産業廃棄物収集運搬業許可を取得した後、
・車両を買い替えた
・新しい車両を追加した
・古い車両を廃車にした
といった変更が生じることがあります。
このような場合、
・車両変更の届出は必要なのか
・どのような変更が対象になるのか
・リース車両でも問題ないのか
・どのような書類を提出するのか
といった疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
産業廃棄物収集運搬業許可では、収集運搬に使用する車両を申請時に届け出ています。
そのため、実際に使用する車両が変わった場合には、車両変更の手続を行うことになります。
神奈川県では、運搬車両の変更は「事業の用に供する施設の変更」として変更届の対象です。
車両追加だけでなく、既存車両との入替えや使用をやめた車両の廃止についても、変更後の車両構成を届け出ます。
この記事では、車両変更届が必要となるケースや提出書類、実務上の注意点について解説します。
※産業廃棄物収集運搬業許可の全体像については、以下の記事もあわせてご覧ください。
「産業廃棄物収集運搬業許可(積替・保管を除く)|取得にあたって押さえるべき要点」
なぜ車両変更が届出対象になるのか
産業廃棄物収集運搬業許可では、
・どの車両を使用するのか
・その車両を長期に継続して使用できるのか
といった内容を申請時に届け出ています。
収集運搬業において、車両は実際に産業廃棄物を運搬するための設備です。
許可申請時には車検証などを提出し、収集運搬に使用する車両を明らかにしています。
そのため、
・登録していた車両を廃車にした
・別の車両へ入れ替えた
・新しい車両を追加した
といった場合には、変更後の運搬体制に合わせて車両情報を更新する必要があります。
会社で新しい車両を購入し、自動車登録や保険などの手続を済ませても、その情報が産廃許可に自動的に反映されるわけではありません。
産廃許可については、許可行政庁へ別途変更内容を届け出ます。
どのような車両変更が届出対象になるのか
車両を入れ替えた場合
既存の車両を廃止し、新しい車両へ変更した場合です。老朽化による買い替えや、故障に伴う入替えが該当します。
入替えでは、新しい車両を追加するとともに、使用をやめる車両を廃止し、変更後に実際に使用する車両構成が分かる形で届け出ます。
新しい車両だけを追加して旧車両を一覧に残してしまうと、すでに使用していない車両が許可関係資料に残ることになります。
車両を追加した場合
事業拡大などにより、新たな車両を追加する場合も変更届の対象となります。
神奈川県では、増車の場合、変更届出書に加えて、既得の許可証の写し、変更後の運搬車両一覧表、新たに追加する車両の自動車検査証記録事項等の写し、運搬車両の写真を提出する取扱いとなっています。
車両を廃止した場合
登録していた車両を使用しなくなった場合も、変更届の対象となります。
廃止だけの場合は、変更後に使用する車両を運搬車両一覧表に記載します。
新たな車両を追加するわけではないため、増車の場合に求められる新車両の車検関係資料や写真とは、提出書類の組合せが異なります。
リース車両は利用できるのか
車両変更に関連して、「会社名義の車両でなければならないのか」という疑問を持つ方もいます。
リース車両や借用車両であっても、申請者が収集運搬事業に継続して使用できる権原を有していれば、運搬車両として使用できます。
関連会社や役員個人から借り受けている車両についても同様です。
借用車両を使用する場合には、申請者がその車両を収集運搬事業に使用できる関係を資料によって明らかにします。
車検関係資料の所有者・使用者欄だけでは使用関係が明らかにならない場合には、賃貸借契約書や使用貸借契約書などが必要になります。
リース契約や借用の段階で使用権原を裏付ける書類まで揃えておけば、車両変更届の準備も円滑に進められます。
※車両要件や使用権限の考え方については、以下の記事でも解説しています。
「産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは|講習・車両・財産的基盤で確認されるポイント」
車両変更後の提出期限と必要書類
車両の追加・入替え・廃止があった場合には、変更届を提出します。
神奈川県では、運搬車両の変更について、変更の日から10日以内に変更届を提出します。
したがって、車両導入から必要書類を集め始めるのではなく、購入やリース契約の段階から届出に必要な資料を揃えておくと手続を進めやすくなります。
委託を受けて運搬するケースでは、変更内容に応じて、
・変更届出書
・既得の許可証の写し
・変更後の運搬車両一覧表
・自動車検査証記録事項等の写し
