「加点対象になりそうな制度へ加入しているのに、経審の点数に反映されない」
「資格者や建設機械があるのに、想定していた評点にならない」

経営事項審査(経審)では、技術職員、CPDや技能者の能力評価、建退共、法定外労災、防災協定、建設機械、ISO等について、それぞれ評価要件が定められています。評点へ反映できるかは、対象者、雇用関係、契約内容、活動義務、保有・リース条件、認証範囲など、各項目の要件に沿って判定します。

会社に資格者が在籍している、制度へ加入している、機械を保有しているといった事実を出発点として、その項目についてどの要件を満たす必要があるかを見ていきます。

この記事では、経審で評価対象となり得る項目について、実際に評点へ反映できるかを判断するときのポイントを整理します。

評点への反映条件は評価項目ごとに異なる

経審では、技術力(Z)やその他の審査項目(社会性等・W)についてそれぞれ評価基準が定められており、会社が行っている取組や保有している資格・設備を、その基準に当てはめて評点を算定します。

たとえば、有資格者が在籍している場合は、その人を技術職員として評価できる業種や雇用関係を見ます。法定外労災では補償範囲、建設機械では対象機械への該当と保有・リースの条件、防災協定では協定への参加形態や活動義務が判断軸となります。

点数を見直す際は、対象となり得る資格、制度、設備などを洗い出したうえで、各項目について評点へ反映するための要件を満たしているかを見ていきます。

技術職員は資格・対象業種・雇用関係で決まる

技術力(Z)では、建設工事の種類ごとに技術職員数などが評価されます。有資格者を技術職員として算入するには、審査基準日時点で資格等が対象業種に対応し、申請者との雇用関係についても要件を満たしていることが必要です。

原則として審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係が必要となるため、対象業種の資格を持つ人でも、審査基準日の直前に採用した場合は今回のZ点へ算入できないことがあります。要件を満たした技術者は、対象業種と資格区分を技術職員名簿へ反映します。

CPD・技能者は対象者と実績が評価の基礎になる

その他の審査項目(社会性等・W)では、知識・技術・技能の向上に関する取組も評価されます。

CPDでは対象となる技術者が取得した単位数を所定の方法で算定し、技能者については認定能力評価基準によるレベル向上などが評点に関係します。CPDや技能者の能力評価では、制度の利用状況とともに、評価対象となる人や実績を経審の基準に当てはめて評点を算定します。

申請時には、CPD単位や技能者の評価状況について、所定の資料によってその内容を示します。

建退共・法定外労災は制度ごとの要件を満たす必要がある

その他の審査項目(社会性等・W)では、建設業退職金共済制度への加入や法定外労働災害補償制度への加入も評価対象となります。

法定外労災では、加入している保険の補償内容が経審で求められる要件を満たしているかを確認します。
下請負人、通勤災害、死亡および所定の障害等級に対する補償などが評価要件に関係するため、保険証券や加入証明書を準備するときは、契約している補償範囲まで確認します。

建退共についても、経審上の評価要件に沿って加入状況を確認し、申請内容を確定します。

防災協定は協定への参加形態と活動義務で見る

防災活動への貢献の状況も、その他の審査項目(社会性等・W)の評価項目です。防災協定については、国、特殊法人等または地方公共団体との協定のほか、所属団体が協定を締結している場合の取扱いがあります。

会社が所属する団体を通じて評価を受ける場合には、その会社が防災活動について一定の役割を負っていることが必要です。そのため、所属団体が締結している防災協定の内容と、自社がその協定に基づいて負う活動義務を確認します。

神奈川県では、加入団体が防災協定を締結している場合、協定書に加えて、申請者が活動義務を負っていることを示す証明書を確認資料としています。

建設機械は対象機械と保有・リース条件で評価される

建設機械の保有状況は、その他の審査項目(社会性等・W)の評価項目であり、対象となる機械への該当、保有またはリースの条件、必要な検査等を確認して評価の可否を判断します。

リースによる機械も一定の条件で評価対象となるため、保有・リースの形態に応じて要件を確認します。また、対象機械は制度改正によって変更されることがあるため、申請の適用範囲と自社が保有・使用している機械を照合します。

令和8年7月1日施行の改正では建設機械の加点対象が拡大されているため、現在の評点を検討する際は、改正後の対象機械を基準に自社の機械が評価対象に該当するかを確認します。

ISO等は認証範囲が評価を左右する

その他の審査項目(社会性等・W)では、ISO9001、ISO14001やエコアクション21についても、所定の認証・登録が評価されます。

ISOでは、認証・登録の状況とその範囲を確認します。認証範囲に建設業が含まれているか、建設業法上のすべての営業所が含まれているかなどを照合し、経審上の要件を満たしているかを判断します。

認証・登録証を経審へ使用するときは、有効性と認証範囲を照合したうえで、今回の評価対象として申請できる内容かを確認します。

評点へ反映できる項目を要件から絞り込む

経審の点数を見直すときは、まず自社にある資格、制度への加入、協定、設備、認証などから評価対象となり得る項目を洗い出し、対象者、雇用関係、補償範囲、活動義務、保有・リース条件、認証範囲など、それぞれの評価要件に当てはめます。

その他の審査項目(社会性等・W)は制度改正によって評価項目自体が変わることもあります。令和8年7月1日施行の改正では、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況が評価項目から削除され、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が新たな評価項目となるなど、評価内容が一部変更されています。そのため、今回の申請に適用される評価項目と要件を確認し、自社の状況を当てはめます。

この順序で今回の経審で評点へ反映できる項目を絞り込み、申請時には必要な確認資料をそろえて申請内容へ反映します。

まとめ|評価項目ごとの要件から加点の可否を判断する

経審では、資格者の在籍、制度への加入、協定への参加、設備の保有、認証の取得などについて、それぞれの対象者、雇用関係、補償範囲、活動義務、保有・リース条件、認証範囲を評価基準に当てはめ、今回の経審で評点へ反映できるかを判断します。

Wの評価項目は制度改正によって変わるため、今回の申請に適用される基準を確認することも必要です。

自社にある加点候補を洗い出し、今回適用される評価基準と照合して不足する要件を特定することが、加点できる項目を申請へ正しく反映するための基本になります。