経営事項審査(経審)の申請手続は決算後に行いますが、今回の経審で評価を受ける技術職員や工事実績には、決算前から確認しておく事項があります。
基準になるのが、原則として直前の事業年度終了日となる審査基準日です。経審では完成工事高や技術職員などを審査基準日時点で評価するため、必要な雇用期間など、その日までに満たすべき条件は後から補うことができません。
次回の審査基準日を特定し、技術職員の資格・雇用期間と工事実績を事前に確認しておくことが、決算前の経審準備の中心になります。
経審の準備は審査基準日を基準に分ける
経審の準備は、審査基準日までに成立させる事項と、その後に確定した決算を使って行う手続に分かれます。
| 時期 | 主な準備 |
|---|---|
| 審査基準日まで | 技術職員の資格・雇用期間や完成工事高の対象となる工事実績など、評価の基礎となる実績・体制を整え、工事内容を確認できる資料を残す |
| 決算後 | 財務諸表、工事経歴書、決算変更届、経営状況分析、経審申請など、確定した決算に基づく書類作成・申請を行う |
事前に優先して確認するのは、審査基準日を過ぎると今回の評価対象として補えない事項です。技術職員の雇用期間はその代表例であり、工事実績については、申請時に工事内容や請負金額、業種を特定できる資料を残しておきます。
技術職員は資格・雇用期間・確認資料をまとめて確認する
経審で技術力評価の対象となる技術職員については、審査基準日時点の資格と雇用関係を確認し、その事実を申請時に資料で示せるようにしておきます。
特に注意したいのが、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係が求められる点です。
たとえば3月31日決算の会社が4月になってから技術者を今回の経審の評価対象に加えようとしても、3月31日までに必要だった雇用期間を、その後の雇用によって補うことはできません。
次回の経審で評価対象とする技術職員については、対象となる資格を保有しているか、審査基準日までに必要な雇用期間を満たすかを確認します。今回の審査基準日までに条件を満たせない場合は今回の評価対象にはできないため、次回の審査基準日に向けて必要な雇用期間を確保します。
あわせて、審査基準日時点の雇用関係や雇用期間を申請時に示せるよう、会社との雇用関係を確認できる資料を継続して残します。
完成工事高は工事ごとの根拠資料から確認する
完成工事高は経審で経営規模を評価する主要な項目であり、工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額を作成するときには、実際に施工した工事とその売上を対応させます。
請求書に「工事一式」としか記載されておらず、契約書や注文書などにも施工内容が十分に残っていない場合、どの売上がどの工事に対応し、その工事をどの建設業種へ計上するのかを判断するため、資料を集め直すことになります。
そのため、工事の受注・施工段階から次の資料・情報を残します。
- 契約書・注文書などを工事ごとに保存する
- 工事名、施工内容、請負金額が資料から分かるようにする
- 計上する建設業種を判断できる施工内容を残す
- 会計上の売上と該当する工事資料を対応させる
完成工事高は、決算後に確定した数字とこれらの工事資料を基に申請書類へ反映します。
決算後は確定した数字で経審の手続を行う
審査基準日を迎えた後は、その時点までに形成された実績・体制と確定した決算を基に、必要な書類を作成して申請します。
基本的な流れは、
決算確定
→ 決算変更届
→ 経営状況分析
→ 経審申請
→ 結果通知
です。
工事実績については保存してきた契約書・注文書などから工事内容、請負金額、計上する建設業種を確定して申請書類へ反映し、技術職員についても審査基準日時点の資格・雇用関係を必要な資料によって示します。
結果が必要な日から経審の日程を逆算する
公共工事を継続して直接請け負う会社や、特定の時期に入札参加資格申請を予定している会社では、経審結果が必要になる日も申請日程を決める基準になります。
経審結果には審査基準日から1年7か月の有効期間があるため、公共工事を継続して直接請け負う会社では、前回結果の有効期間が満了する前に新しい結果を受ける必要があります。
また、入札参加資格申請では、発注機関ごとに受付時期や使用する経審結果が定められます。参加する発注機関と時期が決まっている場合は、使用する経審結果と必要になる時期から申請日程を逆算します。
結論|審査基準日と結果が必要な日から準備時期を決める
経審では、審査基準日までに技術職員の資格・雇用期間と工事実績を確認し、決算後は確定した決算を基に決算変更届、経営状況分析、経審申請を行います。
さらに、公共工事の継続や入札参加資格申請の予定がある場合は、経審結果が必要になる日から申請日程を逆算します。審査基準日と結果が必要になる日の二つを押さえることで、決算前に確認する事項と決算後の申請時期を具体的に決められます。
※経審の準備時期と申請の流れについては、以下の記事を参考にしてください。
経営事項審査はいつ受ける?|準備時期と申請の流れを解説【神奈川県】