はじめに|許可取得後は変更への対応と有効期限の管理が続く
産業廃棄物収集運搬業は、許可を取得した後も、会社や事業内容の変更に応じた手続と、許可の有効期限に応じた更新が必要です。会社の所在地や役員、運搬車両などを変更した場合は変更届、取り扱う産業廃棄物の種類を追加するなど事業範囲を広げる場合は変更許可が関係し、さらに許可期間の満了後も事業を続けるには更新許可を受けなければなりません。
したがって、許可取得後は、現在の事業体制、許可された事業範囲、有効期限の3点を継続して管理します。
会社や車両に変更が生じたときは届出事項、収集運搬の内容が変わるときは許可された事業範囲、更新時期が近づいたときは有効期限を基準として、その時点で必要となる手続を特定します。
変更が生じたら「変更届」と「変更許可」を区別する
許可取得後に会社や事業の内容が変わったときは、その変更が既存の許可に関する届出事項に当たるのか、許可された事業範囲の拡大に当たるのかによって、必要となる手続が分かれます。
役員や所在地、運搬車両など、許可を受けた事業者や事業体制に関する一定の事項を変更した場合は変更届を提出します。これに対して、許可を受けている事業の範囲を広げる場合は、変更後の事業を始める前に変更許可を受ける必要があり、廃棄物処理法でも産業廃棄物処理業の事業範囲の変更について変更許可の制度が設けられています。
変更届は生じた変更を届け出る手続であり、変更許可は事業範囲を広げる前に受ける許可です。
両者は対象となる変更だけでなく、手続を行う時点も異なります。
役員・所在地・車両などを変更した場合は変更届を提出する
変更届の対象には、法人の本店所在地、法人の名称、代表者・役員等、運搬車両などの変更があり、取り扱う産業廃棄物の一部を廃止した場合も届出の対象になります。
たとえば、新しい車両を収集運搬に使用する場合はその車両について、役員が交代した場合は新たな役員等について、それぞれ所定の届出を行います。届出期限は原則として変更の日から10日以内で、登記事項証明書を添付する届出については30日以内です。
神奈川県では、運搬車両の変更について、許可証の写しや運搬車両一覧表などを添付して届け出る取扱いとなっています。役員変更や本店移転、車両の入替えがあったときは、変更届の対象となる事項を所定の期限内に届け出ることで、実際の事業体制を届出内容に反映させます。
※役員・所在地・車両などの変更届については、以下の記事で詳しく解説しています。
「産業廃棄物収集運搬業許可の変更届とは|役員・車両・住所変更で確認される内容」
事業範囲を広げる場合は変更許可を受ける
変更許可は、現在受けている許可の事業範囲を広げる場合に必要となります。収集運搬業の許可では、取り扱う産業廃棄物の種類や、積替え・保管を行うかどうかが事業範囲として定められており、変更許可申請書にも、許可に係る事業の範囲としてこれらを記載する仕組みになっています。
たとえば、現在の許可に含まれていない産業廃棄物を新たに取り扱う場合は、その廃棄物の収集運搬を始める前に事業範囲の変更許可を受ける必要があります。新しい取引を始める際には、実際に収集・運搬する産業廃棄物を許可証に記載された種類と照合し、現在の許可範囲で取り扱える業務かを確かめます。
事業範囲の追加が必要となる業務については、収集運搬を開始する前に変更許可を受けます。
許可取得後も、新たに受注する業務と許可された事業範囲を照合して、実際の収集運搬を許可の範囲に収めます。
※取り扱う産業廃棄物の種類については、以下の記事を参考にしてください。
「産廃収集運搬業許可の品目とは?|収集・運搬する廃棄物がどの種類に該当するか」
許可の有効期限から更新時期を決める
産業廃棄物収集運搬業の許可には有効期間があり、通常の許可は 5年、優良産廃処理業者として認定を受けた場合は 7年です。更新を受けずに有効期間が経過すると許可の効力が失われるため、継続して収集運搬業を行う会社は、許可証に記載された有効年月日を基準として更新申請の時期を決めます。
更新時には、現在の事業内容や事業体制を前提として改めて審査を受けます。そのため、許可取得後に役員や所在地、車両などを変更している場合は、それぞれについて所定の変更届が提出済みであることも確かめておく必要があります。
申請方法や受付時期は自治体により定められているため、実際の更新では許可行政庁の手引きに従います。
たとえば神奈川県では、更新許可申請を有効期限の3か月前から受け付けており、この受付時期と許可証の有効期限をもとに更新準備を進めます。
※許可更新の期限に関しては、以下の記事で解説しています。
「産業廃棄物収集運搬業許可の更新期限はいつまで?|更新前に見直したい実務ポイント」
有効期間内に更新申請を行えば、処分まで従前の許可が続く
許可期間の満了後も継続して収集運搬業を行う場合は、現在の許可が有効なうちに更新申請を行います。
有効期間内に適法な更新申請を行った場合、従前の許可は、許可期間の満了後も更新についての処分が行われるまで効力を有します。
したがって、更新申請後、行政庁による審査が続いている間に従前の許可期間が満了しても、更新についての処分が行われるまでは、その許可に基づいて事業継続できます。この取扱いを前提としても、有効期間内に更新申請する必要があることは変わらないため、許可証の有効期限と行政庁の受付時期から申請時期を定めておくことが重要です。
また、更新準備に入る際は、有効期限と併せて、許可取得後の役員、所在地、車両などの変更が届出済みであることも確かめます。未届の変更があれば、その変更について必要な変更届を提出したうえで、更新申請の準備を進めます。
※更新手続が間に合わなかった場合の影響や対応については、以下の記事を参考にしてください。
「産廃許可の更新が間に合わない場合どうなる?|許可失効後の影響と対応を解説」
「変更が生じた時点」と「更新準備を始める時点」で許可内容を照合する
許可取得後に必要となる手続は、「変更が生じた時点」と「更新準備を始める時点」を基準に管理します。
変更が生じたときは、役員・所在地・車両などの届出事項に当たるのか、取り扱う産業廃棄物の追加や積替え・保管の変更など、事前の許可を要する事業範囲の拡大に当たるのかを区別します。その結果に応じて、変更届は所定の期限内に提出し、変更許可は新しい業務を開始する前に受けます。
更新準備を始めるときは、許可証の有効期限に加え、現在の役員・所在地・車両、取り扱う産業廃棄物、積替え・保管の有無を許可・届出関係の書類と照合します。これまでの変更が適切に反映されていることを確かめたうえで、現在の事業内容を前提として更新申請を進めます。
変更時には変更届・変更許可の要否と時期を特定し、更新前には事業体制と許可・届出関係の書類を照合する。
この二つの時点を基準として、許可取得後の変更と更新を管理します。