補助金申請を専門家に依頼しようとすると、「着手金5万円」「成功報酬10%」「完全成功報酬型」など、さまざまな料金が提示されます。着手金が無料の事務所もあれば、申請準備の段階で費用が発生する事務所もあり、料金体系だけでは実際の負担額を比較しにくいものです。

例えば、成功報酬10%と表示されていても、最低報酬額が設定されていたり、採択後の実績報告に追加費用がかかったりします。また、採択時に成功報酬が発生する契約では、補助金を受け取る前に専門家への支払いが必要になることもあります。

補助金申請支援の費用は、着手金・成功報酬・追加費用の組合せと、それぞれの発生条件によって決まります。

この記事では、公開されている料金の目安を踏まえ、成功報酬の計算方法、採択結果による費用の違い、見積書から支払総額を判断する方法を解説します。

補助金申請支援の料金体系と相場

補助金申請支援の料金は、依頼先との契約によって決まります。全国一律の料金や公定の成功報酬率はなく、対象となる補助金、申請する金額、依頼する業務によって費用が異なります。

公開されている料金表には、着手金が無料から10万円台、成功報酬が採択額の10~15%程度という例があります。大規模な補助金では着手金が20万円以上となる例や、成功報酬に最低額を設定する例も見られます。

ただし、これらは公開料金の一例であり、すべての専門家に共通する相場ではありません。実際の費用は、依頼する業務と契約条件によって決まります。

補助金申請支援で発生する費用の種類

補助金申請支援では、主に次の費用が設定されます。

費用の種類内容
着手金契約時や業務開始時に支払う費用
定額報酬事業計画の検討支援など、特定の業務に対して定める費用
成功報酬採択など、契約で定めた条件が成立した場合に発生する費用
追加費用採択後の手続支援、追加業務、交通費などにかかる費用

料金体系には、着手金と成功報酬を組み合わせるもの、着手金のない完全成功報酬型、業務ごとに定額報酬を設定するものなどがあります。いずれの場合も、費用の発生条件と対象業務が契約内容を比較する際の基準となります。

例えば、着手金10万円と成功報酬10%の契約では、着手金を成功報酬とは別に支払う方式と、先に支払った着手金を成功報酬から差し引く方式があります。同じ料金表示でも、最終的な負担額は異なります。

そのため、着手金が成功報酬に含まれるのか、別途加算されるのかを最初に確かめます。

成功報酬の計算方法と発生時期

成功報酬は、一般に補助金額に一定の料率を掛けて計算します。ただし、算定対象となる金額や最低報酬額の設定によって、実際の支払額は変わります。

成功報酬率10%でも最低報酬額によって費用が変わる

例えば、補助金の採択額が300万円で成功報酬率が10%の場合、料率による計算額は30万円です。しかし、契約で最低報酬額が40万円と定められていれば、実際の成功報酬は40万円となります。

反対に、成功報酬に上限額が設けられていれば、料率による計算額が上限を超えても、契約で定めた上限額が適用されます。

このように、成功報酬率だけでは実際の報酬額を判断できません。料率、最低報酬額、上限額をあわせて、自社が申請する補助金額で試算することが重要です。

申請額・採択額・交付決定額・確定額のどれを基準にするか

成功報酬の算定対象も契約によって異なります。基準となるのは、申請額、採択額、交付決定額、最終的な確定額などです。

例えば、申請時に希望した補助金額が500万円でも、その後の手続を経て最終的に確定する金額が400万円となることがあります。成功報酬率が10%であれば、500万円を基準にした報酬は50万円、400万円を基準にした報酬は40万円です。

補助金額が減った場合、どの金額を基準にするかによって報酬負担に差が生じます。契約書に「補助金額の10%」とだけ記載されている場合は、どの段階の金額を指すのかを明らかにしておきます。

