宅建業免許については、「失効」「返納」「取消」という言葉が使われますが、それぞれ意味が異なります。

「失効」は、有効期間の満了や廃業等によって免許の効力が失われることを指します。
「返納」は、免許の失効や取消し、廃業等に伴って、交付されている免許証を行政庁へ返す手続です。
「取消」は、宅地建物取引業法に基づく行政処分によって免許を失うことを指します。

この違いは、免許の効力がいつ失われるのか、免許を失った後にどこまで業務を行えるのか、再び宅建業を営むために新規免許が必要なのかを判断するうえで重要です。宅地建物取引業法施行規則も、免許の失効、取消し、廃業等に伴う免許証の返納を定めています。

この記事では、宅建業免許の効力が失われる原因と時期を整理し、免許を失った後の取引や再び宅建業を営む場合の手続まで解説します。

更新しなければ有効期間満了で免許が失効する

宅建業免許の有効期間は5年間です。引き続き宅建業を営む場合は、有効期間満了日の90日前から30日前までに
更新申請を行います。

期限内に更新申請をしていれば、審査が有効期間満了日までに終わらなくても、従前の免許は更新の処分が行われるまで効力を持ちます。

一方、更新申請をしないまま有効期間の最終日を過ぎると免許は失効し、後から更新手続を行うことはできないため、再び宅建業を営むには新規の免許申請が必要です。 有効期間の最終日が土曜日、日曜日、祝日などであっても、その日をもって免許は失効します。

更新忘れに気づいた場合は、まず免許証の有効期間と更新申請の提出状況を調べます。期限内に更新申請をしていれば従前の免許は更新処分まで効力を持ちますが、未申請のまま満了日を過ぎていれば、すでに失効しています。

免許が失効していれば、新たな宅建業務を行うことはできず、営業を再開するには新規の免許申請が必要です。

更新準備中に役員、事務所、専任宅建士などの未届変更が見つかった場合には、更新申請とは別に必要な変更届も処理します。

廃業・死亡・解散などでは廃業等の届出が必要になる

宅建業者が死亡した場合や、法人が合併・解散した場合、破産手続開始の決定を受けた場合、宅建業を廃止した場合には、有効期間の満了とは異なる理由で免許の効力が失われます。

宅地建物取引業法11条は、個人業者の死亡、法人の合併による消滅、破産手続開始の決定、法人の解散、宅地建物取引業の廃止について、所定の者が原則として30日以内に廃業等の届出を行うことを定めています。

死亡・合併による消滅では事実発生時に免許が失われる

個人の宅建業者が死亡した場合と、法人が合併によって消滅した場合は、その事実が発生した時点で免許が失効します。 廃業等届出書を提出した時点で初めて免許が失効するものではありません。

届出期限は原則30日以内ですが、個人業者の死亡については、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内です。

破産・解散・廃業では届出によって免許が効力を失う

破産手続開始の決定、合併以外の理由による法人の解散、宅建業の廃止については、廃業等の届出がされたときに免許が効力を失います。 宅地建物取引業法11条2項は、同条1項3号から5号までの届出があったときに免許が効力を失うと定めています。

廃業等届出書には免許証を添付して返納します。返納は免許証を行政庁へ返す手続であり、免許の効力が失われる時期は、死亡、合併、破産、解散、廃業のいずれに該当するかによって決まります。

取消しは行政処分によって免許を失う

取消しは、宅地建物取引業法に基づいて国土交通大臣または都道府県知事が行う行政処分です。

宅地建物取引業法66条には、免許取得後に一定の欠格事由へ該当した場合など、行政庁が免許を取り消さなければならない事由が定められています。これとは別に、同法67条には一定の場合に免許を取り消すことができる規定があります。

取消しを受けた場合の再免許への影響は、取消しの理由によって異なります。免許の不正取得、情状が特に重い不正行為、業務停止処分違反など一定の理由で取消しを受けた場合には、取消しの日から5年間、免許を受けられない欠格事由に該当します。

取消し後に再び免許を取得する場合は、取消処分の根拠となった条項・事由から、5年間の欠格事由に該当するかを調べます。

免許を失った後は新たな宅建業務を行えない

有効期間満了による失効、廃業等による免許の終了、行政処分による取消しによって免許を失えば、その免許に基づいて新たな宅建業務を行うことはできません。

宅地建物取引業法12条は、免許を受けていない者が宅地建物取引業を営むことや、宅建業を営む旨の表示・広告を行うことを禁止しています。免許を失った後は、従前の免許番号を使って新たな媒介契約を締結したり、新たな売買・交換・媒介等を業として行ったりすることはできません。

ただし、免許の効力が失われる前に締結した契約については、宅地建物取引業法76条により、従前の宅建業者またはその一般承継人が、その取引を結了する目的の範囲で引き続き宅建業者とみなされます。

したがって、免許を失った後は新たな契約を受けず、すでに締結している契約について、法律が認める範囲で取引を結了します。

免許の失効後は、その後の営業と再免許への影響を判断する

宅建業免許の効力が失われたときは、

 ・ いつ免許の効力が失われたのか
 ・ 新たな宅建業務を行えるのか
 ・ 既存の契約をどこまで結了できるのか
 ・ 再び宅建業を営むために新規免許が必要なのか
 ・ 再免許までの欠格期間があるのか

を順に判断します。

その前提となるのが、免許の効力が失われた原因です。有効期間の満了による失効であれば、満了日をもって免許の効力がなくなり、再び宅建業を営むには新規免許が必要です。死亡や合併、破産、解散、廃業では、事由によって免許の効力が失われる時期が異なるため、その時点を特定したうえで廃業等の届出や免許証の返納を行います。

取消しの場合は、取消処分によって免許を失うだけでなく、取消理由によっては5年間の欠格事由に該当するため、再び免許を取得できる時期まで調べます。

免許の効力が失われた後の対応は、その原因と時期によって異なります。
新たな宅建業務を行えるか、既存取引をどこまで結了できるか、どの届出や返納が必要か、再び営業する場合に新規免許が必要か、欠格期間があるかを判断します。