産業廃棄物収集運搬業を始めるには、許可申請だけでなく、講習会の受講や車両・設備の準備など、さまざまな費用が必要です。

インターネットでは「許可費用は約○万円」と紹介されることもありますが、その金額に何が含まれているのかは記事によって異なります。行政へ支払う申請手数料だけを示しているものもあれば、行政書士報酬や車両購入費まで含めているものもあるため、総額だけでは必要な資金を判断できません。

産業廃棄物収集運搬業に必要な資金は、許可取得までにかかる費用、営業開始前にかかる費用、営業開始後にかかる費用、許可更新時にかかる費用の4つに分けて見積もります。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業を始める際に必要となる費用を、許可取得から営業開始、営業開始後、許可更新までの流れに沿って解説します。

許可取得から営業開始までに必要な費用一覧

許可取得から営業開始までには、講習会受講料や申請手数料のほか、車両・設備の準備費用も発生します。

時期費用支払先金額の目安
許可取得まで新規講習会受講料(オンライン)JWセンター27,500円
許可取得まで新規講習会受講料(対面)JWセンター33,000円
許可取得まで住民票・登記事項証明書・納税証明書など市区町村・法務局・税務署等数千円程度
許可取得まで許可申請手数料 *1都道府県・政令市81,000円/申請先
許可取得まで行政書士報酬(依頼する場合)行政書士約8万~20万円
営業開始前車両購入・リース販売店・リース会社数十万~数百万円
営業開始前飛散・流出防止のための容器・シート等資材販売業者運搬品目・方法による
営業開始前車両表示・マグネット等看板・印刷業者仕様による
営業開始前駐車場・車庫契約不動産会社・貸主初期費用+月額賃料

*1 新規許可申請手数料は、東京都では81,000円です。申請先の自治体で最新の手数料を確認してください。

許可取得までにかかる費用は、講習会受講料や証明書取得費、申請先ごとの申請手数料などを積み上げて算出します。営業開始前にかかる車両・設備の費用は、現在保有しているものによって大きく変わり、使用できる車両や車庫を確保している事業者と、それらを一から準備する事業者とでは、必要な資金に大きな差が生じます。なお、許可申請時に必要となる車両や運搬容器などは、申請までに確保します。

許可取得までにかかる費用

許可取得までには、講習会の受講、申請に必要な証明書の取得、許可申請手数料の納付などに費用がかかります。行政書士へ申請を依頼する場合は、その報酬も加わります。

講習会受講料と証明書の取得費用

2026年度のJWセンター「産業廃棄物の収集・運搬課程(新規)」の受講料は、次のとおりです。

  • オンライン:27,500円
  • 対面:33,000円

講習会は、法人・個人の別などに応じて、誰が修了している必要があるのかを確認してから受講します。

申請書類を準備する際には、申請者の状況に応じて住民票、法人の登記事項証明書、納税証明書などの公的書類も取得します。証明書1通ごとの負担は大きくなくても、法人・個人の別や役員構成などによって必要な書類や通数が変わるため、申請先が求める添付書類と必要通数を確認してから取得することで、不足や取り直しを防げます。

許可申請手数料

申請書類を提出する段階では、申請先へ許可申請手数料を納付します。

東京都における産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請手数料は、81,000円です。

収集運搬業では、産業廃棄物の積み込みや積み卸しを行う区域など、事業計画に応じて複数の都道府県等への許可申請が必要になることがあります。その場合は申請先ごとに許可申請手数料が発生するため、自社の事業計画に必要な申請先を確定し、その数に応じて申請手数料を計算します。

申請手数料や納付方法については、実際に申請する自治体の最新情報を確認してください。

行政書士へ依頼する場合の報酬

行政書士へ許可申請を依頼する場合は、行政へ納付する申請手数料とは別に行政書士報酬が発生します。

報酬額は事務所、依頼範囲、申請先の数、事業者の状況などによって異なります。新規許可では8万円から20万円程度が一つの目安になりますが、法定された金額ではないため、実際の費用は依頼先へ確認する必要があります。

報酬には、一般に次のような業務が含まれます。

  • 許可要件の確認
  • 必要書類の案内
  • 申請書類の作成・確認
  • 自治体との事前相談
  • 申請手続

行政書士へ依頼しない場合は行政書士報酬は発生しませんが、申請手数料や証明書取得費などの実費は必要です。

営業開始前にかかる費用

実際の収集運搬を始めるには、取り扱う産業廃棄物や運搬方法に応じた車両や設備が必要です。車両や運搬容器など、許可申請時に必要となるものは申請までに準備し、車両表示などは営業開始までに整えます。なかでも金額が大きくなりやすいのが車両です。

