公共工事の入札へ参加する場合、建設業許可を取得し、経営事項審査(経審)を受けたうえで、参加を希望する発注機関の入札参加資格審査を受けるという流れで手続を進めます。
経審では、経営状況や経営規模、技術力などの客観的事項が評価されます。その結果などを用いて、各発注機関が競争入札への参加資格を審査し、認定した事業者を資格者名簿へ登録します。
この記事では、建設業許可・経審・入札参加資格申請の役割と、公共工事の入札へ参加するまでの流れを解説します。
公共工事の入札へ参加するまでの流れ
建設業者が公共工事の競争入札へ参加するまでの基本的な流れは、次のとおりです。
1.建設業許可を取得する
2.経営事項審査(経審)を受ける
3.参加を希望する発注機関へ入札参加資格申請を行う
4.発注機関の資格審査を受け、資格者名簿へ登録される
5.資格や工事ごとの参加条件を満たす入札へ参加する
建設業許可
建設業許可は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる許可です。
経審の対象は建設業法第3条第1項の許可を受けた建設業者であり、建設業許可の取得後に経審へ進みます。
※建設業許可の制度概要や全体像については、以下の記事で詳しく解説しています。
建設業許可制度と申請の流れを徹底解説|制度趣旨から許可要件・手続きまでを整理
経営事項審査(経審)
経審は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける審査です。経営状況、経営規模、技術力、その他の客観的事項を全国共通の基準によって評価します。
経審の結果のうち、経営規模等評価と経営状況分析の結果を総合したものが総合評定値(P点)です。
各発注機関が行う競争参加資格審査では、経審の結果が客観的事項として用いられます。発注機関によっては、これに発注者別の評価を加えて点数化し、順位や等級を定めます。
※経営事項審査については、以下の記事で解説しています。
経営事項審査はいつ受ける?|準備時期と申請の流れを解説【神奈川県】
入札参加資格申請
入札参加資格申請は、公共工事の競争入札へ参加するために、各発注機関の資格審査を受ける手続です。発注機関は申請内容や経審の結果などを審査し、競争参加資格を認定した建設業者を資格者名簿へ登録します。
資格審査は発注機関ごとに行われ、参加を希望する国の機関や地方公共団体によって、申請先、対象工種、受付時期、申請要件が異なります。
資格者名簿への登録後は、その発注機関が発注する工事のうち、工種、等級、地域要件など、案件ごとの参加条件を満たす工事について入札手続へ進みます。
経審と入札参加資格審査では審査主体と結果が異なる
経審と入札参加資格審査は、公共工事への参加に連続して必要となる手続ですが、審査する主体と制度上の結果が異なります。
| 制度 | 審査・処分等を行う主体 | 主な内容 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 建設業許可 | 国土交通大臣または都道府県知事 | 建設業許可の要件を審査 | 建設業許可を受ける |
| 経営事項審査(経審) | 許可行政庁・登録経営状況分析機関 | 経営状況、経営規模、技術力等の客観的事項を評価 | 経営規模等評価結果・総合評定値等を得る |
| 入札参加資格審査 | 各発注機関 | 経審結果や発注機関が定める資格要件等を審査 | 競争参加資格の認定・資格者名簿への登録 |
経審による結果は、各発注機関が競争参加資格を審査する際の客観的事項として利用されます。国土交通省の競争参加資格審査でも、建設工事の申請書類として経営事項審査の総合評定値通知書が使用されています。
経審の総合評定値通知書を取得した段階では、各発注機関の競争参加資格はまだ認定されていません。参加を希望する発注機関へ入札参加資格を申請し、その発注機関の審査を受けて競争参加資格の認定へ進みます。
入札参加資格の受付時期と有効期間は発注機関ごとに異なる
入札参加資格の申請方法、受付時期、資格の有効期間は、申請先となる発注機関の制度に従います。
国土交通省の地方整備局等では、現在、令和7・8年度の競争参加資格について申請書や申請手引きが公表されています。建設工事の資格審査では、経審の総合評定値通知書など所定の書類を使用して申請します。
地方公共団体についても、参加を希望する都道府県や市区町村が公表する資格審査の案内から、受付時期、資格の有効期間、対象工種を把握し、所定の申請書類をそろえます。
複数の発注機関の入札へ参加する場合には、申請先ごとに受付時期と資格の有効期間を管理します。
経審は有効期間を切らさず毎年受ける
公共工事を発注者から直接請け負うためには、経審の結果が有効な期間内にあることが求められます。公共工事を直接請け負うことができる期間は、経審の審査基準日から1年7か月です。
継続して公共工事を直接請け負う場合は、この期間が途切れないよう、毎年経審を受けます。入札参加資格の有効期間中であっても、経審の有効期間が切れれば、経審を必要とする公共工事を直接請け負うことができません。
公共工事への参加を継続する会社では、発注機関の入札参加資格の更新時期と、自社の決算日を基準とする経審の受審時期をそれぞれ管理します。
※経審の準備時期については、以下の記事で解説しています。
経審は決算前後で何をする?|技術職員・工事実績の準備【神奈川県】
資格者名簿への登録後は個別工事の参加条件が適用される
資格者名簿への登録は、その発注機関の競争入札へ参加するための資格を取得した段階です。実際の入札では、発注される工事ごとに公告や入札説明書などが示され、工種、等級、地域、施工実績、技術者などの参加条件が定められる場合があります。
資格者名簿への登録後は、参加を希望する工事の公告や入札説明書を読み、工種、等級、地域、施工実績、技術者などの条件を満たす案件について入札手続へ進みます。
公共工事への参加では、建設業許可を取得した後に経審を受け、その結果を用いて参加を希望する発注機関の入札参加資格審査へ進みます。資格者名簿への登録後は、個別工事ごとの参加条件に応じて入札へ参加します。各段階の有効期間や受付時期も異なるため、自社の経審と各発注機関の資格審査を継続して管理することが、公共工事への参加を続けるうえで重要になります。