古物商許可を取得後、営業所を移転したり、管理者が交代したり、法人役員が変更になったりすることがあります。
また、インターネットで古物営業を行っている場合は、販売に利用するホームページやECサイトのURLを変更することもあるでしょう。
このような変更が生じた場合は、古物商許可の変更届が必要になります。
古物営業法は、盗品等の売買を防止し、被害に遭った品物を速やかに発見することを目的としています。
古物商許可は一度取得すれば終わる制度ではありません。
公安委員会は、許可申請時に営業主体や営業所、管理者、ホームページ利用取引の有無などを確認し、その内容を前提として古物営業を許可します。
許可後も、公安委員会が把握している内容と実際の営業実態が一致していることを前提に制度が運用されています。
そのため、営業所や管理者、営業方法など、許可を受ける際の前提となった事項に変更が生じた場合は、その内容を公安委員会へ届け出て、許可を受けた内容を現在の営業状況に反映する必要があります。
これが古物商許可の変更届です。
この記事では、変更届が必要となる事項や届出期限、変更届後に必要となる手続、届出を怠った場合のリスクについて、制度の流れに沿って解説します。
古物営業法でいう「許可事項」とは
変更届が必要かどうかは、「営業内容が変わったか」ではなく、許可事項に変更が生じたかどうかで判断します。
古物商許可は、「古物営業を営むこと」を包括的に許可する制度ではありません。
営業者が誰であるか、どこで営業するのか、誰が営業所を管理するのか、どのような方法で営業するのかなど、一定の事項を申請し、公安委員会がその内容を確認したうえで許可が与えられます。
つまり、古物商許可は、申請時に確認された営業主体や営業所、管理体制などを前提として成立しています。
そのため、営業内容が変わっていなくても、許可を受けた事項に変更が生じれば変更届が必要です。
例えば、営業所を移転しても、中古品を販売するという営業内容は変わりません。しかし、「どこで営業するのか」という許可の前提となる内容は変更されます。
管理者が交代した場合も、営業内容は同じであっても、「誰が営業所を管理するのか」という事項は変更されます。
また、ホームページをリニューアルしてURLが変わった場合は、ホームページ利用取引として届け出た営業方法に変更が生じます。
このように、変更届は、許可を受けた前提となる事項の変更を届け出る制度です。
主な許可事項は、次のとおりです。
| 区分 | 主な許可事項 |
|---|---|
| 営業主体に関する事項 | 氏名(名称)、住所、本籍(国籍等)、法人の商号・本店所在地、役員、管理者 |
| 営業所に関する事項 | 営業所の名称、所在地、新設、移転、廃止 |
| 営業方法に関する事項 | ホームページ・ECサイト等のURL(ホームページ利用取引を行う場合) |
これらの許可事項に変更が生じた場合は、その内容に応じて変更届を提出しなければなりません。
※営業所や営業方法に関する事項については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
「古物商許可の取り方|個人・法人で先に整理すべき営業所・販売方法とは」
「自宅でも古物商許可は取れる?|賃貸・マンションで営業所要件が問題になりやすいケース」
「古物商許可のURL届出とは|メルカリ・BASE・Shopifyでも必要?」
「メルカリ・ヤフオク・せどりで古物商許可は必要?|副業販売で判断が分かれるポイント」
変更届が必要となる事項と届出期限
変更届は、許可を受けた内容に変更が生じた場合に必要となります。
変更内容によって届出期限が異なるほか、営業主体に関する事項では、個人と法人で届出事項も異なります。
| 変更事項 | 個人 | 法人 | 届出期限 |
| 氏名 | 〇 | ― | 変更後14日以内 |
