賃貸マンションや建売住宅などの物件情報、店舗看板、不動産会社のホームページなどには、「神奈川県知事(3)第12345号」や「国土交通大臣(1)第9999号」のような宅建業免許番号が表示されています。
括弧内の数字は、その免許の「回次」を表します。最初に免許を受けたときが(1)、1回更新すると(2)、2回更新すると(3)となり、現在の免許が何回目の免許期間にあるのかを示します。
回次は、免許の取得・更新という行政上の経過を表す情報です。会社の創業時期は会社の沿革、担当者の経験年数は本人の経歴、行政処分については公表期間内の監督処分情報、個別の取引条件は契約関係書類と、それぞれ別の情報から確認します。
この記事では、宅建業免許番号の各部分が何を示しているのかを整理したうえで、括弧内の回次がどのような情報であり、宅建業者について調べる際にどのように読めばよいのかを解説します。
宅建業免許番号は「免許権者・回次・番号」で構成される
「神奈川県知事(3)第12345号」という表示では、「神奈川県知事」が免許権者、「(3)」が回次、「第12345号」が免許番号です。
宅建業を営むには、事務所の設置状況に応じて国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けます。一つの都道府県内だけに事務所を置く場合はその都道府県知事、二つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣が免許権者になります。
「国土交通大臣」「都道府県知事」という表示はその宅建業者の免許権者を示し、括弧内の回次は現在の免許が何回目の免許期間にあるのかを示します。
※大臣免許と知事免許の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「宅建業免許の知事・大臣免許の違いは?|事務所の配置で判断する」
宅建業免許は更新制で、現在の有効期間は5年間です。最初に免許を受けた期間が(1)で、更新を受けるたびに(2)、(3)と回次が進むため、回次から現在の免許に至る取得・更新の経過を読み取ることができます。
更新申請をしないまま有効期間が満了すると、その免許は失効し、従前の回次もそこで終わります。たとえば(3)の免許が失効した後に更新申請をして(4)へ進むことはできず、再び宅建業を営む場合は新規免許の申請が必要です。
会社の営業年数は設立時期や沿革から確認する
現在の宅建業免許は有効期間が5年間ですが、会社の営業年数を知るには、設立時期や沿革を確認します。
宅建業免許の有効期間は、1996年4月に3年間から5年間へ変更されています。そのため、古くから営業している宅建業者について、現在の5年間を一律に回次へ掛けて営業年数を算出すると、実際の営業期間とのずれが生じます。
さらに、免許換えでは新しい免許番号となり、括弧内の数字も(1)から始まるため、現在表示されている免許の経過と事業そのものの沿革が一致しない場合があります。 会社がいつから営業しているのかは、設立時期や沿革から確認します。
代表者や担当者の経験年数は経歴から確認する
新しく設立して宅建業を始めた会社も、長年不動産会社に勤務していた人が独立して新たに免許を取得した場合も、新たに取得した免許は(1)から始まります。
代表者や担当者が不動産売買、賃貸仲介、物件管理などに携わってきた年数や業務内容は、本人の経歴やこれまで担当してきた業務から確認します。 新たに取得した免許が(1)であっても、代表者や担当者の実務経験が浅いとは限りません。
不動産業務の経験を確認するときは、免許の回次ではなく、その人がこれまで携わってきた業務の内容や期間を確認します。
行政処分や取引条件はそれぞれの資料で確認する
行政処分については、国土交通省や免許権者である都道府県などが公表する監督処分情報から、公表期間内の処分を確認します。媒介条件や仲介手数料など実際の取引条件は、会社から提示される媒介契約書、重要事項説明書、売買契約書、賃貸借契約書などに記載されています。
担当者による重要事項説明の内容についても、実際の説明や交付される書面の内容が確認の対象になります。
免許の更新経過、行政処分、個別の取引条件はそれぞれ性質の異なる情報であるため、知りたい内容に対応する資料を確認します。
免許番号から現在登録されている宅建業者を調べられる
物件広告や不動産会社のホームページに記載された免許番号は、現在登録されている宅建業者の情報を調べる際にも利用できます。国土交通省は宅地建物取引業者の検索サービスを公開しており、商号・名称や免許番号などから宅建業者を検索できます。
物件広告に「神奈川県知事(3)第12345号」と記載されていれば、その免許番号を検索し、表示される商号・名称などが広告主の情報と一致しているかを照合します。店舗では、事務所に掲示されている宅地建物取引業者票に記載された商号・名称や免許証番号とも照合できます。
※宅建業法上の標識については、以下の記事で解説しています。
「宅建業法上の標識とは|宅建業者票の掲示義務と事務所で確認される実務ポイント」
回次の役割を踏まえて必要な情報を確認する
宅建業者について調べる際は、免許番号に記載された情報と、それ以外の情報を切り分けます。
回次は現在の免許に至る取得・更新の経過を示し、会社の営業年数は設立時期や沿革、代表者や担当者の経験は本人の経歴、行政処分については国土交通省や都道府県などの公表情報から公表期間内の処分を確認します。
媒介条件や仲介手数料などの取引条件については、媒介契約書、重要事項説明書、売買契約書、賃貸借契約書などが確認資料になります。
免許番号を見るときは、回次を現在の免許の経過を示す情報として読み、宅建業者について知りたい内容に応じて確認する資料を選びます。回次だけで宅建業者を判断せず、知りたい情報に応じて会社の沿革や担当者の経歴、公表情報、契約関係書類などを確認することが大切です。