運搬する産業廃棄物の種類・性状・量や運搬方法によって必要となる車両は変わります。すでに使用できる車両を保有していれば新たな購入費は発生しませんが、平ボディトラックやダンプ、脱着装置付コンテナ専用車などを新たに導入する場合は、購入費又はリース費用が必要です。

飛散・流出を防止するため、取り扱う品目や運搬方法に応じた容器・シートなども準備します。また、運搬車には、産業廃棄物の収集・運搬に使用する車両であることなど、法令で定められた事項を表示する必要があり、マグネットシートなどを使用する場合はその作成費用も発生します。

営業所や車庫を賃借する場合は、敷金・礼金などの契約時の初期費用に加えて、営業開始後の月額賃料も必要です。

許可申請から営業開始までにかかる車両・設備の費用は、実際に取り扱う産業廃棄物と運搬方法に照らして、現在保有しているものでは不足する車両・設備を積み上げて算出します。

営業開始後にかかる費用

営業開始後は、車両や車庫を維持しながら収集運搬を続けるための費用が継続して発生します。

主な維持費は次のとおりです。

費用支払先金額の目安
駐車場・車庫賃料不動産会社・貸主数万円~数十万円
自動車保険保険会社契約内容による
車検整備工場・ディーラー車種による
法定点検・整備整備工場・ディーラー点検・整備内容による
タイヤ・オイルなど消耗品整備工場・用品店使用状況による
燃料費ガソリンスタンド走行距離・車種等による

これらの費用は、車両の種類や台数、走行距離、営業内容などによって変わります。車両台数が増えれば、保険料や車検、点検・整備などの支出も増加します。

資金計画には、車庫賃料や燃料費など継続的に発生する支出に加え、車検や整備など一定の時期にまとまって発生する支出も含めて見積もります。

許可更新時にかかる費用

産業廃棄物収集運搬業の許可の有効期間は原則5年です。優良産廃処理業者認定制度の認定を受けた事業者については、有効期間が7年となります。

営業を継続する場合は、有効期間が満了する前に更新申請を行います。許可更新時に必要となる主な費用は次のとおりです。

費用支払先金額の目安
更新申請手数料*都道府県・政令市73,000円/申請先
更新講習会受講料(オンライン)JWセンター17,600円
更新講習会受講料(対面)JWセンター22,000円
行政書士報酬(依頼する場合)行政書士約5万~15万円程度

*更新申請手数料73,000円は、東京都の産業廃棄物収集運搬業の場合です。

複数の申請先で許可を取得している場合は、それぞれの許可について更新手続が必要になるため、更新申請手数料も申請先の数に応じて発生します。

また、営業を続ける間に住所、役員、車両など許可申請時の事項に変更が生じることがあります。変更内容に応じて必要な届出等を行うことになるため、その際に証明書の取得費用や、行政書士へ依頼する場合の報酬が発生することもあります。

結局、いくら準備すればよいのか

産業廃棄物収集運搬業を始めるために必要な資金は、事業者が現在保有している車両・設備や、許可を取得する申請先の数によって大きく変わります。

まず、許可取得までにかかる費用として、講習会受講料、証明書取得費、申請先ごとの許可申請手数料を計算し、行政書士へ依頼する場合はその報酬を加えます。

次に、実際に取り扱う産業廃棄物と運搬方法に照らして、許可申請から営業開始までに不足する車両、容器・シート、車両表示、車庫などの費用を加算します。さらに、営業開始後に必要となる車庫賃料、保険料、燃料費、車検、点検・整備などの運転資金を見積もります。

営業に使用できる車両や車庫をすでに確保している事業者では、許可取得までにかかる費用が新たな資金負担の中心になります。車両や車庫を一から準備する事業者では、許可申請から営業開始までの設備投資が資金負担の大きな部分を占めます。

営業開始までに準備する資金は、次のように算定します。

必要資金 = 許可取得までにかかる費用 + 営業開始前にかかる費用 + 営業開始後の運転資金

このほか、営業を継続するための将来支出として、許可更新時にかかる費用も見込んでおきます。

まとめ|許可取得から営業継続までを見込んで資金準備する

産業廃棄物収集運搬業の費用は、許可取得まで、営業開始前、営業開始後、許可更新時の4つに分けて見積もります。

営業開始までに準備する資金は、許可取得までにかかる費用に、現在不足している車両・設備の費用と営業開始後の運転資金を加えて算出します。営業開始後は日常的な維持費に加えて、将来の許可更新や変更手続に伴う費用も発生するため、営業開始時の初期費用だけで終わらせず、事業を継続する期間まで含めて資金計画に反映します。