保管許可の有無が変わった場合なども届出対象に含まれます。

これらに共通するのは、許可取得時に届け出た内容に変更が生じているという点です。

変更届の提出期限は、原則として変更の日から10日以内です。法人で登記事項証明書の添付が必要となる届出については30日以内となります。
提出期限は変更内容によって一律ではなく、登記事項証明書の添付が必要かどうかによっても変わります。

本記事では、この中でも実務上扱う機会の多い役員変更・車両変更・住所変更を中心に見ていきます。

役員変更で届出が必要になる理由

役員変更があった場合、多くの事業者は会社法上の登記変更を行います。

産業廃棄物収集運搬業許可においても、役員は許可審査の対象となっているため、役員が交代した場合には変更届が必要です。

役員変更届では、
 ・新たに就任した役員は誰か
 ・退任した役員は誰か
 ・新任役員が欠格事由に該当しないか

などが確認されます。

役員は事業運営に関与する立場にあるため、役員構成が変われば、許可取得時に届け出た経営体制も変わります。
その変更内容を許可行政庁へ届け出ることで、変更後の役員構成が許可情報に反映されます。

許可制度上の「役員」は、取締役という名称だけで判断するものではありません。
法人の業務を執行する社員、取締役、執行役やこれらに準ずる者のほか、法人に対してこれらの者と同等以上の支配力を持つと認められる者も対象になります。
誰が届出対象になるかは、会社登記上の肩書だけで決まるものではありません。

神奈川県では、役員変更時に法人の登記事項証明書、役員・株主等に関する新旧対照表などを提出し、新たに役員へ就任した者については住民票や誓約書が求められます。
既存の取締役が代表取締役になるなど、役職名だけが変わった場合には、新任者用の住民票・誓約書は不要とされています。
新任者について住民票や誓約書が求められるのは、新たに許可制度上の対象となった人物について欠格要件等を確認するためです。

車両変更で届出が必要になる理由

収集運搬業において、車両は実際の運搬業務を行うための重要な設備です。

許可取得時には、収集運搬に使用する車両が申請資料によって示されています。
そのため、車両を追加・入れ替えた場合には、変更後の運搬車両を許可行政庁へ届け出ます。

神奈川県の変更届記載例でも、車両変更について運搬車両一覧表に変更内容を記載する取扱いが示されています。

したがって、新しい車両を収集運搬に使用する場合には、運搬車両一覧表のほか、増車する車両の自動車検査証記録事項の写しや車両写真など、必要な書類を添えて変更届を提出します。

住所変更で届出が必要になる理由

法人の本店所在地や個人事業主の住所を変更した場合も、変更届が必要です。

これらは、許可事業者を特定するための所在地情報として届け出られています。
そのため、所在地が変わった場合には、変更後の情報を許可行政庁へ届け出ます。

神奈川県では、法人の本店所在地の変更が明確に届出対象とされています。
法人登記で本店移転を完了しても、産廃許可側の情報は自動的には更新されません。登記事項証明書を添えて、変更後の本店所在地を届け出ます。

※許可取得時にどのような要件が確認されるのかについては、以下の記事でも解説しています。
 「産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは|講習・車両・財産的基盤で確認されるポイント」

まとめ

役員や車両、本店所在地のほか、商号、一定の株主・出資者、政令使用人などの変更は、会社が事業を続けていく中で通常生じ得るものです。
役員の交代や本店移転、車両の入替えなどが生じた際には、その変更が産廃許可にも関係するかをあわせて見ておくことが重要です。

必要な届出をその都度行うことで、変更後の事業体制を許可情報へ反映した状態で事業を継続できます。

また、変更届には提出期限があります。変更を更新時まで持ち越すと、過去の変更時期や内容を遡って対応しなければならない場合もあります。
変更が生じた段階で産廃許可まで手続を進めておけば、こうした事態を避けることができます。

産業廃棄物収集運搬業許可は、取得時の審査だけで成り立っている制度ではなく、許可取得後も事業者の経営体制、所在地、収集運搬体制の変化を許可行政庁へ届け出る仕組みが設けられています。
事業上の変更と産廃許可の手続を切り離さず、変更が生じるたびに必要な届出へつなげていくことが、許可を受けた事業者として適切な事業体制を維持していくうえで重要になります。

その積み重ねによって、産業廃棄物が排出から収集運搬、処分まで適正に処理される体制が維持され、生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法の目的にもつながっていきます。