「資格者はいるのに、なぜ技術力(Z)へ算入できないのか」

経営事項審査(経審)では、
 ・ 技術者資格を持つ社員もいる
 ・ 社会保険にも加入している
 ・ 建設業許可も維持している

にもかかわらず、営業所技術者を技術力(Z)へ十分算入できないことがあります。

営業所技術者(旧専任技術者)の確認で重要になるのは、単に資格を保有しているかではありません。

※営業所技術者の基本要件や制度上の位置づけについては、
 「営業所技術者とは|要件・判断基準・実務上の落とし穴を解説」でも整理しています。

実際には、その技術者が事業年度中を通じて当該営業所へ所属し、継続的に技術管理を行える体制だったかが確認されています。

つまり、経審で見られているのは「資格者が在籍しているか」だけではありません。公共工事へ継続対応できる営業所体制として、技術者配置や所属状況に一貫性があるかです。

常勤性で確認されるのは「今いるか」ではない

営業所技術者を技術力(Z)へ算入する場合、単に現在所属しているだけでは足りません。

実務上は、
 ・ どの営業所へ所属していたか
 ・ その状態が事業年度中を通じて継続していたか
 ・ 実際に技術管理へ従事できる状態だったか

が確認対象になります。

そのため、
 ・ 決算後に営業所配置を変更していた
 ・ 経審申請直前に所属営業所を変更していた
 ・ 他社兼務の疑義がある
 ・ 社会保険加入先と所属会社が一致しない

といった場合には、「事業年度中、本当にその営業所で技術管理を行っていたのか」が論点になります。
特に経審では、決算日時点だけではなく、事業年度を通じた施工体制との整合性が重視されます。

健康保険加入だけで常勤性が認められるわけではない

常勤性確認では、健康保険情報も判断材料になります。
ただし、健康保険へ加入していることだけで、営業所所属の実態まで認められるわけではありません。
行政側は、加入先会社・所属事業所・継続雇用状況などを確認し、「その営業所へ継続所属していたか」を見ています。

そのため、
 ・ グループ会社名義で加入している
 ・ 別法人で社会保険加入している
 ・ 国民健康保険になっている

といった場合には、追加資料を求められることがあります。

また、決算変更届、経審、入札参加資格申請では、技術者情報や営業所情報を段階的に確認するため、社会保険情報との不一致が見えやすくなります。

営業所自体の実態も確認対象になる

営業所技術者の常勤性では、技術者本人だけでなく、営業所側の実態も確認対象になります。

たとえば、
 ・ 他法人と同じ場所を使用している
 ・ 住宅兼事務所になっている
 ・ 技術者数に対して営業所規模や使用状況の説明が難しい

といった場合には、「実際にその営業所で継続的に技術管理を行っている体制なのか」が確認対象になります。

特に重要になるのは、
 ・ 技術者配置
 ・ 営業所所在地
 ・ 社会保険加入情報
 ・ 所属営業所情報

が、資料上で一貫しているかです。

そのため、経審直前に営業所情報だけを変更しても、他の資料との整合性が取れていなければ、技術力(Z)へ十分算入できないことがあります。

※営業所変更は、変更届だけで完結するものではなく、経審や後続手続にも影響します。
 詳しくは「建設業許可|営業所変更で後続手続きが進まない理由」で整理しています。

JCIPで資料間の不一致が見えやすい

近年は、JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)の利用拡大により、技術者情報や営業所情報を横断して確認しやすくなっています。
JCIPでは、技術者情報・社会保険情報・営業所情報・決算変更届などを電子データとして確認できます。

そのため、
 ・ 技術者所属情報と社会保険情報
 ・ 営業所所在地と所属状況
 ・ 決算変更届上の配置状況

などの不一致が見えやすくなっています。

特に、決算変更届から経審、入札参加資格申請へ進む過程では、同じ技術者情報が複数資料で参照されるため、どこかで整合性が崩れると、

 ・ 技術者を技術力(Z)へ算入できない
 ・ 希望業種の技術者数へ反映できない
 ・ 入札参加業種へ影響する

ことがあります。

つまり、電子申請で見られているのは「資格者がいるか」だけではありません。複数資料を照合した際に、営業所体制として矛盾なく説明できる状態になっているかです。

※決算変更届の内容と技術者情報のズレが、経審へどう影響するかについては、
 「建設業許可 決算変更届のズレは経審にどう影響するか」で詳しく整理しています。

※変更届の未提出や営業所情報の不一致は、更新だけでなく経審でも影響しやすくなります。
 詳しくは「建設業許可|変更届の未提出で更新・経審が進まない理由」をご覧ください。

まず押さえておきたいポイント

営業所技術者の常勤性では、次の点が重要になります。
 ・ 事業年度中の営業所所属を説明できるか
 ・ 社会保険情報と所属会社が一致しているか
 ・ 技術者配置と営業所体制に矛盾がないか
 ・ 他社兼務の疑義が出ない状態か

「資格者はいるのに技術力(Z)へ算入できない」という場合は、資格不足ではなく、営業所体制や常勤性について資料間で整合した説明ができるかが分岐になります。

※技術者配置や常勤性が、経審全体の評点差へどう影響するかについては、
 「経審で点数が伸びない理由|決算変更届・技術者・完成工事高で差がつく」でも詳しく整理しています。

問われているのは「資格保有」ではなく「営業所体制」

営業所技術者の常勤性で見られているのは、「資格を持つ技術者がいるか」だけではありません。
実務上は、技術管理体制・営業所管理体制・継続施工体制が確認されています。
そのため、「資格者がいる」「社会保険へ加入している」「許可要件を満たしている」だけでは、技術力(Z)へ十分算入できないことがあります。

重要なのは、事業年度を通じて、
 ・ どの営業所へ所属していたのか
 ・ どの業種を担当していたのか
 ・ 技術管理体制をどう維持していたのか

を、決算変更届や社会保険情報、営業所情報との関係を含めて説明できる状態になっているかです。
営業所情報や所属状況を経審直前だけ整えても、事業年度中の施工体制と整合しなければ、後続手続で疑義が生じることがあります。

「資格者はいるのに技術力(Z)へ算入できない」という場合は、資格そのものではなく、営業所体制や所属状況が事業年度を通じた資料全体の中で一貫しているかを見直す必要があります。

※更新時には、現在の在籍状況だけでなく、変更届・技術者配置・営業所情報との整合性も重要になります。
 「建設業許可更新は『今の書類』だけでは進まない」でも詳しく整理しています。