はじめに|更新前に届出状況と許可要件を確かめる
建設業許可の更新前には、現在の許可内容と事業者の実態を照合し、前回の許可後に生じた変更事項の届出、直前決算期までの決算変更届、更新時点の許可要件を順に確かめます。
神奈川県知事許可の更新申請は、有効期間満了日の3か月前から30日前までに行います。有効期間が満了するまでに更新申請をしなかった場合は、その許可が失効するため、引き続き許可が必要であれば新規許可を取り直すことになります。
更新申請は有効期間満了日の3か月前から30日前まで
建設業許可の有効期間は5年間です。
神奈川県では、引き続き許可を受けて営業する場合、有効期間満了日の3か月前から30日前までに更新申請を行うため、許可通知書に記載された有効期間から受付開始日と満了日の30日前に当たる日を把握しておきます。
有効期間の末日が土曜日、日曜日、祝日など行政庁の休日に当たっても、翌開庁日まで有効期間が延びるわけではありません。一方、有効期間内に更新申請を行い、満了日までに更新の処分が終わっていない場合は、許可または不許可の処分がされるまで従前の許可が引き続き有効です。
更新前に変更届・決算変更届の提出状況をそろえる
前回の許可後に役員等、所在地、常勤役員等、営業所技術者等、健康保険等の加入状況などに所定の変更があった場合は変更届を提出し、直前決算期までの決算変更届も済ませたうえで更新申請へ進みます。
更新前には、主に次の事項を現在の許可内容と照合します。
・ 商号または名称
・ 本店所在地
・ 営業所の所在地や営業業種
・ 役員等
・ 常勤役員等
・ 営業所技術者等
・ 健康保険等の加入状況
・ 直前決算期までの決算変更届
会社の登記を変更していても、建設業法上の変更届が必要な事項について許可行政庁への届出まで済んでいるとは限らないため、登記事項、現在の許可内容、これまでに提出した変更届を照合し、未提出の変更があれば更新申請より前に届出を行います。
※決算変更届や変更届については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「建設業許可の決算変更届とは?|提出期限・必要書類・未提出時の対応【神奈川県】」
「建設業許可の「変更届」はいつ・どこまで必要か【神奈川県】」
更新時にも許可要件を満たしていることが求められる
更新は、現在受けている許可について、更新時点でも建設業許可の要件を満たしていることを前提として行われます。
常勤役員等の経営管理体制
更新時点でも、所定の経営経験等を満たす常勤役員等を置きます。前回の許可後に対象者が交代している場合は、その変更を届け出たうえで、現在の対象者について経営経験と常勤性を資料で示します。
神奈川県は令和8年度版の手引きで常勤役員等の常勤性を確認する資料の取扱いを見直しているため、令和8年9月現在は改訂後の基準で申請準備を行います。
営業所技術者等
許可を受けている建設業を営む各営業所には、その業種に対応する営業所技術者等を置き、更新時にも資格・実務経験等の要件と常勤性を満たしていることを示します。令和8年度版の神奈川県の手引きでは、営業所技術者等についても常勤確認資料の取扱いが見直されています。
社会保険の加入状況
健康保険、厚生年金保険、雇用保険について加入義務がある事業所は、更新時にも加入していることが求められ、更新申請では現在の加入状況を申請書へ記載して所定の資料を提出します。
財産的基礎は一般建設業と特定建設業で確認方法が異なる
一般建設業では、次のいずれかに該当することが財産的基礎の要件です。
・ 直前決算の自己資本が500万円以上
・ 500万円以上の資金調達能力がある
・ 直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
通常の初回更新で5年間継続して許可を受けて営業していれば、3つ目の基準によって財産的基礎を満たすことができるため、この場合は500万円以上の資金調達能力によって財産的基礎を示すことにはなりません。
特定建設業については、更新時にも直前決算で、欠損額、流動比率、資本金、自己資本に関する財産的基礎の基準をすべて満たす必要があります。
誠実性・欠格要件