| 商号 | ― | ○ | 変更後20日以内(登記事項証明書添付) |
| 住所 | ○ | ― | 変更後14日以内 |
| 本店所在地 | ― | ○ | 変更後20日以内(登記事項証明書添付) |
| 本籍(国籍等) | ○ | ― | 変更後14日以内 |
| 役員 | ― | ○ | 変更後20日以内(登記事項証明書添付) |
| 管理者 | ○ | ○ | 変更後14日以内 |
| 営業所の新設 | ○ | ○ | 変更予定日の3日前まで |
| 営業所の移転 | ○ | ○ | 変更予定日の3日前まで |
| 営業所の廃止 | ○ | ○ | 変更予定日の3日前まで |
| 営業所名称の変更 | ○ | ○ | 変更予定日の3日前まで |
| ホームページ・ECサイト等のURL追加・変更・廃止 | ○ | ○ | 変更後14日以内 |
営業所に関する変更では、営業を行う場所そのものが許可事項となっています。
新しい営業所で営業を開始する前に、公安委員会が把握している営業所情報も変更しておく必要があります。
このため、営業所の新設や移転、廃止などは、変更予定日(=営業開始日)の3日前までの事前届出となっています。
例えば、自宅兼営業所を移転する場合は、営業所所在地の変更について事前届出が必要です。引っ越しに伴って住所も変更になる場合は、住所変更の届出も必要になります。
一方、営業主体や営業方法に関する変更は、変更後に届け出る事後届出です。
法人役員が就任・退任した場合は、役員という許可事項に変更が生じるため、変更届が必要です。
ホームページ利用取引を行う場合は、そのURLも許可事項として届け出ます。
利用するホームページやECサイトのURLを追加・変更・廃止した場合も変更届の対象となります。
変更内容によって届出期限や必要書類は異なるため、自身の変更内容がどの許可事項に該当するのかを確認したうえで、適切な期限までに手続を行うことが重要です。
変更届後に必要となる手続
変更届を提出した後は、変更内容によって古物商許可証の書換え申請が必要になる場合があります。
変更届は、公安委員会が把握している許可内容を現在の営業実態に合わせるための手続です。その結果、許可証に記載されている事項にも変更が生じる場合は、その記載内容も現在の許可事項に合わせる必要があります。
主な変更事項は、次のとおりです。
・ 個人の氏名変更
・ 法人の商号変更
・ 個人の住所変更
・ 法人の本店所在地変更
・ 営業所所在地の変更
・ その他、許可証の記載事項に変更が生じる場合
一方、管理者の変更やホームページ・ECサイト等のURL変更など、許可証の記載事項に影響しない変更については、変更届のみで足りる場合があります。
また、変更内容によって必要となる添付書類も異なります。
例えば、住民票の写しや登記事項証明書などの提出が必要となるケースがあります。
そのため、変更届を提出する際は、
・ 届出期限
・ 必要書類
・ 古物商許可証の書換えが必要かどうか
まで確認しておくと、手続を円滑に進めることができます。
変更届を怠った場合のリスク
変更届は、許可事項に変更が生じたことを届け出る法定の手続です。
変更届を提出せず営業を続けると、公安委員会が把握する内容と実際の営業実態が一致しない状態になります。
例えば、
・ 営業所を移転したのに届出をしていない
・ 管理者が交代したのに届出をしていない
・ 法人役員が変更になったのに届出をしていない
・ ホームページ利用取引のURLを変更したのに届出をしていない
このような場合には、公安委員会が把握している情報は変更前のままです。
古物営業法が変更届を義務付けているのは、単に営業者の情報を管理するためではありません。
営業主体や営業所、管理者、営業方法などの許可を受けた内容を常に現在の営業実態と一致させることで、盗品等が流通した際にも営業者や取引経路を把握できる状態を維持することが制度の目的です。
