自宅の一部で宅建業を始めるには、その場所を独立した営業拠点として使用でき、継続して宅建業に使用できる権原がなければなりません。さらに、その状態を写真や平面図などの申請資料で示す必要があります。

自宅兼事務所では、「営業区画と動線を確保できるか」→「その場所を宅建業に使用できるか」→「その状態を申請資料で示せるか」の順に見ていくと、予定している自宅で申請できるかが明確になります。

独立した事務所として使用できるか

自宅の一部を事務所にする場合は、宅建業に使用する区画を定め、生活部分と区分します。

神奈川県の宅建業免許申請では、住宅の一部を事務所として使用する場合、玄関から事務所までの経路、生活部分との区切り、机・椅子・棚などの配置を平面図等で示すため、事務所区画は生活部分と分け、玄関から居間や寝室などを通らずに入れる動線を確保します。

リビングの一角を日常生活と共用している場合や、玄関から事務所へ行くために居間や寝室を通る間取りでは、生活部分から独立した営業スペースとして使用できません。そのため、机、椅子、棚などは事務所区画に配置し、その区画を継続して宅建業に使用できる状態にします。

予定している間取りで営業区画を生活部分から区分できない場合や、生活部分を通らなければ事務所へ入れない場合は、その状態のまま自宅を事務所として申請できません。

継続して宅建業に使用できる権原があるか

間取りの条件を満たしたら、次に、その自宅を宅建業に使用できる権利関係を見ます。自己所有か賃貸か、戸建住宅かマンションかによって、賃貸借契約、貸主の承諾、管理規約など、調べる対象が変わります。

自己所有の戸建住宅の場合

自己所有の戸建住宅では賃貸借契約や貸主の承諾はないため、事務所区画や玄関からの動線を確保し、実際にその場所を営業拠点として使用できる状態に整えます。 ただし、共有名義など、自分だけで建物の使用方法を決められない場合は、共有関係を踏まえて事務所として使用できる状態にする必要があります。

賃貸住宅の場合

賃貸住宅では、賃貸借契約上、その物件を宅建業の事務所として使用できなければなりません。

賃貸借契約書の使用目的を読み、宅建業の事務所として使用できる契約になっているかを調べます。住居専用となっているなど、契約書だけでは事務所利用が認められていると分からない場合は、貸主や管理会社へ問い合わせ、必要な承諾を得ます。

貸主から宅建業の事務所として使用する承諾を得られない場合は、その賃貸住宅を事務所として使用できません。

分譲マンションの場合

分譲マンションでは、自己所有の住戸でも管理規約による用途制限を受けるため、管理規約の住戸用途や事務所利用、営業目的の使用に関する規定を読み、宅建業の事務所として使用できるかを調べます。

管理規約で事務所利用が禁止されている場合は、住戸内に独立した営業区画を確保できても、その住戸を宅建業の事務所として使用できません。 一方、管理規約だけでは宅建業の事務所として使用できるか明確にならない場合は、管理組合や管理会社へ規約上の取扱いを問い合わせます。

賃貸マンションでは、賃貸借契約による使用権原と、管理規約による用途制限の両方を満たす必要があります。

事務所の状態を申請資料で示せるか

間取りと使用権原の条件を満たしたら、実際に整えた事務所の状態を申請資料で示します。

自宅兼事務所では、写真や平面図を使って、生活部分と営業部分の区分、玄関から事務所までの動線、事務所として使用する範囲を示します。神奈川県では、住宅の一部を事務所にする場合、これらの位置関係や動線、設備配置が分かる平面図等を提出し、写真とあわせて実際の事務所の状態を示します。

平面図に記載した事務所区画、玄関からの動線、家具の配置は、提出する写真と実際の使用状況を一致させます。
平面図上で一室を事務所として区分していても、実際に生活用品が置かれ、居住にも使用していれば、申請資料で示した状態と実態が一致しないためです。

物件の契約や改装、家具の購入前に申請先の最新の手引を読み、予定する間取りと使用方法で必要な写真・平面図を用意できるかまで調べておけば、申請後に事務所の間取りや使用方法を見直すリスクを減らせます。

神奈川県では、新規申請時の事務所写真として、正式な商号・名称を掲示した事務所の直接入口の写真も必要です。 なお、宅建業者票などの法定標識はこれとは別で、免許取得後に営業する事務所で掲示義務が生じます。

自宅を事務所にできるかは「間取り→使用権原→申請資料」の順に見る

自宅を宅建業の事務所として使用するには、まず生活部分と区分した営業区画と、玄関からその区画までの動線を確保します。次に、その自宅を宅建業に継続して使用できる権原があるかを、所有関係、賃貸借契約、管理規約などから調べます。

間取りと使用権原の条件を満たしたら、営業区画、玄関からの動線、設備の配置を、申請先が求める写真や平面図で示します。この3点を満たせれば、その自宅を事務所として宅建業免許を申請できます。