開業準備を進める中で、どうしても拭えない不安があります。
それは、「試験には受かったけど、実務はできない」という現実です。
・ いざ依頼が来たら、何から手をつければいいのか分からない
・ 進め方を一から調べていたら、時間ばかりかかってしまう
・ そもそも、この状態で受任していいのか不安になる
――こんな感覚、ありませんか?
日々勉強しながら、準備を進めている最中ですが、私自身もまさに今この壁にぶつかっています。
同じような不安を抱えている方の中には、
「実務講座は受けた方がいいのか」
「どの講座を選べばいいのか」
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私の実体験をもとに、
行政書士の実務講座や実務フォーマット集といった“スキル・知識面の備え”について整理してみます。
1.行政書士試験と実務
行政書士として、「どうやって顧客を獲得し、業務を進め、報酬を得るのか」
この点に疑問を感じる新規開業者は非常に多いと思います。
理由はシンプルで、実務知識がないからです。
行政書士試験の内容は、実務と直結しているとは言えません。
受験勉強で得た知識だけでは、定番業務であっても対応するのは難しいのが現実です。
あくまで私個人の意見ですが、試験で得た知識だけで開業するのは、かなりリスクが高い選択だと感じています。
だからこそ、「知識を仕入れること」はコストではなく、
「仕事を完遂するための“投資”」として捉えるべきだと考えています。
2.実務講座
行政書士の実務では、法令知識だけでなく、
・ 依頼対応の進め方
・ 案件ごとの判断
・ 行政庁とのやり取り
といった、実践的な視点と段取りが求められます。
つまり必要なのは、単なる知識ではなく、「業務の型を身につけること」だと思います。
これらを体系的に理解しておくことで、初めての相談や案件でも、落ち着いて対応できる基礎ができます。
そういう意味で、実務講座は受講する価値があると感じています。
各予備校が講座を用意しているため、最終的には相性の問題になりますが、
私は以下の2つを比較検討しました。
●アガルート
価格は7万円程度と比較的安価。
有力講師の講義を受けられ、コストパフォーマンスは高いと感じました。
許認可や相続など代表的な業務について、全10講座(各1~2時間)。
テキストはPDF形式でダウンロードする形です。
安価で人気もある一方で、私にとってはややボリューム不足に感じました。
●伊藤塾
費用は約32万円と、正直かなり高額です(期間限定で割引キャンペーンあり)。
ただし、1年間かけて基礎からしっかりと学べる構成で、
開業・経営ノウハウや士業ネットワークの支援なども含まれています。
さらに、過去の講演動画の視聴や、特定行政書士向け講座なども用意されています。
総合的に見て、費用に見合う内容だと判断し、私はこちらを選びました。
加えてもう一つ大きかったのが、人脈面のメリットです。
私は予備校に通わずに試験勉強をしていたため、現時点で士業関係のつながりがほとんどありません。
その中で、同窓会などのネットワークに参加できる点は、単なる講座以上の価値があると感じました。
開業直後は、判断に迷ったときに相談できる相手がいるかどうかで、安心感が大きく変わるとも感じています。
※特定の講座を推奨する意図はなく、あくまで個人の体験です。
現在は基礎業務編を受講中ですが、
先輩行政書士や講師の経験談、開業に向けた心構えなどを聞くことができ、非常に参考になっています。
今後も受講を進める中での気づきは、別の記事で共有していく予定です。
私の場合は不安が大きかったので受講を選びましたが、
「ある程度は自分で調べながら進めたい」という方には、必ずしも必要ではないかもしれません。
ただ、「どう進めるかイメージが湧かない」という感じであれば、内容を見てみる価値はあると感じています。
3.実務フォーマット集
行政書士の実務は、基本的に以下の流れで進みます。
① 依頼者へのヒアリング・事実確認
② 適用法規・行政庁の見解の確認(解釈含む)
③ 結論の整理
④ 書面作成
この中で特に重要なのが、①ヒアリング(事実確認)です。
依頼者は、聞かれなければ答えませんし、場合によっては不利な事実を隠すこともあり得ます。
また、「何を聞くか」は法律要件から逆算する必要があります。
そのため、実務では
・ チェックシート
・ ヒアリングシート
・ 簡易マニュアル
といったツールが不可欠になります。
しかし現実問題として、
約1万種類あるといわれる行政手続きすべてについて、これらを一から準備するのは到底できません。
しかも開業後は、「いつでも受任できる状態」であることが前提になります。
例えば、
・ 建設業許可
・ 産業廃棄物収集運搬業許可
・ 遺言書作成
・ 車庫証明
といった業務ごとに、ヒアリング項目は当然異なります。
仮に制度理解が十分でも、必要書類の抜け漏れなく案件を完遂するには、
こうしたフォーマットなしではかなり厳しいと感じます。
このヒアリングの精度次第で、その後の手続きがスムーズに進むかどうかが大きく変わります。
私自身も、今後はこの「最初の整理」を丁寧に行うことで、依頼者にとって分かりやすく、安心して任せてもらえる
対応をしていきたいと考えています。
現在は、実務で使えるフォーマット集も販売されていますので、これを使わない手はありません。
私が調べた中では「行政書士開業セット」が評判も良く、内容も充実している印象でした。
主な特徴は以下の通りです。
・ 実務レベルで使用可能との評価
・ 約850種類の書式を収録
・ データ形式でカスタマイズ可能
・ 法改正にも無償対応
登録から開業まで少し時間があるため、実務講座と並行して活用していく予定です。
※登録手続きの流れについては
「第4回:登録や手続きはどう進む?|行政書士登録の流れ」で整理しています。
フォーマットについても、すべてを最初から揃える必要はないかもしれません。
ただ、「ヒアリングで何を聞けばいいか分からない」と感じるのであれば、既存のものをベースに整えていく方が、
結果的に効率よく実務に入れると感じています。
4.まとめ
「新人行政書士はカモにされる(いわゆる“ヒヨコ狩り”)」という見方もあるかもしれません。
ただ、私自身は必要なものを自分で考え、納得して投資することは、むしろ前向きな判断だと捉えています。
実務講座やフォーマット集は、単なる出費ではなく、「将来の収益につながる“仕入れ”」です。
長い目で見れば、決して無駄にはならないと考えています。
こうした準備を積み重ねながら、一つひとつの案件に丁寧に向き合っていきたいと思います。
5.次回予告
次回は、ホームページやブログについてお話しする予定です。
開業準備の中で感じている不安や迷いも含めて、できるだけリアルな形でお伝えできればと思います。
※「どんな人が書いているのか気になる」という方は、プロフィールにこれまでの経歴や考え方をまとめています。