変更届を怠ることは、古物営業法が予定する許可制度の前提を維持できなくなることにつながります。
10万円以下の罰金
変更届が必要であるにもかかわらず届出をしなかった場合や、虚偽申請した場合は、10万円以下の罰金が科されることがあります。
営業内容が変わっていない場合でも、許可事項に変更が生じていれば届出義務はなくなりません。
行政処分・許可取消し
変更届を怠った場合は、行政処分の対象となることもあります。
違反内容や程度によって、指導や是正を求められるほか、重大な違反では許可が取り消される可能性もあります。
許可が取り消された場合は、その時点で古物営業を継続することはできません。
許可取消し後は5年間再取得できない
古物商許可が取り消された場合でも、新たに申請すれば直ちに営業を再開できるわけではありません。
古物営業法では、許可取消しを受けた者は5年間の欠格事由に該当するため、その期間は原則として古物商許可を取得できません。
法人の場合は、取消し時の役員についても欠格事由の対象となるため、法人名を変更したり新たな法人を設立したりしても、直ちに許可を取得できるとは限りません。
なお、欠格事由についいては、「古物商許可で「落ちる」ケースとは|欠格事由と実務上の確認ポイント」
で詳細を確認できます。
変更届は形式的な届出ではなく、古物商許可を維持し、適法に営業を継続するための重要な法的義務です。
よくある質問
Q. 引っ越しをしただけでも変更届は必要ですか?
個人の住所変更は変更届の対象です。
また、自宅兼営業所として許可を受けている場合は、住所変更だけでなく営業所所在地の変更にも該当します。
営業所は許可事項そのものであるため、新しい営業所で営業を開始する前に事前届出を行う必要があります。
Q. ホームページを作り直しただけでも変更届は必要ですか?
ホームページ利用取引として届け出たURLを変更・追加・廃止する場合は、変更届が必要です。
一方、デザインや掲載内容を変更しただけでURLが変わらない場合は、通常、変更届の対象にはなりません。
Q. 法人役員が増えたり退任したりした場合も変更届は必要ですか?
必要です。
役員は古物商許可の許可事項に含まれるため、就任・退任のいずれも変更届の対象となります。
Q. 個人事業から法人化した場合は変更届で対応できますか?
できません。
個人に与えられた古物商許可と法人に与えられる古物商許可は、それぞれ別の営業主体に対する許可です。
法人として古物営業を始める場合は、変更届ではなく、法人名義で新たに古物商許可を取得する必要があります。
Q. 変更届を提出すれば手続は終わりですか?
変更内容によっては、古物商許可証の書換えや添付書類の提出が必要になります。
変更届だけで手続が完了するとは限らないため、書換え申請の要否や必要書類もあわせて確認しておきましょう。
まとめ
古物商許可の変更届は、営業所や管理者、役員、ホームページ・ECサイトのURLなど、許可事項に変更が生じた際に必要となる手続です。
変更内容によって、営業開始前に行う事前届出と、変更後に行う事後届出に分かれます。また、個人と法人では届出事項や届出期限も異なります。
さらに、古物商許可証の書換えや添付書類の提出が必要になる場合があります。
変更届を怠ると、10万円以下の罰金や行政処分、古物商許可の取消しにつながる可能性があります。さらに、許可が取り消された場合は、原則として5年間は古物商許可を再取得できません。
古物商許可は、一度取得すれば終わる制度ではありません。許可事項に変更が生じた場合は、その内容を適切に届け出て、公安委員会が把握している内容と実際の営業実態を一致させておくことが求められます。
このように許可事項を適切に管理することが、盗品等の流通防止や被害品の早期発見という古物営業法の目的を支え、適法な古物営業を継続することにもつながります。
公安委員会が許可した内容と実際の営業実態を一致させ続けることが、盗品等の流通防止や被害品の早期発見という古物営業法の目的を支えています。
※古物商許可の新規取得と取得にかかる費用などは、以下の記事で解説しています。
「古物商許可とは?|どんな場合に必要なのかをわかりやすく整理」
「古物商許可を取得する方法|副業せどり・中古品販売を始める方へ」
「古物商許可の費用はいくらかかる?|申請手数料・必要書類取得費用を整理」
古物商許可が必要かどうかは、販売方法ではなく商品の取得方法や営業実態によって判断されます。
「自分の場合は許可が必要なのか分からない」という方は、古物商許可申請サポートページをご覧ください。
古物商許可申請サポートページ