設備投資や販路開拓、新商品・サービスの開発、業務のデジタル化などを予定しているとき、「自社で使える補助金はないか」と探し始めることがあります。
事業者向けの補助金にはそれぞれ政策目的があり、対象となる事業者、取り組み、経費、実施時期などが定められています。そのため、自社に合う制度を探すには、予定している事業・投資の内容、事業者の属性、所在地、支出する経費、実施時期を具体化し、各制度の支援対象と照らし合わせるという方法があります。
補助金の探し方に一つの決まった方法があるわけではありません。この記事では、自社に関係する制度を探す方法の一つとして、自社の計画から検索条件を具体化し、候補となる制度を見つけ、最新の公募要領で申請を検討する制度まで絞り込む流れを解説します。
予定している事業・取り組みから補助金を探す
補助金を探す手掛かりの一つが、予定している事業や取り組みです。補助金は制度ごとの政策目的に沿って、支援する事業や取り組みが設定されています。
同じ設備を導入する場合でも、生産性向上、新商品の製造、新しい事業分野への進出など、その設備によって実現する取り組みによって検討する制度が変わります。購入する機械やシステムだけを基準にするのではなく、その投資によって何を実現しようとしているのかを明らかにすることで、制度が支援する事業との対応関係を捉えやすくなります。
販路開拓、業務効率化、新商品・サービスの開発、新事業への進出など、補助金を使って実施したい取り組みを明らかにします。 その取り組みを手掛かりに制度を探すことで、自社の計画と支援対象となる事業を比較できます。
事業者の属性・業種・規模から対象者に該当するかを確認する
予定している取り組みに関係する補助金が見つかったら、自社が対象となる事業者の範囲に入るかを確認します。補助金ごとに「中小企業者」「小規模事業者」などの対象者が定められており、その判定に使われる条件も制度によって異なります。
法人か個人事業主かという区分に加えて、業種、資本金、従業員数などが対象範囲に影響します。制度によっては、創業時期や事業実績などが条件となることもあります。
補助金を探す際には、自社の計画や基本情報を、制度の要件と照合できる程度まで具体化しておきます。
主な対応関係は次のとおりです。
| 自社の計画として具体化する情報 | 公募要領等で照合する制度要件 |
|---|---|
| 何のために、どのような取組を行うのか | 制度の目的、対象となる事業・取り組みの内容 |
| 法人・個人事業主の別、業種、資本金、従業員数 | 対象事業者の範囲、業種・資本金・従業員数などの要件 |
| 本店・事業所・事業実施場所はどこか | 本店・事業所の所在地、事業実施地域などの地域要件 |
| 何を購入・導入・外注するのか | 補助対象経費の区分、対象となる経費の条件 |
| いつ契約・発注し、いつ事業を実施するのか | 申請期限、事業実施期間、契約・発注・支払いが認められる時期 |
この段階ですべての要件を調べる必要はありませんが、自社が何を行い、誰が、どこで、何に支出し、いつ実施するのかを具体化しておくことで、候補となる制度を探すための条件が明確になります。
所在地から国・都道府県・市区町村の制度を探す
事業者向けの補助金には、国が実施する制度のほか、都道府県や市区町村が独自に実施する制度があります。自治体の制度では、本店や事業所の所在地、対象事業を実施する場所などが地域要件となることがあります。
そのため、国の制度に加えて、自社と関係する都道府県や市区町村も検索対象に含めます。候補となる制度が見つかったら、本店、事業所、事業実施場所のどこが地域要件になるのかを確認します。
これにより、特定地域の事業者や、その地域で行われる取り組みを対象とした制度も候補に含めることができます。
予定している支出が補助対象経費に含まれるかを確認する
自社の事業が制度の支援対象に合っていても、予定している支出がそのまま補助されるとは限りません。補助金では、設備費、システム導入費、広告費、外注費など、対象となる経費の種類や条件が制度ごとに定められています。
例えば設備導入を計画している場合は、その設備を使う事業が制度の対象となるかに加えて、購入する設備そのものが補助対象経費として認められるかを確認します。広告、システム、外注などを予定している場合も同様です。
