「古物商」と「古物営業」は、似た言葉ですが、法律上はそれぞれ指しているものが異なります。
「古物営業」は古物営業法が対象とする営業を指し、そのうち古物の売買・交換等について許可を受けて営業する人や会社が「古物商」です。この違いを押さえると、自分の取引に許可が必要か、その許可を誰が受けるのかを分けて考えられます。
この記事では、「古物商」と「古物営業」の違いを整理し、古物営業の許可(一般に「古物商許可」と呼ばれます)との関係を解説します。
古物商は許可を受けて営業する人や会社を指す
古物商とは、古物営業法に基づく許可を受けて、古物の売買・交換等の営業を行う人や会社のことです。
正確には、古物営業法第3条の許可を受けて、古物の売買・交換や、その委託を受けて売買・交換する営業を営む者を「古物商」といいます。
例えば、
・個人で古物(一般にいう中古品など)を買い取って販売する人
・リサイクルショップを経営する会社
・中古工具や中古家電を買い取って販売する事業者
はいずれも、必要な許可を受けてこの営業を行っていれば古物商です。
個人で申請した場合はその個人、法人で申請した場合はその法人が古物商として許可を受けます。営業所や管理者は、その営業主体が許可を受ける際の申請事項として扱われます。
古物営業は法律が対象とする営業を指す
古物営業法では、「古物営業」として三つの営業を定めています。
一つ目は、古物を売買・交換し、または委託を受けて売買・交換する営業です。古物を売却することだけを行うものなど、法律上除外されるものもあります。古物商が行うのは、この類型の古物営業です。
二つ目は、古物商間で古物を売買・交換する「古物市場」を経営する営業です。三つ目は、インターネットオークションなど一定の競りの方法によって、古物の売買をしようとする者をあっせんする「古物競りあっせん業」です。
このうち、一般に「古物商許可」と呼ばれる許可との関係で中心になるのが、古物を売買・交換し、または委託を受けて売買・交換する営業です。
具体的には、
・店舗で古物を買い取り販売する
・インターネットを利用して古物を買い取り販売する
・出張買取を行う
・古物市場で仕入れた古物を販売する
といった営業が挙げられます。
ここでいう「古物営業」は、実際に行う営業の内容を表しています。
古物商と古物営業は「人」と「営業」の違い
両者を比較すると、古物商は許可を受けて営業する主体、古物営業は法律が対象としている営業を表しています。
| 比較項目 | 古物商 | 古物営業 |
|---|---|---|
| 指すもの | 許可を受けて一定の古物営業を営む人・法人 | 古物営業法が定める営業 |
| 見る対象 | 誰が営業するか | どのような営業を行うか |
| 許可との関係 | 許可を受けて営業する主体 | 営業の類型に応じて許可等の対象となる |
| 例 | 買取・販売を行う個人や法人 | 古物の買取・販売 |
例えば、リサイクルショップで古物の買取・販売を行う場合、その営業について必要な許可を受けた個人や法人が「古物商」で、その個人や法人が行う古物の買取・販売が「古物営業」に当たります。
この区別は、許可の要否と申請者を考えるときに重要です。まず予定する取引が許可を要する古物営業に当たるかを判定し、該当する場合には、その営業を行う個人または法人が許可を申請します。
古物の売買・交換等を営業として行う人や会社が許可を受ける
古物の売買・交換等について古物営業法上の許可が必要な営業を始める場合は、その営業を営もうとする人や会社が公安委員会の許可を受けます。 古物営業法第3条も、第2条第2項第1号または第2号の営業を「営もうとする者」に許可を求めています。
例えば、中古ブランド品の買取・販売を個人で営むのであれば、その個人が許可を申請します。法人の事業として営むのであれば、法人が申請者となります。
許可申請では、営業主体に加えて営業所や管理者などを定め、主たる営業所の所在地を管轄する警察署を通じて申請します。許可を受けた後は、その個人または法人が古物商として対象となる古物営業を営みます。
一般に「古物商許可を取る」と表現されますが、法律上は、対象となる古物営業を営もうとする者が許可を受け、その許可を受けて営業する者が「古物商」となる関係です。
※古物商許可の取得方法や費用などに関しては、以下の記事が参考になります。
「古物商許可を取得する方法|副業せどり・中古品販売を始める方へ」
「古物商許可の費用はいくらかかる?|申請手数料・必要書類取得費用を整理」
許可を受けた古物商には古物営業法上の義務が生じる
古物営業法は、盗品等の売買を防止し、被害品を速やかに発見することなどを目的としています。
許可を受けて古物営業を行う古物商には、その目的に沿って、取引時の相手方確認をはじめとする法律上の義務が課されます。 古物を買い受ける際には、取引内容に応じて、取引相手の住所・氏名・職業・年齢を確認する義務があります。インターネットオークションやフリマアプリを使って仕入れる場合も、本人確認が必要となる取引では、所定の方法による確認が必要です。
また、営業所ごとに管理者を選任することも古物商に求められています。許可申請では、申請者だけでなく、実際に古物営業を行う営業所やその管理者についても申請内容に反映します。
個人が営業する場合はその個人が、法人の事業として営業する場合はその法人が許可主体となり、許可後は古物商として法令上の義務を負いながら古物営業を行います。
このように、「古物商」という言葉は、古物を取り扱っている人を広く指すものではなく、古物営業法に基づく許可を受けて対象となる営業を営む主体を表しています。
まとめ|「何をする営業か」と「誰が営業するか」の順に考える
「古物営業」は行われる営業を、「古物商」は許可を受けてその営業を営む主体を表します。この二つを区別すると、許可について考える順序も明確になります。
まず、予定している取引が古物営業法上どの営業に当たるのかを判定します。そのうち許可を要する古物の売買・交換等を営むのであれば、実際にその営業を行う個人または法人が許可を受けます。その許可を受けて営業する主体が古物商です。
したがって、許可の要否を考えるときは、予定している取引の内容を特定し、その営業を誰が行うのかまでたどります。この順序で考えることで、許可が必要な営業に当たるかという問題と、その許可を個人・法人のどちらが受けるのかという問題を切り分けられます。
古物商許可が必要かどうかは、販売方法ではなく商品の取得方法や営業実態によって判断されます。
「自分の場合は許可が必要なのか分からない」という方は、古物商許可申請サポートページをご覧ください。
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