はじめに|必要な許可区域は積込地と荷卸し地から決まる
産業廃棄物の収集運搬業を始めるとき、会社の所在地と実際に収集運搬を行う区域が異なると、どの都道府県の許可を取得すればよいのか分かりにくくなります。
産業廃棄物収集運搬業では、**産業廃棄物の積込地と荷卸し地を基準に必要な許可区域を判断します。**本店所在地で積込みや荷卸しを行う場合はその所在地も判断対象となりますが、会社の本店所在地だけで許可区域が決まるものではありません。
たとえば、
東京都の排出事業場で積込み → 神奈川県の処分施設で荷卸し
という運搬を予定している場合は、東京都と神奈川県の許可が必要です。
また、東京都から神奈川県へ運ぶ途中で別の県内を走行しても、その県内で積込みや荷卸しを行わなければ、通過を理由とする収集運搬業許可は必要ありません。
まず予定する収集運搬の積込地と荷卸し地を洗い出し、その所在地から取得すべき許可区域を決めます。
複数の排出事業場や処分先がある場合や、積替え・保管を行う場合は、事業全体の運搬経路と施設所在地まで含めて申請先を定めます。
複数の積込地や搬入先がある場合は、事業全体から必要区域を決める
複数の排出事業場や処分施設を利用する場合は、各運搬について積込地と荷卸し地を洗い出し、それらを合わせて事業全体で取得する許可区域を決めます。
たとえば、ある収集運搬業者が複数の排出事業者から委託を受け、次の3つの運搬を予定しているとします。
・ 東京都の建設現場から神奈川県の処分場へ運ぶ
・ 神奈川県の工場から神奈川県内の処分場へ運ぶ
・ 千葉県の事業場から東京都の処分場へ運ぶ
1つ目の運搬では東京都と神奈川県、2つ目では神奈川県、3つ目では千葉県と東京都で積込みまたは荷卸しを行います。これらを事業全体で見ると、積込みまたは荷卸しを行う区域は東京都、神奈川県、千葉県となるため、この3都県が許可を取得する区域となります。
許可申請では、どの排出場所からどの処分先へ、どの種類の産業廃棄物を運ぶのかを事業計画として示します。
新たな排出事業場や処分先との取引を始める場合は、その積込地・荷卸し地と現在の許可区域を照合し、新しい区域で積込みまたは荷卸しを行うのであれば、その区域の許可を取得します。
必要区域を決めた後に申請先となる行政庁を特定する
積込地と荷卸し地から必要な許可区域を決めたら、次に、その区域について都道府県と政令市等のどちらが許可行政庁となるのかを特定します。
平成23年の許可制度の合理化により、一つの政令市を越えて収集運搬を行う場合には、原則として都道府県知事の許可で取り扱う仕組みとなりました。従前のように積卸しを行うすべての都道府県・政令市の許可を重ねて取得する方式ではなく、原則として都道府県許可へ整理されています。
一方、収集運搬が一つの政令市等の区域内だけで完結する場合には、都道府県ではなく、その市の許可が必要になることがあります。
たとえば神奈川県内には、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市という産業廃棄物収集運搬業の許可権限を持つ市があります。そのため、横浜市内だけで積込みと荷卸しを行うのか、横浜市で積み込んで市外へ運ぶのかによって、横浜市と神奈川県のどちらの許可が必要になるのかが変わります。
このように、積込地と荷卸し地がどの都道府県にあるかを確認したうえで、それぞれが政令市等の区域内にあるか、収集運搬がその市の区域内だけで完結するかを確認し、都道府県と政令市等のどちらの許可が必要になるのかを判断します。
積替え・保管を行う場合は事前相談・調整が必要
積替え・保管を含む収集運搬業では、通常の収集運搬業の許可申請とは異なり、積替え・保管施設を設ける場所を所管する行政庁との事前相談や調整が必要になります。
神奈川県では、積替え・保管を含む収集運搬業の許可を申請する場合、積替え・保管場所を所管する地域県政総合センターへの事前相談が必要です。政令市内で積替え・保管を行う場合は各市が相談先となり、川崎市内で新たに積替え・保管を含む収集運搬業を行う場合は、許可申請前に川崎市との事前相談・事前協議等が必要です。
そのため、積替え・保管を予定している場合は、通常の許可申請書類を準備する前に、施設所在地を所管する行政庁へ相談し、必要な手続や施設計画について確認してから申請準備を進めます。
申請前は事業全体を3段階で判断する
申請前には、予定する収集運搬について、次の順序で必要な許可と申請先を決めます。
① どこで積み込み、どこで荷卸しするか
予定する各運搬について積込地と荷卸し地を洗い出し、その所在地から取得する許可区域を決めます。複数の排出事業場や処分先がある場合は、それぞれの運搬について同じ作業を行い、事業全体で必要となる区域をそろえます。
② その区域ではどの行政庁へ申請するか
必要な許可区域が決まったら、積込地と荷卸し地が政令市等の区域内にあるか、収集運搬がその市の区域内だけで完結するかを確認し、都道府県と政令市等のどちらが許可行政庁となるのかを特定します。
③ 積替え・保管を行う場所があるか
積替え・保管を予定している場合は、その施設所在地と所管行政庁を特定し、求められる事前相談・調整等を経て申請先と許可手続を確定させます。
収集運搬業の許可区域は、一度決めれば終わりではありません。新しい排出事業場や処分先との取引を始めるときにも、積込地と荷卸し地を基準に、現在の許可で対応できる区域かを確認することが必要です。
※積替・保管を含む収集運搬業許可については、以下の記事で詳しく解説しています。
「産業廃棄物収集運搬業許可(積替・保管を含む)|申請前に確認する事業計画と施設の要点」