補助金の申請準備を始めると、申請書や事業計画書のほかにも、決算書、見積書、賃金に関する資料など、さまざまな書類の提出を求められることがあります。
必要書類や提出する時期は、申請する制度・公募回と自社の申請内容によって決まります。 申請書や事業計画書には実施する事業や申請する経費などを記載し、決算書、見積書、賃金関係資料などは、申請者の状態や申請要件に関係する事実、支出する内容・金額を示す資料として使用します。
そのため、申請準備では、今回の公募で自社に必要となる書類を特定したうえで、申請書や事業計画書に記載する内容と、それを示す提出資料を結び付けていく必要があります。
この記事では、補助金申請の必要書類をどのように特定し、それぞれの資料を申請内容とどのように対応させるのかを解説します。
今回の公募と自社の申請条件から必要書類を特定する
申請する補助金が決まったら、その公募回の公募要領、申請様式、提出書類一覧、申請の手引きなどを読み、自社が提出する書類を洗い出します。
同じ補助金でも、公募回によって様式や提出資料が変わることがあるため、今回申請する公募回で公開されている資料が準備の基準となります。 過去の申請で使用した様式や書類一覧が手元にあっても、現在の公募で指定されている内容と一致するとは限りません。
さらに、必要書類は申請者全員に共通するものだけとは限りません。特定の申請区分を選択する場合、賃金に関する要件の適用を受ける場合、特例や加点措置を利用する場合などには、それぞれの条件に応じた書類が追加されることがあります。
したがって、必要書類を特定するときは、まず今回の公募で共通して求められる書類を押さえ、自社が選択する申請区分、適用を受ける要件、特例・加点措置等に応じて追加される書類まで拾い出します。
提出資料は申請内容のどの部分を示すのかで整理する
補助金申請では、申請者がどのような事業者で、何を実施し、そのためにどのような経費を支出するのかを申請書や事業計画書に記載します。さらに、申請要件に関係する事実や申請する経費の内容・金額について、指定された資料を添付します。
具体的な書類は補助金によって異なりますが、申請内容と提出資料の関係は、おおむね次のように整理できます。
| 申請内容 | 主な書類の例 | 書類によって示す内容 |
|---|---|---|
| 申請者の情報 | 履歴事項全部証明書、確定申告書、決算書など | 法人・事業者の基本情報、事業実績、財務内容など |
| 実施する事業 | 申請書、事業計画書、指定様式 | 実施する取り組み、投資内容、予定する成果など |
| 申請要件 | 賃金台帳、労働者名簿、各種確認書など | 従業員数、賃金その他の要件に関係する事実 |
| 申請する経費 | 見積書、仕様書、経費明細など | 購入・発注する内容、数量、金額など |
| 特例・加点等 | 指定された証明書、確認書など | 特例や加点措置等の条件に該当する事実 |
この表は、それぞれの書類が申請内容のどの部分に関係するのかを整理したものです。実際に提出する書類は、今回申請する公募回の指定によって決まります。
申請者に関する資料は事業者の状態や実績を示す
補助金には、法人の規模、業種、従業員数など、申請できる事業者の範囲が定められている場合があります。そのため、申請者について入力した内容に応じて、法人の基本情報や事業実績、財務内容、従業員の状況などを示す資料が指定されます。
例えば、履歴事項全部証明書には商号、本店所在地、役員など法人に関する登記事項が記載され、決算書には売上高や損益など一定期間の事業実績が表れます。従業員数が申請要件に関係する制度で労働者名簿等の提出が指定されていれば、そこに記載された従業員の情報が、申請書等に記載した従業員数の根拠となります。
申請者に関する資料については、公募要領で定められた申請者の条件に対して、どの資料から該当する事実を読み取るのかという関係で準備します。
決算書・確定申告書・納税証明書については、それぞれ確認できる内容や提出条件が異なります。詳しくは「補助金申請で決算書・確定申告書・納税証明書が必要なのはなぜ?|それぞれの役割と提出条件」で解説しています。
事業内容に関する資料は実施する取り組みと成果を示す
事業計画書には、今回実施する取り組み、そのために行う投資、実施体制、スケジュール、予定する成果など、公募要領や申請様式で求められる内容を記載します。
例えば、新たな設備を導入して生産工程を改善する計画であれば、現在どのような課題があり、その設備をどの工程へ導入し、導入後にどのような成果や効果を見込んでいるのかまでが、事業計画を構成する情報となります。
このように、事業計画書では、導入する設備や実施する取り組みを起点として、現在の課題、投資の内容、実施方法、予定する成果までを一つの事業として示します。