・運搬車両の写真
・使用権原を証する書類
などを準備します。
神奈川県の現行手引きでは、変更届出書、既得の許可証の写し、運搬車両一覧表を基本とし、増車の場合には自動車検査証記録事項等の写しと運搬車両写真を添付します。
必要となる書類は、増車・廃車・入替えのどの変更に該当するかによって異なります。
借用車両などを使用する場合には、その車両を収集運搬事業に使用できることを裏付ける資料も必要になります。
新車両を使用する前に押さえておきたいこと
車両を変更した場合には、変更届とあわせて、実際に収集運搬へ使用するための準備も進めます。
車庫(保管場所)
収集運搬車両については、継続して保管できる場所が確保されていることが前提となります。
特に増車の場合には、追加した車両を含め、使用する車両を継続して保管できるスペースが確保されているかを見ておく必要があります。
車両の増加によって、これまでの車庫では全車両を保管できなくなる場合には、保管場所も含めて運搬体制を見直すことになります。
車両表示
産業廃棄物収集運搬車両には、
・産業廃棄物収集運搬車である旨
・許可業者の氏名または名称
・許可番号
などの表示が求められています。
新たな車両を導入した場合には、その車両についても運搬を開始するまでに表示を行います。
表示は車体の両側面へ行い、「産業廃棄物収集運搬車」である旨は約5cm以上、事業者名と許可番号は約3cm以上の文字・数字で、見やすく鮮明に表示します。
マグネットシート等による着脱式の表示も、走行中に容易に落ちず、運搬中に必要な表示が見える状態であれば使用できます。
複数の自治体で許可を持っている場合でも、許可番号は事業者固有番号に当たる下6桁を表示すれば足ります。
携帯書類
許可業者が委託を受けて産業廃棄物を運搬する場合には、運搬車に許可証の写しを備え付けます。
紙マニフェストを使用する場合には産業廃棄物管理票を携帯し、電子マニフェストを使用する場合には、許可証の写し、加入証等と必要事項を確認できる状態を整えます。
新しい車両を導入する際は、変更届の準備と並行して、車体表示や携帯書類まで整えておくと、導入後の運搬へ移行しやすくなります。
車両変更届を出していないとどうなるのか
車両変更届を提出していない場合、許可行政庁へ届け出ている車両と実際の運搬体制が一致しない状態となります。
車両変更は法定の届出事項であり、神奈川県では変更の日から10日以内の届出が必要です。
届出をしないまま時間が経過すると、後から車両の変更時期や当時の使用権原を遡って説明しなければならない場合があります。
たとえば、以前使用していた車両から別の車両へ入れ替えたにもかかわらず変更届を提出していなければ、いつ旧車両の使用をやめ、いつから新しい車両を使用したのか、その時点で使用権原を裏付ける資料があったのかといった経緯を、過去の資料から追うことになります。
時間が経過するほど、廃車した車両の資料、旧リース契約、当時の車両写真などが現在の管理資料から外れている可能性も高くなります。
契約先への説明や過去の運搬実績との照合が必要になった場合には、変更時点の状況を改めて把握するための負担も大きくなります。
また、変更届を行わないまま更新時期を迎えると、更新申請に記載した現在の車両と、許可行政庁が把握している車両との相違から、過去の車両変更への対応が必要になる場合があります。
※変更届制度全体については、以下の記事も参考にしてください。
「産業廃棄物収集運搬業許可の変更届とは|役員・車両・住所変更で確認される内容」
車両の入替え・追加・廃止が生じた都度、変更届を行っておけば、許可関係資料にもその時点の運搬体制が反映され、後から過去の変更経緯を遡る負担を抑えられます。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可では、収集運搬に使用する車両を許可申請時に届け出ています。
そのため、車両の入替え・追加・廃止があった場合には、変更後の運搬体制に合わせて車両変更届を行います。
車両変更にあたっては、変更の日から10日以内という提出期限を踏まえ、車検関係資料や車両写真、必要に応じて使用権原を裏付ける書類を準備します。
新しい車両を運搬に使用する際には、車庫、車体表示、携帯書類についても対応しておく必要があります。
特に入替えや増車では、車両の購入やリース契約だけで手続が完了するわけではありません。
産廃許可の変更届まで一連の手続として進めることで、許可行政庁へ届け出ている車両と実際の運搬体制との相違を防ぐことができます。
車両変更が生じた際には、車両の導入と変更届、運搬開始に必要な準備をあわせて進めておくことが、その後の適正な運用につながります。