産業廃棄物を排出場所から処分先へ直接運搬するだけでなく、途中の事業地へ持ち込んで積み替えたり、一時的に保管したりする場合は、その工程を含めた収集運搬業の許可が必要になります。
積替・保管を行う事業では、運搬車両や取り扱う産業廃棄物の種類を決めただけでは申請準備は整いません。
どの産業廃棄物を、どこから受け入れ、どの場所で、どのような方法により積替え・保管し、その後どこへ搬出するのかという一連の流れを事業計画として具体化し、その計画に沿って積替え・保管を行える施設を確保します。
神奈川県でも、積替・保管を含む収集運搬業は、通常の「積替・保管を除く」収集運搬業と申請手続が異なり、積替・保管場所を所管する行政庁への事前相談が求められています。
※積替・保管を除く収集運搬業許可の取得などについては、以下の記事で解説しています。
「産業廃棄物収集運搬業許可(積替・保管を除く)|取得にあたって押さえるべき要点」
この記事では、積替・保管を含む産業廃棄物収集運搬業の許可申請に向けて、事業計画をどこまで具体化し、その計画に沿って施設の区画、構造、設備をどのように定めるのかを整理します。
積替・保管の搬入から搬出までの流れを決める
積替・保管を行う場合、事業計画では「産業廃棄物を運ぶ」という全体像に加え、運搬途中に設ける積替・保管工程まで具体的に定めます。申請書には、取り扱う産業廃棄物の種類、積替え又は保管の有無、積替・保管場所の所在地・面積、その場所で扱う産業廃棄物の種類、保管上限、積み上げることができる高さなどを記載するため、実際の運搬方法と積替・保管の内容を申請前に詰めておかなければなりません。
少なくとも、次の内容が一つの運搬計画としてつながっていることが前提となります。
・ どの種類の産業廃棄物を取り扱うのか
・ どのような排出場所から収集するのか
・ どの積替・保管場所へ搬入するのか
・ その場所でどのように荷下ろし、区分、積替え又は保管を行うのか
・ どの程度の量を受け入れ、保管するのか
・ どのような車両や容器を使用するのか
・ 積替・保管後の産業廃棄物をどこへ搬出するのか
積替・保管では、排出場所と処分先の間に一つの事業工程が加わるため、搬入から保管、積替え、搬出までの流れを具体化すると、各工程で使用する場所や設備も明確になります。
既に積替・保管を含まない収集運搬業の許可を受けている事業者が新たに積替・保管を始める場合、事業範囲の変更許可を受けます。神奈川県の手引きでも、「積替・保管を含む許可への変更」が変更許可の例として示されています。
廃棄物の種類と保管方法に合わせて施設を設計する
取り扱う産業廃棄物の種類や保管量、保管方法を決めると、それに応じて保管区画、設備、施設構造も決まります。同じ積替・保管場所でも、扱う産業廃棄物の種類、保管量、容器の使用方法、屋内か屋外かによって施設に求められる条件が変わるため、事業計画で定めた保管方法や取扱方法に合わせて施設の区画、構造、設備を定めます。
積替えや保管を行う場所では、産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透や悪臭の発生などによって生活環境に支障が生じないよう、取り扱う廃棄物と保管方法に応じた措置を講じます。保管場所には囲いや掲示板を設け、汚水が生じるおそれがあれば地下浸透を防ぐ措置や排水設備などを検討します。屋外で容器を用いずに保管する場合は、積み上げ高さに関する基準に沿って保管方法や区画を定めます。
また、積替えのために保管できる数量には上限があり、原則として、その保管場所における1日当たりの平均的な搬出量の7倍を超えることはできません。予定する受入量だけでなく、搬出量との関係も踏まえて保管量を設定します。
たとえば、複数種類の産業廃棄物を同じ事業地で取り扱う場合は、どの場所に何を保管するのかを平面上で定め、混合防止が必要なものは区画や容器によって分けます。飛散するおそれのある廃棄物には、屋根、容器、シートその他の方法による飛散防止を検討し、液状のものや汚水を生じる可能性があるものを扱う場合は、その性状を踏まえて床面や排水の構造を計画します。