候補となる制度では、「自社が対象事業者に該当するか」「予定する取組が対象事業に該当するか」「支出する費用が補助対象経費に該当するか」を分けて確認します。 この三つを照合することで、制度名や概要だけでは分からない自社の計画との適合関係が明確になります。
申請期限と契約・発注・事業実施の時期を確認する
補助金を利用できるかは、自社が事業や投資を行う時期にも左右されます。補助金には公募期間があり、同じ名称の制度が継続していても、公募回によって申請期間、要件、補助対象経費などが変わる場合があります。
さらに、制度によっては契約や発注などを行える時期について条件があります。交付決定前に契約・発注した経費が補助対象にならないなどの条件がある場合、申請時点で対象となり得る制度でも、すでに進めた取引については補助対象にならないことがあります。
候補となる制度について、申請期限、補助対象となる事業期間、契約・発注・支払いが可能な時期を自社の実施予定と照らし合わせます。 自社の予定と合わない場合は、事業スケジュールを変更できるのか、その制度を候補から外すのかを判断します。
補助金の利用を具体的に検討する段階では、申請期限に加えて、契約・発注・着手・支払いを行える時期も確認することになります。
申請期限と事業スケジュールの関係については、補助金はいつ申請する?で詳しく解説しています。
取り組み・事業者属性・地域を組み合わせて補助金を検索する
自社側の条件が明らかになると、補助金を探すための検索条件も具体的になります。検索するときは、予定している取り組みに、事業者の属性、業種、所在地などの条件を組み合わせます。
例えば、設備投資、販路開拓、省力化、創業といった取り組みを起点に、業種や地域などの条件を加えて検索します。国の事業者向け支援情報を掲載するミラサポplusや、J-Net21の「支援情報ヘッドライン」などを利用すると、支援分野や地域などから候補を検索できます。
自治体独自の制度については、自社と関係する都道府県や市区町村が公表している情報も確認します。
この段階では、自社の計画と条件が合う可能性のある制度を候補として拾います。 候補を見つけた後に、各制度の具体的な要件を公募要領で照合します。
候補となる制度は最新の公募要領で申請要件を確認する
検索サービスや紹介ページで候補となる補助金を見つけた後は、その公募回について国・自治体などが公表している最新の公募要領や公式情報を確認します。制度の新設・変更・終了があり、継続している制度でも公募回によって条件が変わる場合があるためです。
検索時に具体化した自社の計画や基本情報を、最新の公募要領に記載された要件と一つずつ照合します。
主な項目は次のとおりです。
- 対象となる事業者
- 対象となる事業・取り組み
- 補助対象経費
- 公募・申請期間
- 補助対象となる事業期間
- 契約・発注などを行える時期
ここで条件に合わないことが分かれば、その制度は候補から外します。主要な要件に該当する制度については、公募要領に定められたその他の要件や申請手続まで確認し、具体的に申請を検討する制度へ絞り込みます。
候補となる補助金が見つかったら、次は公募要領に定められた要件を自社の状況や事業計画に当てはめ、申請対象になるかを確認します。
公募要領で確認する要件と判断方法については、補助金の対象になるかはどう判断する?で詳しく解説しています。
自社の計画を検索条件に変えて補助金を絞り込む
補助金を探すときは、予定している取組、事業者の属性・規模、所在地、支出する経費、実施時期を、自社側の検索条件として具体化します。
その条件を使って国や自治体の制度から候補を拾い、最新の公募要領で対象事業者、対象事業、対象経費、事業期間などを照合します。主要な要件に該当する制度について、その他の申請要件や手続まで確認することで、具体的に検討する制度を絞り込めます。
「何をしたいか」から候補を探し、「誰が・どこで・何に支出し・いつ実施するか」を加えて絞り、最後に最新の公募要領で申請要件を照合する。 これは、自社に関係する補助金を探す方法の一つです。補助金を探す際の手掛かりとして、自社の計画を検索条件に置き換えるところから始めると、候補となる制度を探しやすくなります。
利用検討する補助金が決まったら、申請から採択・交付決定、補助事業の実施、実績報告までの流れも把握しておくと、必要な準備を見通しやすくなります。
補助金申請の全体的な手続については、補助金申請とは?で解説しています。