川崎市で飲食店を開業する際は、営業許可をいつ申請するのか、施設検査から許可が下りるまでにどのような手続があるのかを把握し、開業予定日に合わせて準備を進める必要があります。

飲食店の営業は、完成した施設の検査と申請内容の審査を経て、正式に営業許可を受けてから開始できます。
そのため、工事の完成時期だけでなく、申請や施設検査に必要な期間も考慮しなければなりません。

この記事では、川崎市で飲食店営業許可を取得するための事前準備、申請先と必要書類、施設検査から営業開始までの手続を解説します。

工事前に施設基準を確認し、食品衛生責任者を定める

川崎市で飲食店営業許可を取得するには、店舗の構造や設備が、食品衛生法に基づく神奈川県の施設基準に適合している必要があります。

施設基準には、食品を衛生的に取り扱うための作業場所、手洗い設備、洗浄設備、給排水設備、食品の保管設備などに関する条件があり、予定する営業内容に応じた施設を整えなければなりません。

川崎市では、工事着手前に店舗の設計図面を用意し、管轄の区役所衛生課等へ事前相談することを案内しています。

相談では、予定するメニューや調理・販売方法を伝え、厨房の構造や設備の配置が適用される施設基準に合っているかを確認します。必要な設備が不足していれば、設計を修正してから工事を進めることで、完成後の改善工事を避けやすくなります。

また、飲食店の営業者は、施設ごとに食品衛生責任者を定める必要があります。

食品衛生責任者には、調理師、製菓衛生師、栄養士などの資格を持つ人や、所定の養成講習会を修了した人などを充てることができます。自社に該当する資格を持つ人がいない場合は、営業者本人や選任予定者が養成講習会を受講し、開業に向けて必要な資格を取得します。

※工事前の保健所相談で確認する内容については、以下の記事で解説しています。
 飲食店開業の保健所への事前相談|工事前に確認する営業許可・施設基準と図面

営業開始予定日の約2週間前を目安に許可申請する

施設計画と食品衛生責任者の準備ができたら、営業開始予定日に合わせて飲食店営業許可を申請します。

川崎市では、営業開始予定日の約2週間前に必要書類を提出することを案内しています。

これは申請の受付、施設検査、審査を行うための目安です。工事の完成が遅れたり、施設検査で改善を求められたりすると、許可を受ける時期も遅れるため、開業予定日から余裕を持って申請日程を組む必要があります。

申請先は店舗所在地を管轄する区役所衛生課

営業許可の申請先は、原則として店舗所在地を管轄する区役所の地域みまもり支援センター衛生課食品衛生係です。

川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区の各区で、店舗所在地に応じた窓口が申請を受け付けます。

ただし、北部市場内の施設については中央卸売市場食品衛生検査所、一部の大規模施設などについては川崎市生活衛生課が担当します。

申請方法には、区役所等窓口への提出、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」によるオンライン申請があります。

オンラインで申請した場合も、完成した店舗の施設検査が必要です。 手数料の納付や施設検査などには対面での対応が必要となるため、申請先と日程を調整します。

申請に必要な書類と手数料

川崎市で飲食店営業許可を申請する際の主な必要書類と手数料は、次のとおりです。

書類・費用内容
営業許可申請書営業者、施設所在地、営業の種類などを記載する
施設の構造・設備を示す図面店舗の間取り、厨房設備、手洗い設備などの配置を示す
水質検査結果の写し所定の給水設備以外の水を使用する場合に提出する
食品衛生責任者の資格証明書類原本または写しを提示する
法人の登記事項証明書法人で申請する場合に、最新情報が記載された原本または写しを提示する
申請手数料飲食店営業は16,000円

水質検査結果の写しは、水道直結、専用水道、簡易専用水道、小規模受水槽水道の水を使用する場合には不要です。それ以外の水を使用する場合は、該当する検査結果を用意します。

