遺産整理では、預貯金の解約や不動産の名義変更などに先立って、戸籍を収集し、法律上の相続人を特定します。

相続人調査によって法律上の相続人を特定することで、遺産分割に参加する人や、預貯金・不動産などの相続手続で必要となる相続関係が明らかになります。

相続人調査は、その後の遺産分割や財産承継を行う当事者を定めるため、遺産整理の初めに行います。

この記事では、遺産整理において相続人調査がどのような役割を担い、その結果が後の手続へどのようにつながるのかを解説します。

相続人調査では法律上の相続人を戸籍から特定する

相続人調査では、亡くなった方(被相続人)の戸籍をたどり、民法上の相続人となる人を特定します。

相続人となる人やその順位は法律によって定められています。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本等をたどり、婚姻、離婚、子、養子縁組などの身分関係から、法律上の相続人を特定します。

法定相続情報証明制度でも、戸除籍謄本等から判明する法定相続人を基に法定相続情報一覧図を作成する仕組みが採られています。

たとえば、被相続人に前婚の子がいれば、その子も相続人となり得ます。また、子が被相続人より先に亡くなっている場合には、一定の要件の下でその子の子が代襲相続人となり、養子縁組によって法律上の親子関係が成立している場合には養子も相続関係に含まれます。

相続人調査では、戸籍上の身分関係から法律上の相続人を漏れなく特定することが重要です。

相続人調査の結果は遺産分割や各財産の相続手続に使われる

相続人を特定した後は、相続財産を調査し、遺産分割が必要な財産について相続人間で協議したうえで、その結果に基づいて預貯金や不動産などの相続手続を行います。

遺産分割によって不動産を取得する人を決める場合には、共同相続人による協議が前提となります。不動産の相続登記でも、法定相続人の範囲や法定相続分に基づいて登記する場合には、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本等が用いられます。

預貯金の払戻しなどでも、相続関係を示す書類が用いられます。戸除籍謄本等を基に作成された法定相続情報一覧図の写しは、相続登記のほか、被相続人名義の預金の払戻しなど複数の相続手続で利用できます。

このように、相続人調査で特定した相続関係は、遺産分割に参加する人を定め、各財産の相続手続を行う際の基礎となります。

相続人の見落としは遺産分割やその後の手続に影響する

本来の相続人を見落としたまま遺産分割を行うと、その相続人が協議に参加しないまま分割内容を決めることになります。その協議結果を前提として、財産承継の手続を完了させることはできません。

後から別の相続人が判明した場合には、その相続人を含めて遺産分割や関連する手続を改めて行うことになります。

戸籍から親族関係を特定した後、相続放棄がある場合には、その結果を反映して相続関係を捉える必要があります。相続放棄が受理された人は、その相続について初めから相続人とならなかったものとみなされるため、後順位の親族が相続人となることがあります。

行政書士は書類作成の前提として相続人を調査する

行政書士は、遺産分割協議書や相続人関係説明図などの書類作成と、その前提となる相続人調査に関与できます。
法的紛争段階にある事案や税務、登記申請など、他士業の業務に属するものは、それぞれの業務範囲に従います。

相続人調査を受任した場合には、必要な戸籍等を収集して相続関係をたどり、相続人関係説明図や遺産分割協議書の作成に反映する相続関係を明らかにします。

遺産の分け方は相続人が協議して決め、行政書士が遺産分割協議書を作成する場合は、その合意内容を書面に反映します。

その後、預貯金、有価証券、不動産など財産の種類に応じた手続を行いますが、行政書士が取り扱える範囲は法令によって異なります。不動産の相続登記や相続税申告、相続人間に法的紛争が生じている事案については、司法書士や税理士、弁護士といった他の専門家が担当する業務範囲となります。

相続人調査で遺産分割に参加する人と相続手続の当事者を特定する

遺産整理では、被相続人の戸籍をたどって法律上の相続人を特定し、相続放棄がある場合にはその結果を反映します。これにより、遺産分割協議に参加する人と、預貯金や不動産などの相続手続で相続人として扱う人が明らかになります。

相続人を特定した後は、その相続関係を前提として財産調査や遺産分割を行い、預貯金の払戻しや不動産の相続登記などの手続へつなげます。

相続人調査で確定するのは、遺産分割に参加し、各財産の承継手続を行う法律上の相続人です。