宅建業免許の更新では、専任宅建士について改めて確認が行われます。
このときよく出てくるのが、 「常勤性」 と 「専任性」 という言葉です。

しかし、この2つは似ているようで、意味は同じではありません。
更新時に提出を求められる書類や説明資料も、単に宅建士資格を持っていることを確認するものではありません。

行政が見ているのは、 「現在も専任宅建士としての要件を満たしているか」 という点です。

この記事では、専任宅建士制度の中で常勤性がどのような位置付けにあるのか、そして更新時に何が見られているのかを整理します。

そもそも専任宅建士とは何か

宅建業者は、事務所ごとに一定数の専任宅建士を配置し、その体制を維持しなければなりません。
宅建業では、物件調査、重要事項説明、契約手続など、専門的な知識を要する業務が日常的に行われています。
そのため制度上は、業務に責任を持って関与できる人員を事務所ごとに確保することが求められています。

専任宅建士制度は、単に宅建士の人数を揃えるためのものではありません。
事務所ごとに宅建業務を適切に管理できる体制を維持するための制度です。

※専任宅建士の配置要件については、以下の記事でも詳しく解説しています。
 「宅建業免許の取得要件とは|事務所・専任宅建士・欠格事由の実務ポイント」

「専任性」と「常勤性」は何が違うのか

専任宅建士には、専任性と常勤性の両方が求められます。
この2つは混同されやすいものの、見ているポイントは異なります。

まず常勤性は、 「その事務所を主たる勤務先として継続的に勤務しているか」 という点です。

専任宅建士を事務所ごとに配置する制度は、重要事項説明や契約業務について日常的に対応できる体制を維持するために設けられています。
そのため、専任宅建士が他社へ常勤していたり、別の事業へ多くの時間を割いていたりする場合には、その事務所で継続的に業務へ関与できるのかが問題になります。
例えば、他社でフルタイム勤務している場合や、別法人で常勤役員として活動している場合には、その事務所を主たる勤務先としているとは説明しにくくなります。
一方で、その会社の従業員として日常的に勤務し、業務時間の大部分を当該事務所での業務に充てているのであれば、通常は常勤性との関係で大きな問題は生じません。

これに対し、専任性は、 「勤務時間中に主として宅建業務へ従事しているか」 という点です。

例えば同じ会社に勤務していても、建設業部門などの業務が中心になっている場合には、宅建業務への関与の程度が問題になることがあります。
反対に、宅建業務を中心に担当しながら付随的に他の業務へ関与している程度であれば、直ちに専任性が否定されるわけではありません。

つまり、
 常勤性は 「どこで働いているか」 を見る要件であり、
 専任性は 「何の業務をしているか」 を見る要件です。

更新時の確認内容を理解するうえでは、この違いを整理しておくことが重要です。

なぜ更新時に常勤性・専任性が確認されるのか

宅建業者は、免許取得後も専任宅建士の配置を維持し続けなければなりません。

しかし、事業を続ける中では勤務状況や役割が変わることがあります。

例えば、
 ・ 他社勤務を始めた
 ・ 別法人の役員へ就任した
 ・ 社内で担当業務が変わった

といった事情です。

こうした変化があると、現在も専任宅建士としての要件を満たしているかという点が問題になります。
特に、他法人の経営に深く関与している場合や、宅建業以外の業務の比重が大きくなっている場合には、主たる勤務先や担当業務の実態について説明が必要になることがあります。

更新制度では、専任宅建士の扱いそのものが変わる訳ではありません。
取得時には常勤性・専任性を満たしていても、その後の兼業や役割変更によって勤務実態が変わることがあります。

そのため更新時には、 「現在も取得時と同様に専任宅建士として機能しているか」 が見られています。

※更新時の確認項目については、以下の記事でも解説しています。
 「宅建業免許更新は『今の状態』だけでは進まない|変更届・専任宅建士で確認されるポイント」

更新申請が行われなければ、宅建業免許は継続できません。

※更新忘れによる失効や返納・取消との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
 「宅建業免許が失効するケースとは|更新忘れ・返納・取消の違い」

専任宅建士の変更や役員変更が発生した場合には、更新時まで放置せず変更届で対応する必要があります。

※変更届を後回しにした場合の実務上の影響については、以下の記事で整理しています。
 「宅建業免許の変更届を後回しにするとどうなるか」

結局、更新審査では何を見ているのか

更新審査では、専任宅建士が現在も専任宅建士として機能しているかが見られています。

具体的には、常勤性については、 「その事務所を主たる勤務先として継続的に勤務しているか」 という点です。
一方、専任性については、 「勤務時間中に主として宅建業務へ従事しているか」 という点です。
そのため、他法人との関係や兼業の有無だけで決まるわけではなく、実際の勤務状況や業務内容を踏まえて判断されます。

取得時には常勤性・専任性を満たしていても、その後の兼業や役割変更によって勤務実態が変わることがあります。
更新時には、そうした変化を踏まえながら、現在も専任宅建士としての要件を満たしているかが確認されます。

宅建業免許の更新は、新たな要件を課す手続ではありません。

取得時に認められた専任宅建士の体制が現在も維持されているかを確かめる手続です。
常勤性の確認も、その一環として、 「その人が今も専任宅建士として事務所で勤務しているか」 を見ているものと理解すると分かりやすいでしょう。