産業廃棄物収集運搬業を始めるには、許可申請だけでなく、講習会の受講や車両・設備の準備など、さまざまな費用が必要です。
インターネットでは「許可費用は約○万円」と紹介されることもありますが、その金額に何が含まれているのかは記事によって異なります。
行政へ支払う法定費用だけを示しているものもあれば、行政書士報酬や車両購入費まで含めているものもあるため、総額だけでは必要な資金を判断できません。

事業計画を立てる際は、 「いつ」 「どこへ」 「何のために」 支払う費用なのかを整理すると、必要な資金を把握しやすくなります。

この記事では、許可に必要となる費用を時系列で整理し、営業開始後に必要となる維持費まで解説します。

許可取得から営業開始までに必要な費用一覧

まずは、費用の全体像を確認しましょう。

時期費用支払先金額の目安
申請前新規講習会受講料(オンライン)*1JWセンター27,500円
申請前新規講習会受講料(対面)*1JWセンター33,000円
申請前住民票・履歴事項全部証明書・納税証明書など市区町村・法務局・税務署など数千円程度
申請時許可申請手数料*2都道府県・政令市81,000円/自治体
申請時行政書士報酬(依頼する場合)行政書士約8万~20万円
営業開始前車両購入・リース販売店・リース会社数十万~数百万円
営業開始前飛散防止設備・コンテナ・容器等資材販売業者数万円~数十万円
営業開始前車両表示・マグネット等看板・印刷業者数万円程度
営業開始前駐車場・車庫契約不動産会社・貸主初期費用+月額賃料

*1 講習会受講料は2026年度料金(JWセンター)で最も一般的な「産業廃棄物の収集・運搬課程(新規)」の場合。
*2 許可申請手数料は多くの自治体で新規81,000円(都道府県により異なる)です。

このように見ると、行政へ納付する費用は一部に過ぎません。
車両や設備を新たに準備する事業者では、許可申請費用より設備投資の方が大きくなることも珍しくありません。

※許可の要件や取得に際してのポイントについては、以下の記事で解説しています。
 「産業廃棄物収集運搬業許可(積替・保管を除く)|取得にあたって押さえるべき要点」
 「産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは|講習・車両・財産的基盤で確認されるポイント」

行政へ支払う費用はいくらか

行政へ支払う費用として最も大きいのが、許可申請手数料です。
新規の産業廃棄物収集運搬業許可では、多くの自治体で81,000円の手数料を納付します。営業区域を複数の都道府県へ広げる場合は、申請先ごとに手数料が必要です。

申請書類を準備するための実費も発生します。
主なものとして、
 ・ 申請者本人の住民票(法人の場合は役員全員)
 ・ 履歴事項全部証明書
 ・ 納税証明書
 ・ 登記されていないことの証明書

などがあります。

証明書1通あたりの手数料は数百円ですが、取得する書類が多いため、数千円程度を見込んでおくと安心です。

講習会受講料も許可取得に必要な費用

許可申請では、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会を修了していることが必要です。

2026年度の受講料は、産業廃棄物収集運搬業(新規)の場合、
 ・ オンライン  27,500円
 ・ 対面    33,000円

となっています。

講習会を受講しなければ許可申請できないため、実質的には許可取得費用の一部として考えておく必要があります。

※講習会についての概要は以下の記事を参考にしてみてください。
 「産廃許可講習とは|更新講習を含めた受講タイミングと注意点」

行政書士報酬は何に対する費用か

行政書士へ依頼する場合は、行政へ納付する費用とは別に報酬が発生します。
報酬額は地域や依頼内容によって異なりますが、新規許可では8万円から20万円程度が一つの目安です。

報酬には、
・ 許可要件の確認
・ 必要書類の案内
・ 申請書の作成、添付書類の確認
・ 自治体との事前相談
・ 許可申請

などが含まれることが一般的です。

行政へ支払う申請手数料は、自分で申請しても行政書士へ依頼しても必要です。
行政書士報酬は、申請手続を依頼した場合に発生する費用という点が大きく異なります。

営業開始までに必要となる設備費

許可を取得しても、営業に必要な設備がなければ収集運搬業は始められません。

もっとも大きな支出となるのが車両です。運ぶ廃棄物の形状(液体、固形物、粉体、泥など)や性質に合わせて、さまざまな専用車両が使われます。
軽バンで対応できる事業もあれば、平ボディトラックやダンプ、アームロール車などが必要になる事業では、数百万円規模の設備投資になることもあります。

