決算変更届では、財務諸表の計算や合計額に誤りがなくても、工事実績の金額や業種区分、会社情報、使用する様式に不備があれば補正が必要になります。

決算変更届には、財務諸表のほか、工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額などが含まれます。同じ工事実績を複数の書類に記載するため、書類間で金額や業種区分が一致していることも必要です。

また、許可取得後に商号・名称、役員、所在地などが変わっている場合や、対象となる事業年度に対応した様式を使用していない場合には、それぞれ必要な修正や届出を行います。

補正の原因は、①工事実績の金額、②工事の業種区分、③会社情報の変更届、④使用する様式の4つに分けて見ると特定しやすくなります。

工事実績の金額が書類間で一致していない

決算変更届では、同じ事業年度の工事実績を複数の書類に記載します。工事経歴書には建設工事の種類ごとの工事実績、直前3年の各事業年度における工事施工金額には業種ごとの施工金額、財務諸表の損益計算書にはその事業年度の完成工事高を記載します。

神奈川県の記載例では、直前3年の各事業年度における工事施工金額の合計と、損益計算書の完成工事高を一致させることが示されています。

ここで注意するのは、会社全体の完成工事高だけでなく、業種ごとの金額も書類間で対応しているかという点です。

たとえば、工事経歴書ではA業種に1,000万円、B業種に2,000万円を計上し、直前3年の各事業年度における工事施工金額ではA業種に1,500万円、B業種に1,500万円を計上しているとします。いずれも合計は3,000万円ですが、A業種とB業種の金額は一致していません。

このように全体の合計額が同じでも、業種別金額が異なれば補正の原因になります。
金額の差が生じている場合は、工事経歴書に記載した個々の工事まで遡り、計上額を特定して修正します。

工事を計上した業種が施工内容と合っていない

工事経歴書は、建設工事の種類ごとに作成する書類です。同じ会社が複数の建設業許可を受けている場合には、実際に施工した工事の内容に応じて、該当する建設工事の種類へそれぞれの工事を計上します。

工事の業種区分を誤ると、その工事を含めて集計する直前3年の各事業年度における工事施工金額にも同じずれが生じます。

たとえば、実際には「とび・土工・コンクリート工事」に該当する工事を別の許可業種へ計上すると、その業種の施工金額に含まれる工事自体が変わります。工事名や請負契約の内容と実際に施工した工事を照らし合わせ、該当する建設工事の種類へ計上します。

また、許可を受けていない建設工事について完成工事高がある場合には、直前3年の各事業年度における工事施工金額の「その他の建設工事の施工金額」へ反映します。

金額そのものに誤りがなくても、計上した業種が異なれば書類間の業種別金額は一致しません。
この場合は金額を合わせるだけで終わらせず、個々の工事の業種区分から修正します。

会社情報の変更届が提出されていない

工事実績の記載に問題がなくても、許可取得後の会社情報が届出に反映されていなければ、決算変更届に記載する内容と許可関係の届出内容に差が生じます。

決算変更届に記載する商号・名称、役員、所在地などが許可取得後に変わっている場合には、その変更について所定の変更届が必要です。
神奈川県では、商号・名称、役員、所在地などを変更した場合、原則として変更後30日以内に変更届を提出するよう案内しています。

変更届出書には、変更前と変更後の内容、変更年月日などを記載し、変更する事項に応じた添付書類を提出します。

たとえば、本店を移転した後に所在地変更の届出をしていなければ、現在作成している決算変更届の所在地と、許可関係の届出に記録されている所在地が一致しません。役員や商号などについても同様です。

未提出の変更届があれば、その変更に必要な届出を行い、現在の会社情報と許可関係の届出内容を一致させます。

対象年度に対応した様式を使用していない

以前の決算変更届のデータを利用して作成するときは、使用している様式が対象となる事業年度に対応しているかにも注意が必要です。

神奈川県は建設業許可申請や決算変更届などの様式を公開しており、財務諸表についても法令改正に伴う様式変更が行われています。

また、建設業許可の申請・届出については、2021年1月1日から押印が不要となっています。旧様式に「印」の表示が残っている場合でも押印は不要で、神奈川県ではこの旧様式も使用できます。

前年のデータを利用するときは、対象となる事業年度に適用される様式かを確認し、様式改正の対象となっている場合は対応する様式で作成します。

補正箇所から原因となった記載まで遡る

補正を指摘されたときは、指摘内容に応じて原因となった記載まで遡ります。

金額の不一致であれば、工事経歴書に記載した個々の工事と、直前3年の各事業年度における工事施工金額、財務諸表の完成工事高のどこで差が生じたのかを特定します。業種区分に問題があれば、工事名や請負契約の内容と実際に施工した工事を照らし合わせ、計上した建設工事の種類を修正します。

会社情報に差があれば、商号・名称、役員、所在地などの変更時期を調べ、必要な変更届を提出します。様式について指摘された場合は、対象となる事業年度に対応した様式で作成し直します。

補正の原因を「金額」「業種区分」「変更届」「様式」に分け、指摘された箇所から元の記載まで遡ることで、修正すべき内容を特定できます。