成功報酬は採択時と入金時のどちらで発生するのか

補助金は、一般に採択後も交付申請、交付決定、事業の実施、実績報告、補助金額の確定などの手続を経て入金されます。専門家との契約でいう「成功」がどの段階を指すかによって、報酬の発生時期も異なります。

各段階の意味は次のとおりです。

段階手続上の意味
採択申請した事業が補助金の採択対象として選ばれる
交付決定補助対象事業や交付予定額などが決定される
額の確定実績報告などの審査を経て補助金額が確定する
入金補助金が実際に支払われる

例えば、採択時に成功報酬が発生する契約では、その後に補助金額が減額されても、採択時の金額を基準とする報酬額となる場合があります。また、補助金の入金前に専門家への支払いが必要になる契約もあります。

ここで区別したいのが、報酬が発生する時点と、実際の支払期限です。採択時に報酬が発生しても、支払期限を後日とする契約であれば、採択直後に支払うことにはなりません。

採択時に支払期限が到来する契約では、補助金の入金前に報酬を支払える資金を確保しておくことになります。申請予定額が大きいほど、支払時期が事業資金に与える影響も大きくなります。

不採択や申請の取りやめでは費用はどうなるのか

補助金が採択されなかった場合の費用は、契約内容によって異なります。着手金と成功報酬を組み合わせた契約では、不採択でも支払い済みの着手金が返金されないことがあります。

完全成功報酬型では、不採択の場合に報酬が発生しない契約もあります。ただし、事前相談料、資料作成費用、交通費などが別途必要となる契約もあるため、料金体系の名称だけでは費用の有無を判断できません。

また、必要書類が揃わず申請を見送った場合や、契約途中で依頼を取りやめた場合にも注意が必要です。契約解除までに行われた業務の報酬や着手金の返金は、契約で定められた条件に従います。

不採択、申請の取りやめ、契約途中での解除は、それぞれ費用の発生条件が異なるため、区別して確認します。 特に、申請期限までに準備が間に合わなかった場合の負担は、契約前に明らかにしておくことが重要です。

採択後の手続に追加費用がかかる場合もある

補助金の採択後には、交付申請、実績報告、補助金額の確定に向けた資料の提出などが必要になります。制度によっては、補助金を受け取った後にも事業の実施状況を報告する義務があります。

専門家への依頼を採択までとしている場合、採択後の手続支援は契約範囲に含まれず、別途費用が発生します。

例えば、着手金5万円、採択時の成功報酬30万円、実績報告の支援費用10万円という契約であれば、報酬総額は45万円です。

一方、採択後の交付申請や実績報告まで成功報酬に含まれる契約もあります。その場合は、どの業務までが含まれ、何を追加で依頼すると別途報酬が発生するのかが比較のポイントです。

実績報告では、事業を実施したことや経費を支払ったことを証明する書類が必要です。申請時の支援だけで契約が終了する場合、採択後の証拠書類の整理や報告書作成は、自社で行うか、別途支援を依頼することになります。

したがって、申請書類の準備から採択までの費用と、採択後に必要な手続の費用を合わせた総額で比較することが重要です。

採択後の交付申請から補助金の入金までに必要となる手続については、「補助金の採択後は何をする?|交付申請から入金までの流れと注意点」で詳しく解説しています。

見積書から支払総額を比較する方法

専門家の見積書を比較する際は、同じ補助金額と採択結果を前提に、着手金、成功報酬、追加費用、消費税を含めた支払総額を計算します。

例えば、補助金の採択額を300万円と想定し、次の2つの料金体系を比較します。

比較項目A事務所B事務所
着手金10万円0円
成功報酬率10%15%
最低成功報酬額40万円設定なし
料率による計算額30万円45万円
最低額適用後の成功報酬40万円45万円
着手金を含む報酬総額(税抜)50万円45万円
消費税10%を含む総額55万円49万5,000円
不採択時の支払額(税抜)10万円0円