申請者や役員等について誠実性の要件を満たし、建設業法上の欠格要件に該当しないことも更新の前提です。役員等に変更がある場合は、変更届と更新申請に記載する役員等を一致させます。
令和8年度から更新申請時の書類の取扱いが変わった
神奈川県は令和8年度版の建設業許可申請の手引きで、更新申請時の書類の取扱いを変更しています。
令和8年度からは、更新申請時の「定款の写し」が必須添付書類となり、常勤役員等と営業所技術者等の常勤性を確認する資料についても見直されています。令和8年4月1日から6月30日まで設けられていた経過措置は終了しているため、令和8年9月現在の更新申請では、現行の令和8年度版手引きに基づいて書類を準備します。
更新申請の様式や必要書類は、神奈川県が公開している最新のチェックリスト付き申請様式で確認できます。
窓口で更新申請を行う場合は、現在有効な許可申請書、変更届出書、直前決算の決算変更届などの副本を提示し、特定建設業の更新では、直前決算の確定申告書や決算報告書も財産的基礎の確認資料として必要になります。
届出状況と現在の許可内容をそろえてから更新申請書を作成する
更新準備は、次の順で進めます。
① 許可通知書から有効期間を把握する
② 現在の許可業種、営業所、役員等を許可内容と照合する
③ 直前決算期までの決算変更届の提出状況を調べる
④ 前回許可後の変更事項と提出済みの変更届を照合する
⑤ 常勤役員等、営業所技術者等その他の許可要件を満たしているか確かめる
⑥ 更新申請書と添付書類を作成する
⑦ 受付期間内に申請する
未提出の変更届や決算変更届がある状態で更新申請書を作り始めると、その後の届出によって役員、営業所、営業所技術者等の記載を修正することがあるため、先に登記事項や事業者の実態と許可内容を照合し、未提出の届出を済ませてから更新申請書を作成します。
更新期限が近い場合は有効期間と未処理事項を並行して見る
更新準備に要する期間は、未提出の届出や許可要件の変更の有無によって変わります。3か月前から準備を始めれば神奈川県の受付開始時期に合わせて申請できますが、期限が近い場合は、残された期間の中で更新申請までに処理する事項を特定します。
すでに有効期間満了日の30日前を過ぎている場合は、建設業法施行規則上の更新申請の提出期限を過ぎています。そのため、自己判断で満了日までを更新申請の期限として扱わず、直ちに許可行政庁へ相談するとともに、直前決算期までの決算変更届、前回許可後の変更届、現在の許可要件、更新申請書類の状況を確認します。
更新申請をしないまま有効期間が満了すると、その許可について更新手続を行うことはできず、必要な許可を再取得する場合は新規申請となって従前とは別の許可番号になります。
※すでに期限が迫っている場合の対応については、こちらの記事をご覧ください。
「建設業許可更新が間に合わない場合の対応(期限直前・期限後の実務)【神奈川県】」
更新申請の手数料と提出方法
神奈川県知事許可の更新申請手数料は、一般建設業または特定建設業の一方のみを更新する場合は5万円、一般と特定を同時に更新する場合は10万円です。申請方法は書面だけでなく、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)による電子申請にも対応しています。
更新申請へ進めるかを判断する
更新申請を行う際には、次の3点が揃っているかをチェックします。
・ 直前決算期までの決算変更届と、前回許可以降に生じた変更事項の届出が済んでいること
・ 常勤役員等、営業所技術者等、社会保険、財産的基礎など、更新時点の許可要件を満たしていること
・ 登記、営業所、役員、営業所技術者等の実態と、許可行政庁へ届け出ている内容が一致していること
未提出の届出があれば先にその届出を行い、許可要件に関する変更があれば現在の体制で要件を満たしていることを確かめます。期限が近い場合は、これらの処理に要する時間と残りの有効期間を踏まえ、更新申請までに完了させる事項を決めます。
更新前には、現在の許可内容と実態に食い違いがないかを確認し、未提出の届出や許可要件に関する問題を解消したうえで申請書類を準備します。ここまで確認できれば、更新申請へ進むことができます。