宅建業免許の費用を調べると、申請手数料のほかに「1,000万円」「60万円」など、大きく異なる金額が出てきます。

宅建業免許の費用が分かりにくいのは、免許申請の費用、営業開始前の保証措置、行政書士報酬が一緒に扱われやすいためです。

宅建業を始めるまでに必要な金額は、営業保証金を直接供託するか、保証協会へ加入するかによって大きく変わります。開業準備から免許申請、免許取得後の保証措置まで、費用が発生する順に見ていくと、必要額が明確になります。

宅建業の開業費用は発生する順に分けて考える

宅建業の開業に関係する主な費用は、次のとおりです。

・ 開業準備でかかる行政書士報酬や事務所費用
・ 免許申請時にかかる手数料・登録免許税
・ 免許取得後、営業開始前にかかる営業保証金または保証協会の費用

このうち、免許申請の費用と営業開始前の保証措置は必要ですが、行政書士への依頼は任意です。

法人設立費用、事務所の賃料・保証金、備品購入費なども開業時に発生しますが、これらは事業形態によって大きく変わるため、免許・保証措置の費用とは分けて見積もります。

開業準備時|行政書士へ依頼する場合は報酬がかかる

宅建業免許は自分で申請できますが、行政書士へ依頼する場合は法定費用とは別に報酬がかかり、その金額は依頼先や業務範囲によって異なります。

たとえば、申請書類の作成・提出だけを依頼する場合と、予定している事務所が要件を満たすか、専任宅建士として予定している人を配置できるかといった申請前の検討から依頼する場合では、業務内容が異なります。
自宅事務所、他社との兼業、複数事務所などがある場合は、申請書の作成だけでなく、事務所要件や専任性、役員構成、申請時に用意する資料まで含めて検討することになります。

行政書士へ依頼するときは、報酬額とあわせて、事務所や専任宅建士の事前検討、書類作成、提出など、見積額に含まれる業務範囲を見ます。

開業準備時|事務所を借りる場合は契約費用がかかる

賃貸事務所を新たに確保する場合は、免許の法定費用とは別に物件の契約費用がかかります。

賃貸事務所を使用する場合には、敷金・保証金、仲介手数料、前家賃、備品などが必要です。自宅を宅建業の事務所として使用できれば、賃貸事務所を新たに借りる場合と比べて、物件取得時の費用を抑えられます。

ただし、予定している場所が事務所要件を満たさず、別の物件を借りることになれば、当初の予算にはなかった契約費用が発生します。

事務所費用は、予定している物件が宅建業の事務所要件を満たすことを確かめた上で、賃料や契約時の費用を見積もります。

免許申請時|知事免許と大臣免許で費用が異なる

宅建業免許には、1つの都道府県内だけに事務所を設ける場合の都道府県知事免許と、2つ以上の都道府県に事務所を設ける場合の国土交通大臣免許があります。

新規の国土交通大臣免許では、登録免許税9万円が必要です。

都道府県知事免許の申請手数料は申請先の都道府県が定めているため、申請時点の手数料は申請先の都道府県で調べます。

免許を受けただけでは営業を開始できません。免許後に営業保証金を供託してその旨を免許権者へ届け出るか、保証協会へ加入して弁済業務保証金分担金を納付するなどの手続を終えてから営業を開始します。

免許取得後・営業開始前|保証措置の費用がかかる

宅建業者は、免許を受けた後、営業開始前に取引の相手方への弁済を確保するための保証措置をとります。方法は、営業保証金を供託する方法と、宅地建物取引業保証協会へ加入する方法の2つです。

営業保証金を供託する場合

営業保証金を直接供託する場合は、次の金額が必要です。

 ・ 主たる事務所 1,000万円
 ・ 従たる事務所 1か所につき500万円

本店だけで営業する場合でも、1,000万円を供託します。本店と支店1か所であれば、合計1,500万円です。

営業保証金は手数料として支払う費用ではなく、供託する資金です。開業時に1,000万円以上の資金が供託に充てられるため、資金計画への影響は大きくなります。

保証協会へ加入する場合

営業保証金を直接供託する代わりに、宅地建物取引業保証協会へ加入し、弁済業務保証金分担金を納付する方法があります。

弁済業務保証金分担金は、

 ・ 主たる事務所 60万円
 ・ 従たる事務所 1か所につき30万円

です。

保証協会には、公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会と公益社団法人不動産保証協会があります。

主たる事務所の60万円は弁済業務保証金分担金の額であり、保証協会へ加入するための総額ではありません。 弁済業務保証金分担金とは別に、関連団体の入会金や年会費などが発生します。

入会金や年会費等は、加入する協会、都道府県本部、入会時期などによって異なるため、「60万円で開業できる」と見積もらず、開業予定地域で実際に必要となる入会諸費用まで含めて算定します。

開業資金は準備から営業開始までの費用を順に積み上げる

「宅建業免許を取るための費用」と「宅建業を始めるまでの資金」は同じではありません。

開業準備では、行政書士へ依頼する場合の報酬や、事務所を新たに確保する場合の契約費用が発生します。その後、免許申請時に手数料または登録免許税を納め、免許を受けた後は、営業開始前に営業保証金を供託してその旨を免許権者へ届け出るか、保証協会へ加入して弁済業務保証金分担金を納付するなどの手続を行います。

このうち、必要額を大きく左右するのが保証方法です。営業保証金を直接供託する場合と保証協会へ加入する場合では、営業開始前に用意する資金が大きく異なります。

宅建業の開業資金は、「開業準備の費用」→「免許申請の費用」→「営業開始前の保証措置」という順に、それぞれ実際に発生する金額を積み上げて算定します。 法人を新たに設立する場合は設立費用を加え、営業開始後の賃料や人件費などの運転資金まで含めれば、開業後を見据えた資金計画になります。