提出書類は返却されないため、控えが必要な場合は提出用とは別に用意しておきます。ただし、食品衛生責任者の資格証明書類や法人の登記事項証明書は、確認後に返却されます。

申請書では営業者や施設の情報が確認され、図面では施設の構造と設備が示されます。これらの申請内容を基に、工事完了後の施設検査が行われます。

工事完了後に施設検査を受ける

営業許可申請が受け付けられたら、店舗の工事進捗に合わせて施設検査の日程を調整します。

川崎市では、申請受付後に担当者と工事の進行状況や検査日時について相談し、施設が完成した段階で、営業者の立会いのもと実地調査を受ける流れとなっています。

施設検査では、担当者が申請書類や図面と実際の店舗を照合し、施設の構造・設備が神奈川県の施設基準に適合しているかを確認します。

主な確認対象は、次のとおりです。

  • 厨房や食品取扱場所の区画、広さ、清掃しやすい構造
  • 従業員用の手洗い設備や食品・器具の洗浄設備
  • 冷蔵・冷凍設備など、食品の衛生的な保管に必要な設備
  • 給水・排水設備、換気設備、トイレ、防虫・防鼠対策など

実際に求められる設備や構造は、適用される施設基準と営業内容によって決まります。

例えば、従業員用の手洗い設備を設置していても、水を止める際に手でひねるハンドル式の水栓では、洗浄後の手指が再び汚染されるため、施設基準に適合しません。

この場合は、センサー式や肘で操作できるレバー式など、洗浄後の手指が再汚染されない構造の水栓に交換する必要があります。

基準に適合しない場合は改善後に再検査を受ける

施設検査で基準に適合しない箇所が見つかった場合は、担当者から改善を求められます。

施設基準に適合しない状態では営業許可を受けられないため、不適合箇所を改善し、再検査で適合性を確認してもらう必要があります。

再検査となれば、改善工事と検査日程の調整に時間がかかり、当初予定していた開業日までに許可を取得できないこともあります。

そのため、施設検査の日程を決める際には、工事の完成時期に加え、設備の試運転や必要な改善への対応も考慮しておくことが重要です。

施設検査後の審査を経て営業許可を受ける

施設検査が終わると、川崎市は検査結果や申請内容を踏まえて審査を行い、営業許可の可否を決定します。

営業を開始できるのは、施設検査で基準への適合が確認され、審査を経て正式に営業許可が下りてからです。
施設検査が終了しただけでは、営業を開始することはできません。

川崎市の営業許可申請の手引きでは、標準処理期間は10日と案内されています。ただし、許可までの日数を保証するものではなく、書類の不備や施設の改善・再検査が生じた場合は、許可までの時期が変わります。

審査が終了して許可が下りると、川崎市から営業許可書が交付されます。交付予定日に受付窓口へ出向き、許可書を受け取ります。

なお、営業許可は食品衛生法によるものです。営業内容や施設によっては、環境法令や消防法令などの他法令も遵守する必要があります。

許可後の掲示義務と営業開始日を確認する

川崎市で飲食店営業許可を受けた後は、許可された営業内容と条件に従って営業を開始します。

営業開始に当たっては、営業許可事項を店舗に掲示する義務があります。掲示する事項は、施設の所在地、施設の名称・屋号、許可年月日と許可番号、営業の種類、許可期間、許可条件です。

掲示方法としては、交付された営業許可書の原本または写しを掲示する方法のほか、必要な許可事項を自分で記載して掲示する方法も認められています。

また、食品衛生責任者については氏名の掲示義務はありませんが、誰が担当しているか分かるよう、帳簿への記録や氏名の掲示などを行います。

開業予定日を決める際には、工事の完成予定日と施設検査の日程を踏まえ、申請から許可決定までの流れを申請先と調整します。申請は営業開始予定日の約2週間前が目安ですが、施設検査で改善を求められると許可取得が遅れるため、正式な許可を受けられる見通しに合わせて開業日を判断します。