事業計画書へ記載する内容については、「補助金申請の事業計画書には何を書く?|申請前に整理する事業内容と投資計画」で詳しく解説しています。
経費に関する資料は支出の内容・数量・金額を示す
設備、システム、外注などの費用を補助対象経費として申請する場合には、経費明細に支出項目や金額を記載し、見積書や仕様書等が必要となる場合は、公募要領や手引き等で指定された段階で提出します。
例えば、事業計画書に「a製造工程へ工作機械を導入する」と記載し、経費明細にその設備の購入費を計上した場合、見積書に記載された機種、数量、価格などがその支出に対応します。これにより、事業計画書に記載した取り組み、経費明細に計上した支出、見積書等に記載された購入内容と金額が、一つの投資としてつながります。
事業計画書に記載した設備と、経費明細や見積書に記載された設備が異なれば、申請する事業と経費の関係を資料から読み取ることができません。そのため、名称、数量、用途、金額など、複数の資料で同じ対象を示す事項をそろえておく必要があります。
申請要件や個別条件に関する資料は該当する事実を示す
申請要件のうち、従業員数、賃金、事業実績など、申請者の具体的な状態によって適否が決まるものについては、その事実を示す資料が指定されることがあります。
例えば、一定の賃金水準が条件となる場合に賃金台帳等の提出が指定されていれば、申請書に記載した賃金に関する情報と、資料に記載された金額を対応させます。特定の加点措置について証明書や認定書の提出が指定されている場合には、その措置の適用を受ける事業者が該当する書類を添付します。
申請区分、適用を受ける要件、特例、加点措置など、自社の申請内容に個別の条件が加われば、その条件に応じて提出資料が追加されることがあります。 そのため、共通の提出書類をそろえた段階で準備を終えるのではなく、自社が選択・適用する条件ごとに指定された資料まで確認します。
申請書・事業計画書の記載事項と提出資料を結び付ける
必要書類を洗い出した後は、申請書や事業計画書の記載事項ごとに、その内容をどの提出資料から読み取れるのかを対応させます。
例えば、設備投資を含む申請であれば、事業計画書に記載した設備の用途、経費明細に計上した設備費、見積書に記載された機種・数量・金額が、同じ投資について一貫した内容になっている必要があります。
従業員数や賃金が申請要件に関係する場合には、申請画面へ入力した人数や金額と、指定された労働者名簿や賃金関係資料に記載された内容を結び付けます。特例や加点措置を申請する場合も、その申請内容に対して指定された証明書や確認書等がそろっているかを確かめます。
このように、必要書類を準備する際には、書類が一式そろっていることに加えて、申請書等に記載した一つひとつの内容について、その事実や金額をどの資料から読み取れるのかが明確になっていることが重要です。
複数の資料に記載される名称・数値・期間を照合する
申請書・事業計画書と提出資料を紐づけた後は、複数の資料に共通して記載される情報を照合します。
設備投資であれば、事業計画書、経費明細、見積書等に記載された設備の名称、用途、数量、金額が同じ投資を示しているかを確認します。従業員数や賃金が要件となる場合には、申請画面へ入力した人数・金額と、労働者名簿や賃金関係資料に記載された内容・対象期間との関係を確認します。
提出前には、申請者情報、事業内容、申請要件、経費、特例・加点等の各項目について必要資料がそろっているかを確認したうえで、名称、数値、数量、金額、対象期間など、複数の書類に共通する事項に食い違いがないかを照合します。
これにより、申請書や事業計画書に記載した内容と、それを示す提出資料が、一つの申請内容としてつながった状態になります。
必要書類の準備が整った後は、公募で指定された方法によって申請します。電子申請や提出完了までの手順については、「補助金はどう申請する?|提出方法と申請完了までの手順」で解説しています。
まとめ|公募資料から必要書類を特定し、申請内容との対応を確認する
補助金申請の必要書類を準備するときは、まず、今回の公募要領、申請様式、提出書類一覧、申請の手引き等を基準として、自社が提出する書類を特定します。このとき、共通して求められる書類に加えて、自社が選択する申請区分、適用を受ける要件、特例・加点措置等によって追加される書類まで拾い出します。
次に、申請書や事業計画書に記載する申請者情報、事業内容、申請要件、経費、特例・加点等について、それぞれどの提出資料から内容を読み取れるのかを結び付けます。
最後に、複数の資料に記載される名称、数値、数量、金額、対象期間などを照合します。
「今回の申請に必要な書類を特定する→申請内容ごとに資料を結び付ける→資料間の共通事項を照合する」という
順序で準備することで、自社の申請内容と提出資料を一つの申請資料として組み立てることができます。