宅建業免許の更新では、更新申請時点の事務所や専任の宅地建物取引士などが、引き続き免許要件を満たしていることが求められます。

更新までの間に役員、事務所、政令で定める使用人、専任の宅地建物取引士などが変わった場合は、その変更が生じた時点で必要な届出を行います。届出をしないまま更新時期を迎えると、実際の営業体制と行政上の免許情報に不一致が生じるため、未提出の変更届があれば、変更が生じた時点まで遡って必要な手続を行ってから更新申請へ進みます。

更新では、免許期間中に必要だった変更手続と、更新時点で事務所や専任宅建士などが免許要件を満たしているかを順に見ていくことになります。

この記事では、宅建業免許の更新に向けて、変更届、専任宅建士、事務所についてどのような順序で見ていくのかを解説します。

更新申請の前に変更届の提出状況を確認する

宅建業者の商号・名称、役員、事務所、政令で定める使用人、専任宅建士などは、宅地建物取引業者名簿に登載される事項であり、これらに変更が生じた場合は、原則として変更があった日から30日以内に変更届を提出します。

更新申請は、免許の有効期間が満了する日の90日前から30日前までに行うため、更新時期を迎えるまでに、それまでの変更について必要な届出が済んでいることが前提になります。

たとえば、本店を移転した場合は、その時点で事務所の変更届を提出し、更新申請では変更後の所在地を記載します。届出をしないまま更新時期を迎えると、実際の営業場所と宅地建物取引業者名簿上の所在地が一致しないため、移転に伴う変更手続を行ってから更新申請へ進むことになります。

専任宅建士に変更があった場合は配置状況まで確認する

宅建業者は、事務所ごとに、宅建業に従事する者5人につき1人以上の割合で専任宅建士を置く必要があります。 専任宅建士が退職・異動した場合は変更届の対象となり、後任者には専任宅建士としての要件を満たす人を配置します。

たとえば、唯一の専任宅建士が退職すると、その時点で事務所に必要な専任宅建士が不足します。法定の配置数を満たさない状態になった場合は、2週間以内に必要な措置をとって配置基準に適合させなければならないため、後任者がいつ就任したのかまで確認する必要があります。

専任宅建士が交代した場合は、誰がいつ退任し、後任者がいつ就任したのかを明らかにした上で、退任・就任の変更届を提出し、交代後も事務所ごとの法定配置数を満たす人員を確保します。

専任宅建士の常勤性・専任性を確認する

専任の宅地建物取引士には、その事務所に常勤し、宅建業務に専従できる勤務実態が求められるため、更新時点で専任宅建士として登録されている人についても、現在の勤務状況が専任の要件を満たしていなければなりません。

免許期間中に他社への就職、他法人の役員就任、個人事業の開始など勤務状況に変化があった場合は、その変化が常勤性・専従性に影響していないかを見ます。

神奈川県では、専任宅建士が他法人の非常勤役員を兼ねている場合、非常勤であることを証する書面の提出を求める取扱いがあります。このような兼業がある場合は、役職名だけで結論を出さず、実際の勤務状況と申請先の取扱いに沿って専任性を説明できる資料を用意します。

過去に専任性を満たしていない期間があった場合は、現在の勤務体制だけでなく、その期間の勤務実態まで遡って整理します。

専任宅建士が変わった場合は本人の資格登録も確認する

専任宅建士の交代では、宅建業者が行う変更届と、宅建士本人の資格登録に関する手続が関係します。宅建士の資格登録簿には、氏名、住所、本籍、従事する宅建業者などの事項が登録されており、これらに変更が生じた場合は、取引士本人が必要な変更登録を行います。

新たに専任宅建士へ就任する人について従事先の登録内容を変更する必要がある場合は、本人が資格登録を受けている都道府県で変更登録を行い、宅建業者側でも専任宅建士の変更手続を進めます。

専任宅建士が交代したときは、宅建業者側の退任・就任手続と、取引士本人の資格登録に必要な変更をそれぞれ行います。

事務所を変更した場合は現在の事務所要件も確認する

免許期間中に事務所を移転した場合は所在地の変更届を提出するとともに、移転先も、継続して宅建業を行える実体と事務所としての独立性を備えていなければなりません。

自宅の一部を事務所にしている場合や、他の法人・事業者と同じ建物を使用している場合には、事務所として使用する範囲、他の部分との区分、出入口や動線などが審査上の確認事項になります。

神奈川県では、更新申請でも事務所の写真や平面図等を提出するため、更新時点の事務所が申請内容どおり使用されていることを資料から示せるようにしておく必要があります。免許取得後にレイアウトを変更した場合や、同じ場所に別法人が入居した場合は、事務所部分の区分や動線などが現在も要件を満たしているかを更新前に見直します。

更新申請は変更履歴を反映した現在の営業体制で行う

変更届、専任宅建士、事務所について見直した後は、現在の営業体制をもとに更新申請書を作成します。

更新前の確認は、次の順序で進めます。

前回の免許・更新後に変更した事項を洗い出す

必要な変更届が提出されているか調べる

未提出の変更があれば必要な手続を行う

現在の専任宅建士と事務所が免許要件を満たしているか確認する

現在の免許情報と営業体制を一致させる

更新申請を行う

この順序で進めることで、免許期間中に生じた変更に必要な手続と、更新時点で求められる免許要件を分けて扱うことができます。

役員、専任宅建士、事務所などに変更があった場合は、未提出の変更届を済ませるだけでなく、その変更によって専任宅建士の配置や事務所の使用状況など、現在の免許要件に影響が生じていないかまで見た上で更新申請へ進みます。

小規模事業者は一つの変更が複数要件へ影響する

一人会社や家族経営などの小規模な宅建業者では、一人の退職や役割変更が複数の免許要件へ影響することがあります。たとえば、代表者自身が唯一の専任宅建士を兼ねている会社で勤務状況が変われば、代表者としての立場に加えて、専任宅建士としての常勤性・専従性にも影響します。

また、唯一の専任宅建士が退職すれば、退任・就任の変更手続だけでなく、事務所に必要な配置数を確保しなければなりません。自宅兼事務所から別の物件へ移転した場合も、所在地の変更手続とあわせて、移転先が宅建業の事務所要件を満たしていることが求められます。

このように、一つの変更が複数の免許要件に関係する場合は、その変更に必要な届出と、影響を受ける他の要件をあわせて見ていきます。

更新前にどこまで確認すればよいか

宅建業免許の更新準備では、前回の免許又は更新後に生じた変更を時系列で洗い出し、必要な変更届を済ませた上で、現在の営業体制が免許要件を満たしている状態に整えます。

変更届は原則として変更があった日から30日以内に提出し、宅建業免許の更新申請は有効期間満了日の90日前から30日前までに行います。更新時期になってから過去の変更をまとめて処理するのではなく、変更が生じた時点で届出を行っておくことが、その後の更新申請につながります。

専任宅建士については、交代の履歴だけでなく法定の配置数と常勤性・専従性、事務所については所在地の届出だけでなく現在の使用実態まで対象になります。更新申請へ進む時点で、免許情報と実際の営業体制が一致し、現在も免許要件を満たしていることが更新準備の到達点です。