公共工事の入札へ参加したい場合、「建設業許可を取得した」「経営事項審査(経審)を受けた」というだけでは、まだ参加することはできません。

公共工事の入札へ参加するためには、
 1. 建設業許可を取得する
 2. 経審を受ける
 3. 入札参加資格申請を行う

という手続きを順番に進める必要があります。

これは、建設業許可・経審・入札参加資格申請が、それぞれ異なる役割を持つ制度であるためです。
この記事では、それぞれの制度の役割と違い、公共工事の入札へ参加するまでの流れを解説します。

公共工事の入札へ参加するまでには3つの制度がある

公共工事の入札へ参加するまでの流れは、次のようになります。
 1. 建設業許可を取得する
 2. 経審を受ける
 3. 入札参加資格申請を行う
 4. 発注機関の資格者名簿へ登録される
 5. 入札へ参加する

3つの制度は同じ役割を担っているわけではありません。

建設業許可は建設業を営むための制度、経審は建設業者を評価する制度、入札参加資格申請は発注機関の資格者名簿へ登録する制度として、それぞれ異なる役割を担っています。

建設業許可は建設業を営むための制度

建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる制度です。
許可を受けることで、建設業法が定める許可要件を満たした事業者として建設業を営むことができます。
公共工事の入札へ参加する場合も、まず建設業許可を取得していることが出発点になります。

※建設業許可の制度概要や全体像については、以下の記事で詳しく解説しています。
 「建設業許可制度と申請の流れを徹底解説|制度趣旨から許可要件・手続きまでを整理」
 「建設業許可を取った後に何をする?|決算変更届・変更届・更新・経審を年間の流れで整理【神奈川県】」

経営事項審査(経審)は建設業者を評価する制度

経審は、建設業者の経営状況や経営規模、技術力、社会性などを客観的に評価する制度です。

審査結果は総合評定値(P点)として数値化され、公共工事発注機関が契約相手を選定する際の判断資料となります。
経審の役割は、建設業者を客観的な基準で評価することにあります。
評価結果は、その後の入札参加資格申請で活用されます。

※経営事項審査の概要については、以下の記事を参考にしてください。
 「経営事項審査(経審)はいつから準備すべきか?」
 「経審はいつから準備すべきか|更新直前では間に合わない理由【神奈川県】」

入札参加資格申請は発注機関へ登録する制度

入札参加資格申請は、発注機関の資格者名簿へ登録するための手続きです。
発注機関は、経審などの結果を踏まえ、審査したうえで自ら管理する資格者名簿へ登録します。
資格者名簿へ登録されることで、その発注機関が実施する公共工事の入札へ参加できるようになります。

国の機関(国土交通省など)の入札参加、地方自治体(都道府県、市区町村)の入札参加というように、参加したい発注機関ごとに入札参加資格申請を行う必要があります。
つまり、入札参加資格申請は、発注機関が契約相手として管理する資格者名簿へ登録する制度です。

入札参加資格申請には受付期間と有効期間がある

入札参加資格申請は、資格者名簿を管理する制度であるため、受付期間や資格の有効期間が設けられています。
多くの発注機関では、一定期間ごとに資格者名簿を更新する「定期申請」と、その途中で新たに登録するための「随時申請」を実施しています。

例えば、神奈川県では、2年ごとに名簿を更新する定期申請と、年度途中から登録できる随時申請を設けています。

この運用が採られているのは、発注機関が名簿を継続的に管理し、入札参加資格を適切に更新するためです。
入札への参加を予定している場合は、参加したい発注機関の受付期間や資格の有効期間を事前に確認し、申請時期を逃さないことが重要です。

なぜ経審と入札参加資格申請は別の制度なのか

公共工事は税金によって実施されます。
そのため、発注機関には、契約相手を公平かつ適正に選定する責任があります。
一方で、建設業者にも、一定の基準を満たしていれば入札へ参加できる機会が確保されなければなりません。

もし発注機関ごとに独自の基準だけで参加事業者を選定すれば、選定基準が不透明となり、公平性を確保することが難しくなります。
反対に、経審だけで全国すべての公共工事の入札へ参加できる制度であれば、各発注機関は、自ら契約する事業者を適切に管理できません。

そこで制度は、
 ・ 経審によって建設業者を客観的な基準で評価し、
 ・ 各発注機関が、その評価結果を基に資格者名簿へ登録する

という二段階の仕組みを採用しています。

この仕組みによって、公平な評価と、発注機関による適正な契約相手の選定が両立しています。

建設業許可・経審・入札参加資格申請の違い

制度制度目的制度上の役割結果
建設業許可一定規模以上の建設業を営める事業者か確認する許可制度建設業を営める
経営事項審査(経審)建設業者を客観的に評価する評価制度総合評定値(P点)が付与される
入札参加資格申請発注機関が契約相手として管理する登録制度資格者名簿へ登録される

公共工事への参加は「許可」「評価」「登録」の3段階で考える

公共工事への参加は、建設業許可によって建設業を営むための基盤を整え、経審によって経営状況や技術力などの客観的な評価を受け、その評価結果を基に入札参加資格申請を行い、発注機関の資格者名簿へ登録されることで、初めて可能となります。
この三つの制度は、それぞれ「許可」「評価」「登録」という異なる役割を担っています。
発注機関は、この仕組みによって契約相手を公平かつ適正に選定でき、建設業者は客観的な基準に基づいて入札へ参加する機会を得られます。

公共工事への参加を目指す場合は、自社が「許可」「評価」「登録」のどの段階にあるのかを確認することが大切です。