※両事務所とも成功報酬は採択額を基準とし、着手金は成功報酬とは別に加算します。成功報酬の上限はなく、追加費用も発生しないという仮定の計算例です。

この例では、A事務所の成功報酬率は10%のため、採択額300万円に対する計算額は30万円です。しかし、最低成功報酬額が40万円に設定されているため、実際の成功報酬は40万円となり、着手金10万円を加えた報酬総額は税抜50万円です。

一方、B事務所は成功報酬率が15%ですが、最低報酬額や着手金がないため、報酬総額は税抜45万円となります。

A事務所の方が成功報酬率は低いものの、税込の支払総額はB事務所より5万5,000円高くなります。 また、不採択の場合も、A事務所では着手金10万円の負担が残る一方、B事務所では報酬が発生しません。

このように、成功報酬率の高低だけでは実際の費用負担を判断できません。採択後の交付申請や実績報告に追加費用がかかる場合には、その金額も加え、同じ業務範囲を前提に比較します。

見積書と契約書で確認する4つの項目

依頼先を決める前に、次の条件を確認します。

  • 着手金  : 支払時期、成功報酬からの控除、返金条件
  • 成功報酬 : 算定対象額、料率、最低額・上限額、発生条件、支払期限
  • 業務範囲 : 申請準備、書類作成、採択後の交付申請・実績報告など、支援に含まれる業務
  • 追加費用・消費税 : 別途報酬が必要な作業、実費、税込の支払総額

「申請代行」「申請サポート」などのサービス名だけでは、依頼できる業務の範囲は分かりません。見積書に記載された費用が、どの作業に対する報酬なのかを具体的に確かめます。

また、補助金の制度によっては、申請者自身による事業計画の作成や電子申請の操作が求められます。報酬を得て官公署に提出する書類を作成する業務には、行政書士法等による制限もあるため、依頼先が適法に担当できる業務かも確認の対象です。

行政書士と補助金コンサルタントに依頼できる業務の範囲や、書類作成・申請代理に関する条件については、「補助金申請で行政書士とコンサルに何を頼める?|書類作成や申請代理における条件」で詳しく解説しています。

補助金によっては、外部支援者の名称、支援内容、報酬額などの申告が求められる場合もあります。申請する制度の公募要領や手引きに従い、必要な情報を揃えます。

支援内容に見合わない高額な報酬や、支払条件が不明確な契約については、公的機関からも注意が呼びかけられています。契約内容に不明な点があれば、金額の計算方法と対象業務について説明を求め、書面で確かめておくことが重要です。

まとめ|支払総額と支援範囲から依頼先を判断する

補助金申請支援の費用は、成功報酬率の低さだけでは比較できません。最低報酬額、着手金の扱い、採択後の追加費用によって、実際の負担額が変わります。

申請準備を自社で進められ、事業計画の検討など一部の支援だけが必要な場合は、その業務に限定した定額報酬が比較対象となります。一方、申請書類の作成から採択後の手続まで支援を受けたい場合は、必要な業務を含めた総額と支払時期を比較して依頼先を決めます。

着手金を抑えたい場合は、完全成功報酬型の不採択時の負担が判断材料になります。また、補助金の入金前に大きな報酬を支払うことが難しい場合、成功報酬の発生時点と支払期限を踏まえ、自社の資金計画に合う契約を選びます。

依頼先を検討する際は、まず見積書を取り寄せ、採択された場合と不採択の場合の支払総額をそれぞれ計算します。 そのうえで、必要な支援業務が含まれているか、追加費用や支払期限が自社の条件に合っているかを比較します。

成功報酬の算定対象額、最低額・上限額、着手金の扱い、支払期限、採択後の追加費用が不明な場合は、契約前に説明を求めます。費用の発生条件と対象業務を書面で確かめ、依頼するかを判断します。

補助金申請を自社で進める場合と専門家に依頼する場合の業務分担や判断材料については、「補助金申請を自社で行う場合と専門家に依頼する場合の違い」で詳しく解説しています。