石綿含有産業廃棄物など、種類によって追加の取扱基準が設けられているものを予定している場合は、その基準を前提として保管区画や飛散防止方法を設計します。神奈川県も、石綿含有産業廃棄物について、他の廃棄物との混合防止や飛散防止などの措置を示しています。
保管区画や車両動線を施設図面に反映する
積替・保管を含む許可では、計画した業務をその施設でどのように行うのかを申請資料から説明します。そのため、積替・保管場所の平面図、立面図、断面図、構造図などには、積替え・保管を行う場所や設備の配置、構造を示します。
平面図では、敷地の外形に加え、たとえば次のような内容を示します。
・ 車両の出入口や構内動線
・ 産業廃棄物を積み下ろす場所
・ 種類ごとの保管区画
・ 各区画の面積や配置
・ 囲い、仕切りその他の区画設備
・ 容器を使用する場合の配置
・ 排水設備その他の生活環境保全設備
・ 掲示板の位置
申請書に記載する保管上限は、法令上の上限を踏まえたうえで、図面上の保管区画や実際の保管方法と対応させます。予定する保管量に対して保管区画が不足していれば、その施設で計画どおりに積替え・保管を行うことを説明できないため、保管量に合わせて保管区画の面積と配置を定めます。
土地や建物を賃借して使用する場合は、申請者がその土地・建物を積替・保管施設として使用できる権原を資料で示すとともに、計画した積替え・保管に使用する場所の面積、構造、設備を図面その他の申請資料に示します。
候補地が決まったら所管行政庁へ事前相談する
積替・保管を含む許可では、本申請に先立って、積替・保管場所を所管する行政庁と相談・調整します。神奈川県では、積替・保管を含む収集運搬業について事前の連絡・相談が必要とされており、横浜市でも、新規許可や事業範囲の変更許可で積替・保管を行う場合は許可申請前の事前協議を行います。
事前相談では、予定している事業について、次の内容を具体的に示します。
・ 積替・保管場所の所在地
・ 取り扱う産業廃棄物の種類
・ 搬入・搬出の流れ
・ 予定する保管量
・ 保管方法
・ 敷地や施設の配置
・ 飛散・流出等を防止する設備
・ 土地・施設の使用関係
行政庁との調整によって施設配置の見直しや資料の追加が生じる可能性があるため、候補地が決まった段階で、予定する事業内容と施設の配置・構造を説明する資料を用意して事前相談へ進みます。事前相談で調整した内容に沿って施設計画や申請資料を修正し、本申請につなげます。
神奈川県内では、積替・保管場所が横浜市、川崎市、相模原市又は横須賀市にある場合は各市が窓口となり、それ以外の区域では積替・保管場所を所管する地域県政総合センターが窓口となります。県が公表している申請窓口の案内でも、積替・保管場所の所在地によって窓口が分かれています。
事業計画・施設図面・使用権原をそろえて申請へ進む
許可申請へ進む段階では、取り扱う産業廃棄物の種類と量、搬入・保管・搬出の方法が事業計画として定まり、その内容が施設の区画、構造、設備と施設図面に反映されていることが前提となります。土地や建物を賃借する場合は、積替・保管施設として使用できる権原も資料で示します。
施設の面積や構造に制約があれば、その条件に合わせて受入量や保管方法を調整し、所管行政庁との事前相談で施設配置や申請資料について調整した事項があれば、その内容に沿って修正します。
通常の収集運搬業で求められる講習会の修了証その他の一般的な許可要件も別途満たします。神奈川県では、収集運搬業の許可申請時に所定の講習会修了証の写しを提出する取扱いが示されています。
積替・保管を含む許可では、搬入から搬出までの事業計画と、その計画を実施する施設の区画・構造・設備を一致させ、施設図面や使用権原資料、事前相談での調整内容を申請資料に反映したうえで許可申請へ進みます。
※本記事で詳説していない一般的な許可要件については、以下の記事を参考にしてください。
「産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは|講習・車両・経理的基礎で確認されるポイント」