産業廃棄物収集運搬業を始めるには、事業者が廃棄物処理法に基づく許可を受ける必要があります。
許可申請では所定の講習の修了証も求められますが、講習の修了と収集運搬業の許可は役割の異なる手続であり、両者の関係を踏まえて準備を進めることが重要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるのは事業を営む法人または個人で、講習は申請者側の対象者が修了します。 誰が講習を受け、どの講習を修了し、その後どのような手順で許可を取得するのかを順に整理することで、事業開始までに必要な準備が明確になります。
この記事では、講習修了と産業廃棄物収集運搬業の許可の違いを踏まえ、申請内容に対応する講習、講習修了者となる人、講習修了から許可取得までの流れを解説します。
講習修了と収集運搬業の許可の違い
他人から委託を受けて産業廃棄物の収集・運搬を業として行う場合、事業者は産業廃棄物収集運搬業の許可を受けます。法人で事業を行う場合は法人、個人事業として行う場合はその個人が申請者となり、許可申請では、産業廃棄物の収集運搬を適確かつ継続して行えるかについて、事業計画や運搬施設、申請者に関する事項、申請者の能力などが審査されます。
このうち、所定の講習の修了証は、申請者が産業廃棄物処理業を的確に行うために必要な知識・技能を有していることを確認するために用いられます。講習を受けるのは申請者側の対象者であるのに対し、収集運搬業の許可は、事業を営む法人または個人が受けます。
| 項目 | 講習 | 産業廃棄物収集運搬業の許可 |
|---|---|---|
| 対象 | 申請者側の対象者 | 事業を営む法人・個人 |
| 役割 | 許可申請に必要な知識・能力を示す | 収集運搬業を営むために受ける |
| 手続後 | 修了証を許可申請に使用する | 許可された範囲で収集運搬業を営む |
講習を修了した後は、その修了証を必要書類とともに提出して許可を申請し、許可基準に適合しているかについて審査を受けます。その審査を経て許可証が交付されることで、許可された範囲で産業廃棄物収集運搬業を営むことができます。
許可申請に対応する講習
許可申請に使用する修了証は、申請する業の種類と許可区分に対応した講習を修了して取得します。
産業廃棄物処理業の許可申請では、日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」の修了証が使用されています。講習には収集・運搬課程と処分課程があり、新規許可と更新許可に対応する講習が設けられています。
新たに産業廃棄物収集運搬業の許可を申請する場合は、申請内容に対応する収集・運搬課程の講習を受講します。すでに許可を受けている場合などには、申請内容や申請先の取扱いによって使用できる修了証が異なることがあるため、新規・更新の別と、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物のどちらを扱うかを確認して講習を選びます。
※産廃許可講習については、以下の記事で詳しく解説しています。
産廃許可講習とは|更新講習を含めた受講タイミングと注意点
法人・個人の講習修了者
申請に使用する修了証は、申請者との関係について定められた対象者が取得したものであることが求められます。
法人の場合は代表者や産業廃棄物処理業に関する業務を行う役員など、個人の場合は申請者本人などが講習修了者となります。政令使用人の修了証を使用できる場合もありますが、対象となる者の範囲や確認書類などについては申請先の取扱いを確認する必要があります。
| 申請者 | 講習修了者となる主な対象者 |
|---|---|
| 法人 | 代表者、産業廃棄物処理業に関する業務を行う役員など |
| 個人 | 申請者本人など |
法人で許可を申請する場合は、申請に使用できる立場にある者を確認したうえで講習修了者を決めます。講習を申し込む段階で、申請先が求める講習修了者の範囲を確認しておくことが必要です。
講習修了から許可取得までの流れ
新規許可申請では、対象者が申請内容に対応する講習を受講して修了証を取得したうえで、その修了証を含む申請書類をそろえて許可を申請します。
許可申請の際には、講習修了証に加えて、事業計画書、運搬車両・運搬容器に関する資料、申請者に関する書類などを提出します。法人・個人や申請内容によって必要書類は異なり、審査に必要な場合には追加資料の提出を求められることもあります。
また、許可申請に使用できる修了証の有効期間や取扱いは申請内容や申請先によって確認が必要です。申請後は行政庁による審査が行われ、許可基準に適合している場合に許可証が交付されます。
そのため、開業時期を設定する際は、講習の受講日だけでなく、修了証の取得、申請書類の準備、行政庁の審査を経て許可証が交付されるまでの期間を見込む必要があります。
事業開始までに準備する手続
産業廃棄物収集運搬業を始める際は、まず許可申請者となる法人または個人を定め、その申請で講習修了者となれる人を確認します。そのうえで申請内容に対応する講習を修了し、事業計画や運搬施設、申請者に関する書類などをそろえて許可を申請します。
講習修了証は許可申請に使用する書類の一つであり、事業を開始するには、その後の許可申請と行政庁による審査を経て、許可証の交付を受ける必要があります。したがって、開業時期は講習の受講だけを基準に決めるのではなく、講習の修了から許可証が交付されるまでを一連の準備期間として見込んで設定します。
※許可申請にあたっての要件については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは|講習・車両・経理的基礎で確認されるポイント