事業で補助金を利用する場合、公募要領に沿って申請するだけでなく、採択後も交付手続や補助事業の実施、事業終了後の実績報告などが続きます。
採択は申請した事業が審査を通過して支援対象に選ばれることをいい、交付決定は採択後の交付手続を経て補助金の交付が決まることをいいます。 この違いは、事業に着手できる時期や補助対象経費を考えるうえで重要です。
この記事では、補助金を検討している事業者が、申請前の準備から補助事業を終えて補助金を受け取るまで、どのような段階を経るのかを解説します。
補助金は申請から受取りまで複数の段階を経る
補助金は、政策目的に沿う事業を公的資金で支援する制度です。申請内容を審査して支援対象を選び、採択後も実際の事業内容や経費に基づいて交付手続が行われます。
一般的な手続の流れと、それぞれの段階で行うことは次のとおりです。
| 段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 公募要領等の確認 | 対象者、対象事業、補助対象経費、申請期限、事業期間などの申請条件を把握する |
| 申請 | 事業計画や必要書類を提出する |
| 審査・採択 | 申請内容について審査を受け、支援対象となる事業が選ばれる |
| 交付申請 | 採択された事業について、制度所定の内容で補助金の交付を申請する |
| 交付決定 | 交付申請の内容を踏まえて、補助金の交付が決定される |
| 補助事業の実施 | 交付決定の内容や条件に従って事業を行い、対象経費を支出する |
| 実績報告 | 実施した事業と支出した経費を報告し、必要な証拠書類を提出する |
| 補助金額の確定 | 実績報告の内容を基に、実際に交付される補助金額が確定する |
| 請求・受取り | 確定した補助金について所定の手続を行い、支払いを受ける |
実際の制度では、交付申請を当初の申請と一体で行うものなど、手続の名称や順序が異なる場合があります。
具体的な手続は、利用する補助金の公募要領や交付規程等に従います。
申請前に対象要件と事業期間を確認する
補助金ごとに、政策目的、対象となる事業者、対象事業、補助対象経費、補助率・補助上限額、事業期間、申請期限などが定められています。
申請を検討するときは、自社が対象となるかに加え、予定している事業や経費が制度の対象となるか、いつから事業を開始できるか、いつまでに事業を終える必要があるかを公募要領等で確認します。
特に事業開始可能時期は、その後の支出が補助対象となるかに関わります。契約、発注、納品、支払いなどのうち、どの時点から対象経費として認められるのかは制度によって異なるため、事業へ着手する前に公募要領や交付規程等の条件を確認します。
自社や予定している事業が申請要件を満たすかについては、「補助金の対象になるかはどう判断する?」で詳しく解説しています。
申請後の審査を経て採択が決まる
申請後は、制度が定める要件を満たしているかという点とともに、申請した事業内容が補助金の目的や審査基準に適合しているかが審査されます。
必要となる申請書や添付資料、審査項目、審査方法は制度によって異なります。申請者は、公募要領等で指定された内容に従って事業計画や必要資料を提出し、その内容について審査を受けます。
審査の結果、申請した事業が支援対象として選ばれるのが採択です。 採択後は、補助金の交付手続へ進みます。
申請書類の提出方法や、正式に申請が完了したことを確認する手順は、「補助金はどう申請する?」をご覧ください。
採択後に交付申請を行い、交付決定を受ける
採択された事業者は、制度所定の手続に従って交付申請を行います。
交付申請では、採択された事業について、実際に補助事業として実施する内容や経費などを申請します。行政庁や補助金事務局は交付申請の内容を審査し、必要に応じて修正を求めたうえで、補助対象となる事業内容や経費などを定めて交付決定を行います。
採択と交付決定は、補助金手続における別の段階です。 採択後に交付決定を受ける仕組みの補助金では、公募要領や交付規程等に定められた条件に従って、その後の補助事業を実施します。
採択後の交付申請から補助金の受領までに必要な手続は、「補助金の採択後は何をする?」で詳しく解説しています。
交付決定後に補助事業を実施する
交付決定を受けた後は、その内容や条件に従って補助事業を実施します。
補助事業者は、申請した設備の導入やサービスの利用などを事業期間内に行い、補助対象経費について所定の経理処理を行います。制度によっては、事業内容や経費の配分を変更するときに事前の承認が必要になる場合もあります。
交付決定後に設備や経費、事業計画を変更する場合の承認の要否については、「補助金の交付決定後に事業内容を変更できる?」で解説しています。
契約・発注が補助対象となる時期を確認する
契約や発注などが補助対象となる時期は、利用する補助金の公募要領や交付規程等によって定められています。
交付決定後の契約や発注を補助対象とする制度では、交付決定を受けてから対象となる事業に着手します。 交付決定前に行った契約や発注が補助対象経費として認められない制度もあるため、実際の契約や発注は制度所定の時期に従って行います。
補助事業中は支出を証明する資料を保存する
補助事業では、計画した事業を実施するとともに、補助対象経費を実際に支出したことを後から示せるよう、関係資料を保存します。
必要となる資料は制度によって異なりますが、契約書、請求書、領収書、振込記録など、取引や支出の内容を示す資料を保存し、実績報告に備えます。
これらは、実績報告で取引内容や支出額を示し、報告した経費が補助対象に該当することを示す資料となります。
事業終了後に実績報告を行い補助金額の確定を受ける
補助事業を終えた後は、実際にどのような事業を行い、どの経費を支出したのかを実績報告として提出します。
行政庁や補助金事務局は、実績報告書や証拠書類などを基に、事業の実施内容と支出した経費を審査し、交付決定の内容に沿った事業・経費であるかを判断します。その結果に基づいて、実際に交付する補助金額が確定します。
交付決定額がそのまま最終的な支払額になるとは限りません。実際の支出内容と実績報告の審査を経て補助金額が確定するため、確定額が交付決定額を下回ることがあります。
実績報告で確認される事業内容や経費、必要な証拠書類については、「補助金の実績報告で確認されることは?」で詳しく解説しています。
補助金額の確定後に支払いを受ける
補助金額が確定すると、制度所定の請求手続を行い、補助金の支払いを受けます。
一般的な精算払いでは、補助事業者が先に事業経費を支出し、事業終了後の実績報告と補助金額の確定を経て補助金が支払われます。そのため、補助金が入金されるまでの事業資金をあらかじめ確保しておくことが重要です。
概算払いなど別の支払方法が認められる制度もあるため、実際の支払時期は利用する補助金の規定に従います。
補助金を受け取った後も、事業の成果や計画目標について継続的な報告を求められる制度があります。受領後の報告内容と期限については、「補助金を受け取った後も報告は必要?」で解説しています。
まとめ|申請前に事業期間・対象経費・支払時期まで見通す
補助金を事業計画に組み込む際は、申請期限だけでなく、契約や発注が補助対象となる時期、事業完了期限、実績報告に備えて保存する資料、補助金が支払われる時期までを一連の条件として捉えます。
採択後も交付決定、補助事業の実施、実績報告、補助金額の確定と手続が続くため、申請時点から事業の実施時期と資金の支出・回収時期を対応させておくことが重要です。
申請前の段階で、いつ事業に着手し、いつまでに支出を終え、どの資料を残し、補助金の入金までをどの資金で賄うのかまで事業計画に反映させることが重要です。