「古物商という言い方は少し硬いので、別の表現を使いたい。」
「古着屋やリサイクルショップと書けば十分なのだろうか。」
店舗名やホームページ、定款などを作成する際、このように表現に迷うことがあります。

「古物商」に近い意味で使われる言葉には、「古着屋」「リユースショップ」「買取店」などがあります。
ただし、これらは「古物商」の同義語ではなく、それぞれ店舗の業態や取扱商品を表す言葉です。

法令上の立場を示すのか、利用者へ業態を伝えるのか、許可申請で取り扱う古物を示すのかによって、使用する表現は変わります。

この記事では、「古物商」という言葉が何を指すのかを踏まえながら、場面ごとにどのような表現を使い分けるのかを解説します。

「古物商」は法令上の立場を表す言葉

古物商とは、古物営業法に基づき、公安委員会の許可を受けて古物の売買・交換等の営業を営む者を指す法令上の名称です。

古物営業法では、許可を受けて古物の売買・交換等の営業を営む者を「古物商」としています。個人で許可を受ければその個人、法人で許可を受ければその法人が古物商です。

そのため、許可申請や変更届などの行政手続では、「古物商」という表現が用いられます。

店舗やホームページでは営業内容が伝わる業態名を使う

店舗やホームページで利用者へ事業内容を伝える場合は、

 ・古着屋
 ・古書店
 ・リサイクルショップ
 ・リユースショップ
 ・ブランド買取店
 ・中古スマホ販売店

など、取り扱う商品や営業内容が分かる業態名を使えます。

これらの業態名は、取り扱う商品やサービスの内容を利用者へ伝えるために使います。
一方、「古物商」は許可を受けて古物の売買・交換等の営業を営む者を表す法令上の名称です。

古物商は、原則として、管理するウェブサイトに公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示します。
ただし、常時使用する従業者が5人以下の場合などは表示義務が免除されます。インターネットを利用して古物を取引する古物商は、この免除の対象となりません。

古物商許可の要否は実際の営業内容から判断する

店舗に「古着屋」「リユースショップ」「買取店」といった業態名を付けても、その名称によって古物商許可の要否が変わることはありません。許可が必要かどうかは、実際に行う取引の内容から判断します。

中古品を仕入れて販売する、買い取った中古品を販売するなど、古物営業法の対象となる営業を行うのであれば、「古着屋」「リユースショップ」「ブランド買取店」など、どのような業態名を使用していても許可が必要です。

店舗やホームページでは、取り扱う商品やサービスが利用者に伝わる業態名を選びます。古物商許可については、どのような古物を取得し、どのような取引を行うのかという実際の営業内容に当てはめて判断します。

取扱品目は古物営業法施行規則の13区分に当てはめる

店舗では「古着屋」「ブランドリユース店」などの業態名を使えますが、許可申請では、実際に取り扱う古物を古物営業法施行規則で定められた13区分に当てはめます。

13区分は、美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類です。

例えば、ブランドリユース店という一つの業態でも、バッグや靴は「皮革・ゴム製品類」、腕時計や宝飾品は「時計・宝飾品類」というように、商品によって申請上の区分が分かれます。

総合リサイクルショップで家具、家電、衣類、スポーツ用品など幅広い商品を扱う場合も、それぞれの商品を13区分に当てはめます。

許可申請では「主として取り扱おうとする古物の区分」を13区分から選択します。店舗で使用する業態名と、許可申請で取り扱う古物を特定する13区分は、それぞれ役割が異なります。

定款では会社の事業内容を表す

会社を設立する場合は、定款に事業目的を記載します。法人が古物商許可を申請する場合、定款は申請時の添付書類の一つです。

定款では、会社が予定している中古品の買取・販売など、事業の内容が分かる形で目的を定めます。

例えば、

・中古衣料品、服飾雑貨及びブランド品の買取、販売及び輸出入
・中古家電、家具及び日用品の買取及び販売
・古書、書籍及び美術品の買取及び販売
・インターネットを利用した中古品の販売

など、予定する事業に対応した表現が考えられます。

「古物営業法に基づく古物営業」のような包括的な表現を用いることも考えられますが、定款の具体的な文言は、会社が実際に予定している事業内容や、法人登記上の事業目的としてどこまで記載するかを踏まえて定めます。

場面ごとに「法令上の名称・業態名・取扱区分・事業目的」を使い分ける

同じ古物営業についても、その場面で何を示すのかによって使用する表現が変わります。

使用する場面適した表現・考え方
許可申請・変更届などの行政手続「古物商」など法令・様式上の表現
店舗名・ホームページの業態表示古着屋、古書店、リユースショップ、リサイクルショップなど
ウェブサイトで必要な法定表示公安委員会名、許可証番号、氏名または名称
許可申請で取り扱う古物古物営業法施行規則の13区分
定款の事業目的実際に予定する事業内容に対応した表現

「古物商」を別の一語へ置き換えるのではなく、その場面で何を示す必要があるのかを特定すると、使用する表現を選びやすくなります。

まとめ|「その言葉で何を示すのか」から表現を選ぶ

「古物商」の言い換えを考えるときは、その場面で何を示す必要があるのかを先に特定します。

許可を受けた営業主体を示す場合は「古物商」、利用者へ店の特徴を伝える場合は「古着屋」「古書店」「リユースショップ」などの業態名を使います。許可申請で取り扱う古物を示す場合は13区分に当てはめ、法人の定款では会社が予定する事業を事業目的として表します。

ウェブサイトでは、古物営業法に基づき公安委員会名、許可証番号、氏名または名称の表示が必要となる場合があります。インターネットを利用して古物を取引する古物商は、これらの情報を表示します。

「古着屋」「リユースショップ」「買取店」などを「古物商」の単純な言い換えとして捉えると、それぞれの言葉が示す内容が混在します。誰に対して何を示す場面なのかを基準にすれば、法令上の名称、業態名、13区分、事業目的をそれぞれの役割に沿って使い分けられます。

※古物商許可が必要かどうかは、販売方法ではなく商品の取得方法や営業実態によって判断されます。
 「自分の場合は許可が必要なのか分からない」という方は、古物商許可申請サポートページをご覧ください。
古物商許可申請サポートページ