遺産整理を専門家へ依頼する場合、報酬は数十万円から、依頼内容によっては百万円を超えることもあります。
遺産整理の報酬は、依頼先によって計算方法や業務範囲が異なります。 費用を比較する際は、提示された金額に含まれる業務と、その相続で実際に依頼する手続を対応させて考えることが重要です。
この記事では、遺産整理の費用に影響する要素と、基本報酬以外に生じる費用、複数の見積りを比較する際の考え方を解説します。
遺産整理の費用は依頼する業務の範囲によって変わる
相続が発生すると、相続人の特定や相続財産の調査、遺産分割を経て、預貯金や有価証券の相続手続、不動産の相続登記などを進めます。相続税の申告が必要な場合には、これらの相続関係や財産、債務、遺産分割の内容を踏まえて申告を行います。
遺産整理を専門家へ依頼する場合、これらのうち何を任せるかによって業務量が変わります。相続人や財産の調査から各財産の相続手続まで一括して依頼する場合と、一部の手続だけを依頼する場合では、報酬の対象となる業務範囲が異なります。
たとえば、預貯金の解約だけを依頼する場合と、戸籍を収集して相続人を特定し、複数の金融機関や証券会社で手続を進め、不動産についても相続登記を行う場合とでは、扱う手続の種類と手続先が異なります。
したがって、見積りでは、報酬額とその金額に含まれる業務範囲を対応させて比較することが重要です。
※相続手続の流れについては、以下の記事で解説しています。
相続手続きは何から始めるか|親が亡くなった後に家族がたどる順番とその理由
財産額・財産の種類・相続人の数が報酬に影響する
遺産整理には、相続財産の評価額に応じて報酬を設定する体系がありますが、実際の業務量には財産の種類や手続先の数なども影響します。
同じ財産額でも、預貯金だけの相続と、不動産、有価証券、複数の金融機関の預貯金を含む相続では、財産調査や名義変更などに伴う業務が異なります。財産の種類や手続先が増えれば、それぞれについて残高や権利関係を調べ、必要書類をそろえて手続を進めることになります。
相続人の数も業務量に影響します。相続人が複数いる場合は、戸籍から相続関係を特定し、遺産分割を行うときは相続人全員で協議します。
財産額を基準とする報酬体系であっても、財産の種類、金融機関などの手続先、相続人の数、依頼する業務の範囲によって追加報酬が生じることがあります。
専門家報酬や実費が別途生じることがある
遺産整理の見積りでは、基本報酬とは別に、他の専門家報酬や税金、証明書の取得費などが生じることがあります。
不動産の相続登記を司法書士へ依頼する場合には司法書士への報酬や登録免許税などが生じ、相続税の申告を税理士へ依頼する場合には税理士への報酬が生じます。 このほか、戸籍などの証明書を取得する費用や郵送費などの実費が、基本報酬とは別に請求されることもあります。
そのため、見積書に記載された基本報酬に加え、他の専門家への報酬、登録免許税、証明書の取得費、郵送費などを含めて、依頼から手続完了までに生じる費用を把握することが重要です。
※専門家に依頼する際の考え方などについては、以下の記事を参考にしてください。
遺産整理は誰に頼むのか|自分でできるのか?専門家に頼むのか?
費用は同じ業務範囲と条件で比較する
複数の見積りを比較する際は、基本報酬の金額だけでなく、その金額がどのような条件で算定され、どこまでの業務を含んでいるのかを同じ基準で比較します。
| 比較項目 | 比較する内容 |
|---|---|
| 基本報酬 | 定額制か、財産額に応じて変動する報酬体系か |
| 業務範囲 | 相続人調査、財産調査、金融機関等の相続手続のうち、どこまで基本報酬に含まれるか |
| 追加報酬 | 財産の種類、手続先、相続人の数など、どの条件で加算されるか |
| 別途費用 | 司法書士・税理士への報酬、登録免許税、証明書取得費、郵送費など、基本報酬とは別に負担する費用 |
たとえば、一方の見積りには相続人調査や金融機関での相続手続まで含まれ、もう一方には一部の手続しか含まれていない場合、基本報酬の金額だけでは同じ条件で比較したことになりません。
自分の相続で依頼する業務を基準に、報酬の算定方法、基本報酬に含まれる範囲、追加報酬が生じる条件、別途負担する費用をそろえて、最終的な負担額を比較します。
遺産整理にかかる費用の総額で比較する
遺産整理の費用は、依頼する業務の範囲を起点として、財産額や財産の種類、手続先、相続人の数などに応じて変わります。さらに、依頼内容によっては他の専門家への報酬や登録免許税、証明書の取得費などが別途生じます。
複数の見積りを比較する際は、まず自分の相続で専門家へ任せる手続を明らかにします。そのうえで、その業務についてどのような基準で報酬が計算されるのか、基本報酬にどこまで含まれているのか、どのような条件で追加報酬や別途費用が生じるのかを踏まえて総額を比較します。
遺産整理の費用を比較する基準は、自分が依頼する相続手続を完了するまでに生じる費用の総額です。