古物商許可を取ろうとすると、「犯罪歴がなければ大丈夫なのか」「副業でも管理者を置く必要があるのか」「自宅を営業所にして問題ないのか」といった疑問が出てきます。
この記事では、古物商許可を受けられない欠格事由を中心に、法人役員や管理者について審査される内容と、申請前に決めておく営業体制について解説します。
欠格事由に該当すると古物商許可を受けられない
古物営業法では、一定の事情に該当する人について、古物商の許可をしてはならないと定めています。
主な欠格事由には、次のようなものがあります。
・ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・ 拘禁刑以上の刑に処せられ、または窃盗、背任、遺失物横領、盗品等の有償譲受けなど一定の罪で罰金刑に
処せられ、所定の期間を経過していない者
・ 集団的または常習的に暴力的不法行為などを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
・ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく一定の命令や指示を受け、所定の期間を経過して
いない者
・ 住居の定まらない者
・ 古物営業の許可を取り消され、一定期間を経過していない者
・ 心身の故障により古物商等の業務を適正に実施することができない者として一定の要件に該当する者
・ 一定の場合を除く未成年者
申請する本人について、これらの事情に該当するものがないかを申請前に見ておきます。
犯罪歴がある場合も、その事実だけで直ちに欠格事由に該当するわけではありません。刑の種類や犯罪の内容、
刑の執行を終えてからの期間などによって扱いが異なります。
そのため、過去に刑事処分を受けたことがある場合は、処分の内容と時期を明らかにしたうえで、古物営業法が定める欠格事由のどれに関係するのか、その事由について定められた期間をすでに経過しているのかを見ていくことになります。
法人は役員も欠格事由の対象になる
法人で古物商許可を申請する場合には、法人の役員も欠格事由の対象になります。
役員の中に古物営業法が定める欠格事由へ該当する人がいれば、その法人は許可を受けることができません。
法人申請では、現在の役員を登記事項証明書などから把握し、各役員について欠格事由の該当性をチェックします。
役員について住民票や身分証明書、誓約書、略歴書などを提出するのも、法人だけを見て許可の可否を判断する仕組みになっていないためです。
役員変更を予定している法人であれば、申請時の役員構成がどうなっているのかも申請内容に関わります。
古物商許可を申請する法人と、その法人の役員について、許可を受けられる状態にあるかが審査されます。
管理者にも選任できない場合がある
営業所を設ける場合には、営業所ごとに管理者1人を選任します。管理者は、その営業所における古物営業の業務を適正に実施するための責任者です。
法人の役員が管理者を兼ねることもできますが、別の人を選任することもできます。
ただし、未成年者や、古物営業法13条2項に定める一定の事由に該当する人は、管理者になることができません。
一方、営業所から遠距離に居住していること自体は、法律上の欠格事由ではありません。ただ、管理者はその営業所の業務を適正に実施するための責任者であるため、実際にその職務を担える勤務状況や営業所との関係になっているかは確認しておく必要があります。
たとえば、営業所から離れた地域に居住し、日常的にも別の場所で勤務している人を管理者とする場合には、名義上その人を置くだけではなく、その営業所の業務を実際に管理できる体制になっているかが問題になります。
※管理者の役割や選任方法については、以下の記事を参考にしてください。
「古物商許可の管理者とは何をする人?|役割と選び方を解説」
営業所と営業方法を申請内容に反映する
欠格事由に該当しない人を申請者や管理者として定めても、それだけで申請内容が完成するわけではありません。
実際にどこで、どのような古物営業を行うのかを決め、その内容を申請書に記載します。
自宅で営業するのであれば自宅を営業所とし、別に店舗や事務所を設けるのであれば、その場所を営業所として申請します。申請書に記載する営業所と、実際に古物営業を行う場所が食い違わないようにします。
賃貸住宅やマンションを営業所として使用する場合には、賃貸借契約や管理規約を読み、事業利用や事務所利用を禁止・制限する条項がないかを見ます。該当する条項があれば、予定している古物営業が認められるかを貸主や管理会社へ問い合わせます。
バーチャルオフィスのうち、住所貸しや郵便物の受取だけで、そこで古物営業を行う実体がないものは、古物商の営業所として申請することはできません。古物営業法では、営業所ごとに管理者を選任し、標識を掲示することなどが予定されており、営業所として実際に古物営業を管理・実施できる場所であることが前提になります。
※自宅や賃貸マンションを営業所にする場合の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
「自宅でも古物商許可は取れる?|賃貸・マンションで営業所要件が問題になりやすいケース」
インターネットを利用して古物取引を行う場合には、利用するサイトやページ、そこで行う取引の方法も申請内容に関わります。URLの記載や使用権限を疎明する資料が求められる営業形態であれば、実際に使用するURLを特定し、そのURLを使用できることを示す資料を用意します。
※ネット販売を行う場合のURLに関する手続については、以下の記事で整理しています。
「古物商許可のURL届出とは|メルカリ・BASE・Shopifyでも必要?」
「許可を受けられない事情」と「申請内容の不備」を分けて考える
古物商許可の申請で問題が見つかったときは、その問題が法律上許可を受けられない事情なのか、申請する営業体制や書類を整えれば解消できる事情なのかを見極めることが重要です。
欠格事由に該当する場合は、申請書の書き方や添付書類を補うことで解消する問題ではありません。
たとえば、一定の刑に処せられて法律上定められた期間を経過していないのであれば、その期間中は欠格事由そのものが許可の障害になります。
法人役員について欠格事由がある場合も、法人の申請書類が揃っているかとは別に、役員構成を含めて許可を受けられる状態にあるかが問題になります。
一方、管理者をまだ決めていない、営業所とする場所が定まっていない、実際に利用する販売サイトが申請内容へ反映されていないといった事情は、予定している営業体制を具体化して申請内容へ落とし込む段階の問題です。
申請前には、まず申請者・法人役員・管理者について許可を妨げる事情がないかを見極め、そのうえで、誰がどこでどのように古物営業を行うのかを申請書と実際の営業に一致させます。
過去の刑事処分など欠格事由との関係が問題になる事情がある場合には、その内容と時期から許可を受けられる状態にあるかを判断します。管理者、営業所、販売方法に問題がある場合には、予定している営業体制のどこを決め直せば申請できる状態になるのかを見ていきます。
この判断を先に行えば、許可を受けられない状態のまま書類収集を進めたり、反対に、営業所や管理者を決め直せば進められる申請を「許可が取れない」と考えたりすることを避けられます。
※古物商許可全体の流れや実際の申請手続などについては、以下の記事で解説しています。
「古物商許可の取り方|個人・法人で先に整理すべき営業所・販売方法とは」
「古物商許可を取得する方法|副業せどり・中古品販売を始める方へ」
自分の場合は許可が必要なのか分からないという方は、古物商許可申請サポートページをご覧ください。
古物商許可申請サポートページ