古物商許可を申請すると、申請書に「管理者」を記載する欄があります。個人事業主本人を記載してよいのか、店長や従業員から選ぶのか、資格や経験が必要なのか、初めて申請する段階では迷うことがあります。
管理者は営業所または古物市場ごとに選任し、その営業所で行われる古物営業を継続して把握・管理する立場です。申請者本人や法人代表者も、実際にその営業所で管理者の業務を担える場合は管理者になることができます。
この記事では、管理者として誰を選べるのか、営業所でどのような役割を担うのか、複数店舗を運営するときや管理者が交替するときの扱いまで解説します。
管理者は営業所ごとに1人選任する
古物商は、営業所ごとに管理者1人を選任します。営業所が複数ある場合も、それぞれの営業所に管理者を置くのが原則です。
管理者になれる人は、個人事業主本人、法人代表者、役員、店長、従業員など、特定の役職に限られていません。
誰を選任する場合でも、その営業所で管理者としての業務を実際に担えることが前提になります。
対象となる営業所で日常的に業務へ関与し、管理者としての役割を担える人を選任します。
管理者は古物取引の手順を把握し、必要に応じて従業員へ指示する
古物商には、古物の買受け等を行う際の相手方の確認、一定の取引に関する帳簿等への記録、不正品の疑いがある場合の申告など、古物営業法上の義務があります。
管理者には、営業所で行われる古物取引の方法を把握し、本人確認や取引記録などが適切に行われるよう、必要に応じて従業員へ指示できることが求められます。
従業員が古物の買取りを担当する店舗であれば、本人確認や取引記録などの手順を把握し、適切に行われるよう管理します。インターネットや宅配による買取りを行う営業所では、その取引方法に応じた本人確認方法についても把握しておく必要があります。
管理者には、肩書ではなく、営業所で行われる古物取引を把握し、必要な場面で従業員へ指示するなど、実際に業務へ関与できることが求められます。
管理者になるための資格はないが、必要な知識や経験を身につける
管理者になるために、古物商専用の国家資格や資格試験が設けられているわけではありません。
ただし、古物営業法は、古物商に対して、管理者が取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要な知識、技術または経験を得られるよう努めることを求めています。特に自動車、自動二輪車、原動機付自転車を取り扱う営業所については、必要な知識・技術・経験が施行規則で具体化されています。
そのため、資格の有無にかかわらず、営業所で取り扱う古物について必要な知識や経験を備えている人を選ぶか、選任後に必要な知識・技術・経験を身につけられるようにする必要があります。
申請者本人や法人代表者も管理者を兼ねることができる
個人事業主が1店舗で営業し、本人がその営業所で日常的に業務へ従事する場合は、申請者本人を管理者として選任できます。法人代表者や役員についても、対象となる営業所で管理者の業務を担える場合は同様です。
警視庁の申請様式でも、個人許可の申請者や法人役員が管理者を兼ねる場合を前提とした管理者用誓約書の提出が案内されています。
小規模な事業で申請者本人が日常的に店舗へ勤務する場合は、本人が管理者を兼ねることができます。法人代表者が複数の営業所を統括している場合などは、対象となる営業所で実際に管理者の業務を行える勤務体制になっているかを確認したうえで選任します。
複数営業所の管理者は営業所ごとに選任する
複数店舗を運営する場合も、管理者は営業所ごとに選任するのが原則です。
管理者は、それぞれの営業所で業務を適正に実施するための責任者となるため、1人が複数の営業所の管理者を兼任することは原則としてできません。
ただし、営業所同士が隣接しているなど、1人で双方の営業所を実質的に管理できる場合には、兼任が認められることがあります。
複数営業所で同じ人を管理者とする場合は、営業所の位置関係や勤務体制を具体的にしたうえで、申請前に管轄の警察署へ相談します。
管理者には営業所で実際に業務を担える勤務体制が必要
管理者は、その営業所で管理者としての業務を実際に担える勤務体制にあることが必要です。
別の勤務先で常勤している人や、営業所から離れた場所を主な勤務場所としている人などは、対象となる営業所で継続して管理者の業務を担うことが難しくなります。
申請者本人や法人代表者を管理者とする場合も同じです。対象となる営業所で古物取引の状況を把握し、必要な対応や従業員への指示を行える勤務体制になっているかを確認します。
管理者は申請書に記載し、略歴書や住民票などを添付する
古物商許可の申請では、営業所ごとに管理者の氏名や住所などを申請書へ記載します。
管理者については、略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書などの添付書類が必要です。
個人の申請者や法人役員が管理者を兼ねる場合も、管理者用の誓約書が必要になります。
申請前には、対象となる営業所で管理者の業務を担える人を決め、その人が実際に勤務できる体制を整えたうえで必要書類を準備します。
※許可申請時に必要な書類については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
「古物商許可に必要な書類はどんなものがある?|個人・法人別に必要書類と準備のポイントを解説」
管理者が退職・異動したら後任者を選任して変更届出を行う
管理者が退職し、別の人へ交替した場合は、新しい管理者を選任して変更届出を行います。
管理者の交替は変更後14日以内に届け出ます。管理者の交替に伴って登記事項証明書を添付する必要がある変更が生じる場合は、20日以内となります。
新しい管理者については、略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書を添付します。
すでに管理者となっている人が別の営業所へ異動して管理者になる場合には、これらの添付書類を省略できます。
人事異動などで管理者を交替させる場合は、後任者と交替日を決めたうえで、必要書類をそろえて期限内に変更届出を行います。あわせて、本人確認や取引記録など営業所で行っている古物取引の手順を後任者へ引き継ぎ、交替後に新しい管理者が管理者としての業務を担える体制へ切り替えます。
※管理者・営業所・URLなどの変更届については、以下の記事を参考にしてください。
「古物商許可の変更届とは|営業所・管理者・URL変更で必要になる手続」
「古物商許可の更新は必要?|取得後の変更届出と営業実態」
古物商許可が必要かどうかは、販売方法ではなく商品の取得方法や営業実態によって判断されます。
「自分の場合は許可が必要なのか分からない」という方は、古物商許可申請サポートページをご覧ください。
古物商許可申請サポートページ