また、運搬する産業廃棄物に応じて、飛散防止設備・コンテナ・容などを準備することになります。

さらに、車両には産業廃棄物収集運搬車であることを表示しなければならず、マグネットシートや車両表示の作成費用も必要です。

営業所や車庫を賃借する場合は、敷金・礼金や毎月の賃料も初期費用へ含めて考えておくと、資金不足を防ぎやすくなります。

営業開始後にも継続して費用は発生する

産業廃棄物収集運搬業では、許可を取得した時点で費用が終わるわけではありません。
営業を続けるためには、車両の維持管理や許可の更新など、継続的な支出も見込んでおく必要があります。

主な維持費には次のようなものがあります。

費用支払先金額の目安
駐車場・車庫賃料不動産会社・貸主数万円~数十万円
自動車保険保険会社契約内容による
車検整備工場・ディーラー車種による
法定点検・整備整備工場・ディーラー点検内容による
タイヤ・オイルなど消耗品整備工場・用品店使用状況による
燃料費ガソリンスタンド走行距離による

これらは営業を続ける限り発生する費用です。
車両台数が増えれば、保険料や車検費用、整備費用も増加します。
営業開始時だけでなく、毎月・毎年必要となる維持費まで見込んでおくことが、継続的な事業運営につながります。

許可更新にも費用がかかる

産業廃棄物収集運搬業許可には、5年間の有効期間があります。
営業を継続するためには、有効期間が満了する前に更新申請を行わなければなりません。

更新時には、主に次の費用が発生します。

費用支払先金額の目安
更新申請手数料都道府県・政令市73,000円/自治体
更新講習会受講料(オンライン)JWセンター約20,000円前後
更新講習会受講料(対面)JWセンター約25,000円前後
行政書士報酬(依頼する場合)行政書士5万~15万円程度

営業区域が複数の都道府県に及ぶ場合は、更新手数料も自治体ごとに必要です。
また、住所や役員、車両などに変更が生じた場合は、変更届や変更許可申請が必要となることがあり、その内容によっては証明書の取得費用や行政書士報酬が発生することもあります。

※許可更新に関するポイントや間に合わない場合の影響や対応などについて、以下の記事で解説しています。
 「産業廃棄物収集運搬業許可の更新期限はいつまで?|更新前に見直したい実務ポイント」
 「産廃許可の更新が間に合わない場合どうなる?|許可失効後の影響と対応を解説」

結局いくら準備すればよいのか

必要な資金は事業内容によって変わりますが、考え方は共通しています。

まず、許可取得までに必要な法定費用や申請関係費用を準備します。
その上で、営業に使用する車両や設備、車庫などの初期投資を加えます。
さらに、営業開始後も継続して発生する維持費まで見込んでおくことで、実際に必要となる資金が把握できます。

車両をすでに保有しているか、新たに導入するかによって総額は大きく変わりますが、多くの事業者では行政へ支払う費用よりも、車両や設備にかかる費用の方が大きな割合を占めます。
「許可を取得する費用」 と考えるよりも、 「収集運搬業を始めるための初期投資」 と考えると、必要な資金を把握しやすくなります。

まとめ|時系列で整理すると資金計画を立てやすい

最後に、産業廃棄物収集運搬業を始めるまでに必要となる費用を、時系列で整理すると次のようになります。

時期費用支払先金額の目安
申請前新規講習会受講料JWセンター27,500円(オンライン)/33,000円(対面)
住民票・履歴事項全部証明書・納税証明書など市区町村・法務局・税務署等数千円程度
申請時許可申請手数料都道府県・政令市81,000円/自治体
行政書士報酬(依頼する場合)行政書士約8万~20万円
営業開始前車両購入・リース販売店・リース会社数十万~数百万円
飛散防止設備・コンテナ・容器等資材販売業者数万円~数十万円
車両表示・マグネット等看板・印刷業者数万円程度
駐車場・車庫契約不動産会社・貸主初期費用+月額賃料
営業開始後保険・車検・法定点検・整備・燃料費保険会社・整備工場等車両や営業内容による
更新時更新申請手数料都道府県・政令市73,000円/自治体
更新講習会受講料JWセンター約2万~2万5,000円
行政書士報酬(依頼する場合)行政書士約5万~15万円

産業廃棄物収集運搬業の費用は、申請手数料だけでは全体像が見えてきません。
講習会や証明書取得などの申請関係費用、車両や設備への初期投資、営業開始後の維持費、更新時の費用まで含めて整理すると、事業開始から継続運営までに必要な資金を見積もりやすくなります。
許可取得を検討する際は、 「申請にいくらかかるか」 だけでなく、 「営業を始め、続けていくために何に費用が発生するのか」 という視点で資金計画を立てることが大切です。